第930回

自己資金なしで利用する住宅ローンのポイントは?

最近は、自己資金がなくても住宅ローンが利用できると聞きました。子育て中であまり貯蓄が貯まっていないのですが、そろそろ「わが家」の購入を検討しています。自己資金なしで住宅ローンを利用する場合の注意点を教えてください。
自己資金なしでも利用できる住宅ローン商品は多数あります。ただし、借入額が大きくなるので、利用の前に、無理のない返済ができるかを十分に検討しましょう。
大林 香世
大林 香世

自己資金なしでも、住宅ローンは利用できる

以前は多くの金融機関で「借入額は物件価格の80%まで」といった借入額の上限が決まっていました。しかし、最近は、「100%融資可能」という金融機関も多くなっています。また、「物件評価以上の借入可能」「諸費用にも利用可能」というローンを利用すれば、住宅購入の際かかる仲介手数料やローン事務手数料、税金等の諸費用(物件価格の5~10%程度が目安)もローンでまかなうことができ、自己資金なしで住宅を手に入れることができます。

自己資金なしの住宅購入は、借入額が大きくなる

ただし、自己資金なしで住宅購入するということは、借入額が大きくなるので、返済負担が重くなります。金融機関やローン商品によっては、一定以上の自己資金がない場合は割高な金利が適用される場合があるので、さらに返済負担が重くなります

表1 【フラット35】2021年6月の金利~融資率による金利の違い
借入期間:21年以上35年以下
融資率 金利の範囲 最も多い金利
9割以下 年1.350%~年2.150% 年1.350%
9割超 年1.610%~年2.410% 年1.610%

借入額が大きいと、返済期間が長くなりがち

一般に、年金生活に入ってから住宅ローン返済を続けるのは家計の大きな負担になるので、できれば定年前にローン返済は終わらせたいところですが、ローンの借入額が大きいと返済期間を長くせざるを得ず、高齢期になっても住宅ローン返済が続く返済計画になりがちです。

表2 借入額3,000万円・2,700万円の場合の住宅ローン返済額(金利1%の場合)
単位:円
  借入額3,000万円 借入額2,700万円
  総返済額 毎月返済額 総返済額 毎月返済額
25年返済 33,918,377 113,061 30,526,528 101,755
30年返済 34,736,908 96,491 31,263,183 86,842
35年返済 35,567,804 84,685 32,010,957 76,217

イー・ローン 住宅ローンシミュレーションで筆者試算

借入額が大きいと、売却しにくい場合も

また、万一、自宅を売却することになった場合には、ローン残高が多いと苦労することになります。ローン返済中の物件を売却するには、ローンを完済して借入先金融機関の抵当権を抹消しなければならないからです。売却代金でローンを完済しようと思っていても、ローン残高よりも売却価格が低ければ、自己資金を足さなくてはなりません。自己資金を用意して住宅購入し、借入額を少なく抑えておけば、住宅売却時にローン残高が残るリスクを減らすことができます。

無理のない返済計画で、確実に

自己資金なしの住宅ローン利用にはデメリットもありますが、貯蓄があまりないご家庭でも、「子どもの入学前までに」とか「わが家にぴったりの家が見つかった」といった、「わが家の買い時」を逃さずに住宅購入できることは、大きなメリットですね。せっかく「わが家」を手に入れるなら、住宅購入・ローン申込みに踏み切る前に、無理のない返済計画を検討しましょう。

  • 月々の「住宅費」は「家賃並」を基本に
    住宅購入後の「住宅費」はローン返済額だけでなく、固定資産税や都市計画税などの税金、修理費用、マンションの場合は共益費や修繕積立金などがかかります。これらの住宅保有時の諸費用も含めた「住宅費」として、毎月いくらを支払えるのかを検討しましょう。賃貸住宅に住んできた方は、その家賃額や、住宅用の毎月の貯蓄額(意識して貯蓄していなかった場合は、毎月余っていた金額)が、支払える住宅費の目安になります。
  • 「返済しやすくなる時期」の検討をつけておく
    たとえば、子どもが就職・独立すれば、教育費負担がなくなって家計に余裕ができ、毎月返済額を増額できるかもしれません。まとまった額の退職金が期待できれば、住宅ローンの一括返済も可能かもしれません。借入額が多く、高齢になっても返済が続くような返済プランになる場合は、将来の返済期間短縮や利息節約のこころづもりもつけておきましょう。

イー・ローンのホームページで住宅ローンを探す際は、「詳しい条件で探す」と指定すると「100%融資」や「物件評価以上の借入可」といった条件を加えて検索することができます。また、借り入れする金利も重要なポイントになります。複数の金融機関のローンを比較し、金利や保障内容などから最適な住宅ローンを選ぶようにしましょう。

【参考リンク】

担当:大林 香世 (執筆:2021年06月23日)