第1191回NEW

隠れた「教育費」も意識して、大学資金準備は計画的に

小学生の子どもがいます。今後の進学に備えて、今のうちに教育資金準備を進めたいと思っています。高校の授業料は無償になったそうですが、学校にかかるお金は授業料だけではないですよね。そのほかの費用について教えてください。 (会社員 30代 女性)
学校生活には、授業料や入学金等のいわゆる学費だけでなく、制服や体操服などの衣類、学用品、修学旅行代、部活関係費など、さまざまな費用がかかります。学校外でかかる塾や習い事等の費用も含め、「教育資金」として準備していきましょう。
河川敷を歩く親子

「教育資金準備」というと、入学金や授業料をまず思い浮かべますが、学校でかかるお金は学用品、修学旅行費用、制服や体操着、授業で使う楽器や道具等と、さまざまなものがあります。また、学校外の教育費(塾や習い事等)も多くのご家庭で負担されている教育費です。

教育費は、授業料や入学金だけでなく、その他の学校に払うもの、学校外でかかるものも含めて想定しておかないと、子どもが小さいうちに大学進学資金を準備しておこう、と計画していても、思わぬ教育費支出が続けば、将来の進学のための資金準備が進まないかもしれません。

今回は、授業料のようにはっきりしていない、学校でかかる隠れた費用、学校外でかかる費用について確認してみましょう。

授業料だけでない、学校教育費

高校までの教育費については、文部科学省の「子どもの学習費調査」が参考になります。この調査では、保護者が支出した教育に関する費用について調査されており、「学校教育費」「給食費」「学校外教育費」の大きく3つに分けて調査されています。

まずは、学校教育費から見てみましょう。

表1は、「令和5年度子どもの学習費調査 学校種別の学習費」をもとに、学校教育費の内容を「授業料」「入学前後の費用」「学用品費等の費用」に分けて、合計額(年額)を比較したものです。授業料、入学前後の費用、学用品等の費用のそれぞれが、「学校教育費」全体に占める割合についても計算してみました。

表1「学校教育費」の内訳(単位:円)
小学校 中学校 高等学校(全日制)
公立 私立 公立 私立 公立 私立
A 学校教育費 74,336 978,271 150,761 1,128,061 351,523 832,650
B 授業料 - 510,823 - 458,018 45,272 279,170
B/A - 52% - 41% 13% 34%
C入学前後の費用 526 62,402 1,178 119,829 18,027 80,290
C/A 1% 6% 1% 11% 5% 10%
D 学用品等の費用 73,810 405,046 149,583 550,214 288,224 473,190
D/A 99% 41% 99% 49% 82% 57%

A学校教育費=B授業料+C入学前後の費用+Ⅾ学用品等の費用

C入学前後の費用:入学金・入園料、入学時に納付した施設整備費等、入学検定料

Ⅾ学用品等の費用:施設整備費等、修学旅行費、校外学習費、学級・児童会・生徒会費、その他の学校納付金、PTA会費、後援会費、寄附金、教科書費・教科書以外の図書費、学用品・実験実習材料費、教科外活動費、通学費、制服、通学用品費、その他

(データは令和5年度子どもの学習費調査より。費用の分類、割合の計算は筆者)

義務教育(小・中学校)の公立の学校の授業料は無料とされているので、公立の小中学校の「学校教育費」の99%は学用品費等の費用となっています。学用品等の費用は公立の小学校の場合で約7万4,000円、中学校で約15万円かかっているので、義務教育期間中でも、月額5,000円~1万数千円は「学校教育費」がかかると思っておいたほうがいいでしょう。

高校は義務教育ではないので授業料がかかりますが、授業料無償化の制度(高等学校就学支援金)が導入されており、令和8年度からは所得の条件も問われなくなりました。支援金の支給額には上限があるので、学校によっては授業料がゼロになるわけではありませんが、以前よりも授業料負担はかなり軽減されています。

高等学校就学支援金の例(支給上限年額)
国立高校(全日制等):11万5200円、私立高校(全日制等):45万7200円
公立高校(全日制等):11万8800円、私立高校(通信制):33万7200円

文部科学省 高等学校等就学支援金・新制度【日本国籍の方用】リーフレット より

しかし、授業料以外は無償化の対象外なので、授業料以外の「学校教育費」の準備は必要です。高校の入学前後にかかる費用は、公立で約1万8,000円、私立で約8万円です。学用品費等の年間でかかる費用は公立で約29万円、私立で約47万円となっています。

