第22回

リフォームローンの審査基準とは?審査に通らない理由と落ちたときの対策

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この記事のポイント
  • リフォームローンの審査基準は公表されていないが、基準として参考になるデータがあるので確認しよう
  • 約半数の金融機関が審査に「スコアリングシステム」を取り入れている
  • リフォームローンの審査や必要書類を事前に確認しよう
女性と作業着姿の男性が家にいる画像

国土交通省の資料によると、2017年のリフォームローンの新規貸出件数は3万4,412件と過去3年で徐々に増えてきています。マイホームのリフォームを行うことで所得税や固定資産税が減税となる制度があることも理由の一つとして考えられます。
とはいえ、ローンを受けるにあたって気になるのは審査の基準です。
リフォームローンの審査のポイントを知っておくことで、審査に通りやすくなるための対策や、もしも審査に通らなかったときの対策も取りやすくなるかもしれません。

リフォームローンの審査基準

電卓で計算している手と5つの家が並んでいる画像

多くのローン同様に、リフォームローンでも審査が行われます。具体的な審査の基準はどの金融機関も公開していませんが、住宅ローン(リフォームローンを含む)に関して国土交通省が毎年実施している調査報告書のなかで、ローン審査の基準として参考になるデータがあります。
「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(2018年度)」を参考にしながら、審査で主に確認される内容について見てみましょう。

年齢

同データのなかで、審査でチェックする項目として最も高い割合を示しているのが、年齢および健康状態です。後述する申込条件にも年齢がありますが、借入時年齢が98.3%、返済時年齢が97.7%の割合で確認されています。貸したお金をすべて回収できるかどうかは貸し手にとっては大切な基準です。

次に示す収入に関する基準も重要項目です。しかしながら、返済期間中に収入を上げることはできても年齢の条件を良い方向にもっていくことは誰にもできないことが理由かもしれません。

勤務先、雇用形態、勤続年数、年収

これらは、収入の状況を確認する情報です。「月々問題なく返済ができるかどうか」も大切な基準です。これらのなかでも特に「勤続年数(95.7%)」「年収(95.6%)」「雇用形態(75.7%)」を重視するところが多いようです。金融機関ごとに具体的な基準は異なりますが、勤続年数は「1年以上」が最も多く、年収は「150万円」以上が最も多くなっています。

返済負担率

返済負担率とは「年収に占める年間返済額の割合」のことです。いくら収入が多くても、月々の負担額も大きくなれば返済不能リスクは上がりますから、返済負担率を審査項目として挙げている金融機関は90.7%にのぼります。あくまで抵当権を設定している住宅ローンの場合ですが、当データでは「30%~40%」とする金融機関が多い傾向です。抵当権を設定しないリフォームローンでは少し低めに「20%~30%」程度と見積もっておくのが賢明でしょう。

他社借入件数、借入総額

「カードローン等、他の債務の状況や返済履歴」を審査項目の一つとしている金融機関は63.1%となっています。「今回のローン申込みで返済総額が膨らんでも充分に返済できるかどうか」の確認のため、他の借り入れ状況は大切な審査基準の一つといえるでしょう。

そのほか、「家族構成」や「居住形態」を審査項目としてチェックするなど、金融機関によっても審査項目は多岐にわたります。これらの具体的な審査の詳細は各金融機関で独自の基準を定めており、その基準も公開されていません。しかし、ローンを申し込む前に今回確認した調査データをチェックして参考にするのもいいでしょう。

リフォームローンの基本的な申込条件

金融機関によっても幅がありますが、リフォームローン申込条件は、おおむね次のように定められています。

  • 満20歳以上69歳以下であること
  • 安定継続した収入があること
  • 金融機関の提携する保証会社の保証を受けられること

申込人の年齢に関しては申込時の年齢を満66歳未満としていたり、最終返済時の年齢を満70歳未満としていたりする金融機関もあります。また、収入に関しては「前年度税込み年収が200万円以上」というように具体的な目安を表示している金融機関もあるため、自分が申込みを希望する金融機関の条件の確認は必要です。

