第1204回NEW

創業時だけではない?資金調達にも役立つ事業計画書

個人で事業を営んでいます。創業時に融資を受けるため事業計画書を作成しましたが、その後は特に見直していません。今後、設備投資のために追加融資を受けることも考えていますが、事業計画書は定期的に見直した方がよいのでしょうか。(自営業 30歳 男性)
事業計画書は創業後も役立つ、経営の「道しるべ」です。定期的に見直すことで、経営課題の把握や資金調達にも活用できます。
事業の説明をする経営者

事業計画書には何を書く?

事業計画書とは、事業の目的や内容、経営方針、売上・利益の見通し、資金計画などをまとめたものです。決まった形式があるわけではありませんが、一般的には次のような内容を盛り込みます。

(1)事業の概要・経営方針

どのような事業を行い、誰に、どのような商品やサービスを提供するのかを整理します。事業の目的や経営者の経験、自社の強みなども記載します。

(2)市場環境・販売戦略

顧客のニーズや競合の状況を分析し、自社の強みをどのように生かして売上につなげるのかを明確にします。

(3)売上・利益の計画

売上高や仕入れ、人件費、家賃などの経費を見積もり、利益の見通しを立てます。売上予測は、顧客数や客単価など、できるだけ具体的な根拠を示すことが大切です。

(4)資金計画・資金繰り

設備投資や運転資金にいくら必要で、自己資金や借入金などでどのように調達するのかを整理します。あわせて、毎月の入金・支払いの見通しを立て、資金不足が生じないか確認します。

(5)今後の目標・実行計画

売上目標や新規顧客の獲得、設備導入など、今後取り組む内容と実施時期を具体的にまとめます。

最初から立派な計画書を作る必要はありませんので、事業の現状と今後の見通しを、数字も交えて整理することから始めるとよいでしょう。

資金調達の際にも役立つ事業計画書

事業計画書は、金融機関から融資を受ける際にも重要な役割を果たします。例えば、設備の更新や事業拡大のために借り入れを希望する場合、金融機関は資金の使い道だけでなく、事業の収益性や返済能力なども確認します。

その際、事業計画書があれば、なぜ資金が必要なのか、投資によってどの程度の売上や利益が見込めるのか、借入金をどのように返済していくのかを説明しやすくなります。特に重要なのは、売上や利益の見通しに無理がなく、数字に根拠があることです。また、事業で得られる利益から借入金を無理なく返済できるかも大事なポイントとなります。

また、利益が出ていても、売掛金の回収が遅れたり、仕入れ代金の支払いが先行したりすると、手元の資金が不足することがあります。いわゆる「黒字倒産」を防ぐためにも、資金繰り表を活用し、日々の支払いや借入金の返済に必要な資金を確保できるか確認しておきたいものです。

ただし、事業計画書を作成すれば必ず融資を受けられるわけではありません。実際の審査では、決算内容や借入状況なども含めて総合的に判断されます。

定期的な見直しで経営改善につなげよう

事業計画書は、1度作成したらそのままにせず、定期的に見直すことが大切です。例えば、毎月の売上や利益、資金繰りを確認し、半年または1年ごとなどに事業全体を見直す方法があります。

計画と実績に差が生じていれば、その原因を分析し、必要に応じて販売方法や経費、投資計画などを修正します。売上が伸びている場合も、仕入れや人件費の増加に対応できるか、資金が不足しないかを確認しておきたいものです。また、経営状況を継続的に把握しておけば、資金が不足してから慌てて融資を申し込むのではなく、余裕を持って資金調達を検討しやすくなります。

特に個人事業主の場合、事業の資金繰りが経営者自身の生活にも直結します。事業資金と生活資金を分けて管理するとともに、借入金の返済額や納税資金、万一の売上減少に備える資金なども確認しておきましょう。日本政策金融公庫のサイトには、創業計画書や企業概要書のほか、設備投資計画書、資金繰り表、経営状況振り返りシートなどの書式や記入例が公開されているので、参考にするのもよいでしょう。

私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2026年10月16日