授業料が無償化されても、「この高校に入学したらいくらかかるのか」を早めに調べて、準備しておく必要があるでしょう。

塾や習い事、学校外でかかる教育費

塾や習い事は必須ではありませんが、特に受験期には多くのご家庭で、塾や家庭教師、習い事など学校外で教育費がかかります。

表2のように、中学校の補助学習費の平均額(年額)は公立の場合で約27万円、私立の場合で約24万円となっています。塾を利用するにしても、どんな塾か、どの教科を、週に何回何時間か…等、選び方によってかかる費用は変わってきます。子どもの教育プランとして塾も考慮するなら、月に数万円の費用は見込んでおいたほうがよいでしょう。

表2 学校外活動費(単位:円)
小学校 中学校 高等学校(全日制)
公立 私立 公立 私立 公立 私立
学校外活動費 256,489 709,667 356,018 422,981 245,431 346,611
補助学習費 112,485 366,436 271,574 236,986 200,994 238,422
その他の学校外活動費 144,004 343,231 84,444 185,995 44,437 108,189

補助学習費:家庭内学習費、通信教育・家庭教師費、学習塾費、その他

その他の学校外活動費:体験活動・地域活動、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション活動、国際交流体験活動、教養・その他

(データは令和5年度子どもの学習費調査より)

大学進学資金は学生生活の費用も含めて準備

高校までに比べると、格段に費用負担が大きくなるのが大学進学資金です。大学納付金だけでも、入学初年度の大学納付金の平均は、国立で約82万円、私立文系で約120万円、理系で約160万円となっています。

表3 大学の納付金(単位:円)
区分 入学料 授業料 施設設備費 初年度合計
国立大学 282,000 535,800 817,800
私立大学 文科系学部 219,951 850,392 141,892 1,212,235
理科系学部 245,362 1,195,313 161,378 1,602,053
医歯系学部 1,088,248 2,825,359 865,535 4,779,143
その他学部 247,208 990,190 235,657 1,473,056
全平均 240,365 968,069 172,550 1,380,983

国立大学:「国公私立大学の授業料等の推移 令和7年分」より 金額は国が示す標準額

私立大学:文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より

しかし、大学進学資金は、大学納付金だけでなく、学生生活にかかるその他の費用も含めて見積もっておいたほうがよいでしょう。

第61回学生生活実態調査(2026年2月発表 全国大学生活協同組合連合会)によると、2025年の大学生の1カ月の支出合計の平均は、70,760円(自宅生)、138,020円(下宿生)。下宿生への仕送り金額の平均は、74,652円とのことです。支出額と仕送り額の差は、奨学金やアルバイト収入等でまかなっていることになります。自宅生になるのか、下宿生になるならどこに住むのかによっても、住居費等は違ってきます。志望大学を絞り込んだら、学生生活にかかる費用もチェックしておくとよいでしょう。

教育資金は、総額を考えて「準備」しよう

このように、教育資金を準備するときは、授業料などのわかりやすい「教育費」だけでなく、その他の学校に払う費用、学校外でかかる費用、学生生活にかかる費用なども考慮した「教育費の総額」を意識する必要があります。

教育資金準備の基本は、少しずつでも早めにスタートして、コツコツ貯めていくことです。しかし、全額を家計から捻出することが難しい場合は、「大学に払う費用以外は、アルバイトで頑張ってね」と本人に覚悟してもらうことも「準備」のひとつになります。とはいえ、不足額をアルバイト収入ではまかないきれない場合も多いですし、アルバイトをするのが難しい場合もあるでしょう。

早めに教育費の総額を意識しておけば、将来の進学資金不足にも早く気づけます。特に入学時には、入学金や前期授業料、アパート等の敷金や引っ越し費用などまとまった金額が必要になるので、資金のやりくりが大変になるかもしれません。

資金不足が予測できるなら、奨学金や教育ローンなどの利用を検討しておくのも、準備方法のひとつです。ただし、安易に利用すると将来の返済負担が重くなります。奨学金や教育ローンでまかなう「不足額」を明らかにして、借り過ぎに注意して利用しましょう。

私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2026年07月17日