リフォームローンの審査に通りやすい人と通りにくい人

男性と夫婦が話し合っている画像

ローンを審査する方法として、「スコアリングシステム」というのがありますが、上述の調査データを見ると、約半数の金融機関が審査に「スコアリングシステム」を取り入れていると回答しています。
スコアリングは、借入申込人の情報を元に審査する各項目でプラスやマイナスのポイントを付けていく方法です。プラス点が多ければ総合的にスコアが高くなり審査に通りやすくなるでしょう。反対にマイナス点が多ければスコアは下がり、審査に通りにくくなると考えられます。

リフォームローンの審査に通りやすい人

スコアが上がる要素としては次のようなものが考えられます。

勤続年数が長い

先の審査基準のところで勤続年数は「1年以上」とするのが最も多いと説明しましたが、勤続年数が長いほど収入の安定性が期待できます。具体的な勤続年数は公表されていませんが、転職や退職などを考えている人は、審査の時期と転退職の時期が重ならないように注意したいものです。

公務員もしくは大手企業の社員

収入の安定度からいうと、公務員や大手企業に勤める社員はプラスの要素が高くなります。これは一般的な給与相場もありますが、不況時にも給料が下がりにくいことも理由の一つでしょう。

リフォームローンの審査に通りにくい人

スコアを下げる要素としては次のようなものが考えられます。

勤続年数が1年未満の人

スコアを上げる要素と逆ですが、勤続年数が短いとマイナス点になります。前述データを参考にするなら「勤続1年未満」の場合は収入の継続性が判断できないため、マイナスに働く傾向です。

返済負担率がオーバーしている人

返済負担率が大きくなるほど「返済不能リスク」は高まります。金融機関で独自に設定した返済負担率をオーバーするとマイナス点が大きくなると考えられます。

自営業の場合は審査基準も厳しくなる

収入の安定性から考えると、会社員に比べて自営業者は審査基準が厳しくなる傾向です。前述調査データによると、多くはないながらも「自営業者を対象外」とする金融機関もあるようです。申込みを検討する際には金融機関に事前に確認したほうが良いでしょう。

複数の金融機関へ同時申込みをしている人

万が一審査に通らないことを考えて、「他の金融機関にも同時に申込みをしておく」という人もいるかもしれません。しかし、金融機関側からすれば申込人が「多重債務者」となるリスクとして考えられます。返済が困難となるリスクが高いと判断されれば、審査はより厳しくなり通りにくくなるでしょう。

延滞履歴、破産歴がある人

最も審査に通りにくいのは、信用情報に「延滞」や「債務整理」などの金融事故の登録がある人です。信用情報は日常で利用しているクレジットカードや携帯電話の支払いで延滞してしまったケースも対象となることを知っておきましょう。延滞分をすでに完済した後や、破産による債務整理をした後でも、場合によっては5年~10年間はその情報が信用履歴として残る可能性があります。安易にローンの申込みをする前に、このことを頭に入れておきましょう。

リフォームローンが組めないときの対処法とは

申込み前に審査条件に気を付けていても、審査に通らない可能性はあります。「収入があがり返済負担率が改善されるまで数年待つ」という選択はありますが、早急にリフォームが必要だという場合もあるでしょう。水回りが老朽化してしまっていたり、同居家族の身体状況によりバリアフリーにしなければならなかったり需要はさまざまです。もしもリフォームローンが組めない場合には、他の方法で対処できないか検討してみましょう。

住宅ローンの借り換えに合わせてリフォーム費用を一緒に借り入れる

リフォーム費用は住宅ローンでまとめて申込みすることも可能です。返済中の住宅ローンがある人は、より金利の低い住宅ローンへの借り換えを検討し、その際にリフォーム費用を一緒に借り入れできないか確認してみましょう。住宅ローンは、貸し手の金融機関が住宅に抵当権を設定するため、担保のないリフォームローンよりは審査に通りやすくなる可能性が高くなります。

また、一般的にリフォームローンは、住宅ローンに比べて金利が高めなため、別々に借りるよりも住宅ローンでまとめるほうが支払利息も少なく、返済も楽になる可能性があります。

借入額によっては信販会社からの融資も検討

リフォーム費用として必要な金額によっては、リフォームローンではなくカードローンを信販会社から借り入れる方法もあります。一般的に銀行などの金融機関に比べると、信販会社のローン審査は基準が低い傾向にあります。ただし、審査基準が低いほど金利が高めの傾向にありますから、無理な借り入れは禁物です。「借り入れできる」ことよりも「返済できる」ことを考えて、きちんと返済計画を立てた上で利用を検討してください。

