第1194回NEW
金利や住宅価格上昇中のなか、「今買う」が正解?
- 子どもが生まれたのを機にマイホームの購入を考えています。住宅価格が上昇していて、今買った方がいいのか、待った方がいいのか悩んでいます。住宅購入のタイミングはどのように見極めたらいいですか?(会社員 33歳 男性)
- 住宅価格の高騰や金利の上昇が続くなか、住宅の購入を急ぐ人が増えています。しかし焦りだけで購入を決めることには、大きなリスクが潜んでいます。ライフプランや家計の状況を踏まえて、冷静に買いどきを判断しましょう。
近年の住宅市場の動向
建築資材の高騰や人件費の上昇を背景に、住宅価格は高止まり傾向が続いています。都市部や人気の高いエリアを中心に価格の上昇傾向が著しく、家計の住宅購入負担は増大しています。一方、日本銀行による段階的な利上げの影響から長期金利が上昇し、住宅ローンの固定金利は上昇傾向にあります。さらに、これまで低水準を維持してきた変動金利についても見直しの動きが広がりつつあります。
「価格の高騰」と「金利の上昇」が同時に進行するなか、「これ以上物件価格が上がると手が届かなくなる」「金利が上がって毎月の返済額が増える前に借り入れたい」という焦りから、住宅購入を急ぐ人が増えています。
「買う」か「待つ」か
マイホームを今購入した方がいいのか、それとも待った方がいいのか。その判断材料となる、それぞれのメリットと注意点を確認してみましょう。
今買う場合のメリット
(1)さらなる「価格高騰」や「金利上昇」の影響を回避できる
2026年8月現在、住宅価格や金利が短期間で大幅に下がる兆候は見られません。そのため、今契約・借り入れを行うことで、将来的にさらに住宅価格や金利が上がった場合の支払総額の増加を回避できる可能性があります。
(2) 住宅ローンの完済年齢を早められる
購入時期を遅らせると、それだけローンを完済する年齢が高くなります。早めに購入して返済を開始することで、定年退職までに完済、または残高を大幅に減らすことができ、老後のマネープランを組みやすくなります。
(3)家賃の支払いを資産形成(ローン返済)へシフトできる
購入を待つ期間中も毎月家賃が発生します。「下がるかもしれない相場」を何年も待ち続けるよりも、早めに自分の資産となる住宅の返済に充てる方が、トータルの住居費負担が軽くなるケースがあります。
今買う場合の注意点
(1)焦りによるミスマッチや予算オーバー
焦りから「立地」「広さ」「間取り」などの条件を過度に妥協してしまうと、購入後の満足度が大きく低下します。逆に条件にこだわるあまり、予算を超えた物件を選んでしまうことも危険です。
(2)金利上昇リスクへの備え不足
借入額を増やした結果、融資実行時点の金利が低い「変動金利」を選択するケースが見られます。しかし、今後の金利動向によっては返済額が上昇し、家計を急激に圧迫する恐れがあります。変動金利で借り入れる場合は、「金利が1%〜2%上がっても家計が破綻しないか」を事前に試算しておくことが不可欠です。
(3)購入後の手元資金(生活防衛資金)の不足
貯蓄のすべてを頭金や諸費用に充ててしまうと、病気・ケガ・突然の支出に対応できなくなります。生活費の6ヶ月〜1年分程度は「手元に残す資金」として確保したうえで予算を組みましょう。
購入を待つ場合のメリット
(1)家族構成や働き方が確定してから選べる
子どもの人数や進路、自身の転勤・転職など、将来のライフスタイルが確定してから購入できるため、「立地」「広さ」「間取り」などのミスマッチを防ぐことができます。
(2)自己資金(頭金や予備費)をじっくり増やせる
購入時期を延ばすことで、その期間に貯蓄を増やすことができます。頭金を多く用意できれば住宅ローンの借入額を抑えられ、毎月の返済負担や支払う利息の総額を減らすことが可能です。
(3)不動産相場の静観や新物件の選択肢が広がる
建築資材の高騰や需要過熱が落ち着くタイミングを待つことで、過度な高値掴みを避けられる可能性があります。また、じっくり時間をかけることで、希望エリアでの新しい売り出し物件や中古の好物件に出会えるチャンスが増えます。
購入を待つ場合の注意点
(1)待っている間の家賃の支払いが必要になる
購入を待つ期間中も、当然ながら家賃が発生し続けます。「相場が下がるのを待つ」ことで節約できる金額よりも、待つ間に支払う家賃の合計額の方が大きくなり、結果的にトータルでコストが大きくなってしまうリスクがあります。
(2)住宅ローンの完済年齢が高くなる
購入時期を先送りするほど完済時の年齢が上がり、定年退職後もローン返済が残るリスクが高まります。
(3)価格や金利がさらに上がってしまうリスク
「下がるかもしれない」と思って待った結果、数年後にはさらに価格や金利が上がってしまう可能性も否定できません。
住宅購入時期の判断基準とは
不動産価格や金利動向を正確に予測することは、専門家であっても極めて困難です。購入のタイミングを図るうえで最も重要なのは、相場の変動ではなく、ライフイベントと資金の準備状況です。
- 子どもの入園、入学や転校のタイミング、転勤の有無など、住まいを固定するのに適した時期かどうか
- 無理のない頭金や諸費用の準備、購入後の手元資金や修繕積立金に対応できる貯蓄残高が確保できているか
- 今後10年〜20年で必要になる教育資金や老後資金の積み立て、働き方の変化に対応できる返済計画になっているか
これらの準備が整った時こそが、あなたや家族にとっての買い時と言えるでしょう。ライフプランや資金計画をしっかりと立てた上で、理想とする物件に出会えた時に適切な判断ができるよう、準備を整えておきたいですね。
- 【参考リンク】
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。
大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。
ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。
学校での金銭教育にも注力している。
※執筆日:2026年08月03日
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