リフォームローンの審査の流れ

最近では、店頭で申込みをするのではなくWEB上で審査から契約までを取り扱う金融機関が増えてきています。一般的な申込みおよび審査の流れは次のステップとなります。

1.WEB審査(仮審査)申込み

リフォームローンを取り扱っている金融機関の申込み画面で必要項目を入力していきます。入力する内容は金融機関によって異なる場合がありますが、一般的には次のような項目があります。

  • 本人情報(氏名、性別、生年月日、住所、連絡先電話番号、eメールアドレスなど)
  • 口座情報(申込みをする金融機関にある口座情報、支店、口座番号など)
  • 勤務先情報(職業、企業名、勤務先住所、勤務先連絡電話番号など)
2.必要書類の提出

本審査に必要となる必要書類を提出します。仮審査結果メールとともに本審査に必要となる書類と提出方法についての連絡がきます。一般的には次の書類が必要です。スムーズに提出できるよう、前もって準備しておきましょう。

  • 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、個人番号カード、パスポートなど)
  • 収入証明書類(源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書、納税証明書、確定申告書など)
  • 資金使途確認資料(リフォームの見積書※など)

※申込者氏名、金額、工事内容詳細、施工業者名、振込先などの記載があるもの

3.在籍確認

勤務先への在籍確認や内容確認のための電話がかかってくることがあります。

4.審査結果

本審査の結果連絡が届きます。指定された期間内にリフォームローンの契約手続きを行います。

多くの金融機関では、WEB、郵送、窓口来店のいずれかでの契約を受け付けていますが、借り入れする金融機関に預金口座がない場合には窓口に出向く必要があります。

おすすめのリフォームローンとは?リフォームローンの選び方

預金等の取引がない金融機関だと窓口に行く必要がある場合がほとんどですから、手続きの容易性から考えると普段から付き合いのある金融機関で借り入れするのが便利でしょう。しかし、金融機関によって借入限度額や金利が異なります。自分の経済状況や必要性に応じてリフォームローンを選ぶようにしましょう。

金利重視

返済総額を少しでも抑えたい人は、金利重視で選びましょう。実際の金利は審査によって決まりますが、金融機関が提供している最低金利を比べてみても1.5%程度~6%程度まで幅広い傾向です。

仮に100万円を借り入れて5年返済(元利均等返済)する場合でシミュレーションしてみると、金利が1.5%の場合は返済総額が103万8,600円となりますが、金利が4%の場合では返済総額は110万5,020円に上がります。約7万円の差がつきますから、返済負担を抑えたい人は金利を重視するといいでしょう。

※返済期間中、金利が変動しないものとしてシミュレーションしています。

借入限度額重視

借入限度額も幅広く、1万円~1,000万円程度のところが多い傾向です。もちろん、限度額が高い商品を取り扱っている金融機関だからといっても実際に借り入れできるのはリフォームにかかる費用程度です。しかし、大型リフォームの場合は費用が多くかかることがありますから、必要になりそうなリフォーム資金を貸してくれるところを選ぶのが安心ですね。

まとめ

住宅の老朽化や家族状況の変化により、住宅のリフォームが必要になってきますが、ローンを借り入れてリフォームをすれば所得税や固定資産税が減税となる制度があります。しかし、ローンを利用するには審査に通ることが必要ですから、一般的な審査の基準を知っておくことが大切です。

また、万一リフォームローンの審査に通らず、利用できない場合にも、どのような対策があるかを知っておくといいでしょう。無理なく返済をしていくためにも、さまざまな金融機関のローンをチェックして、自分に適するローンを選択することが大切です。

そうしたときに、おすすめなのが「イー・ローン」です。日本最大級のローンポータルサイト「イー・ローン」では掲載されているローンをランキングとして発表しています。数多くあるローンのなかから、自分に合ったローンを見つけ出すにもイー・ローンのランキングを参考にしてみましょう。

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ライター紹介

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續 恵美子 (つづき えみこ)

日本FP協会認定CFP®

生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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