第957回

不動産担保のビジネスローンで資金調達を実現!

事業のためにまとった資金が必要になりました。銀行融資での審査が厳しいため、不動産を担保にした借り入れを検討しているのですが、どのような特徴や注意点がありますか。(51歳 個人事業主)
不動産担保ローンは資金用途が比較的自由で多額の借り入れが可能な商品です。返済期間は長期で、金利も低めな点がメリットです。まずは公的なコロナ関連の支援策で活用できるものがないか検討し、緊急性が高い場合や資金が不足する場合などには、事業性資金向けの不動産担保ローンも選択肢に入れるといいでしょう。

まずはコロナ関連の公的支援を確認

新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した事業者などへ向けて、様々な公的支援策が用意されています。

例えば、日本政策金融公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルスの影響を受け、一時的な業況悪化により、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している場合などに、8,000万円を限度として融資を受けることができます。特別利子補給制度と併用することで、当初3年間、6,000万円までの融資に対する利息負担が実質0になります。

また、設備投資や販路開拓など前向きな投資に対する支援策なども用意されていますので、要件に合うものがないか探してみましょう。

不動産担保ローンのメリット

公的支援は非常に心強いですが、申込みが殺到し、融資実行までに時間がかかる状況が続いています。緊急性が高い場合や要件に合わない場合、資金が不足する場合などには、民間金融機関のビジネスローンなど、その他の方法を検討する必要があります。

不動産担保ローンとは、文字通り不動産を担保にして融資を受けられるローン商品です。本人名義の不動産に限らず、家族名義の不動産なども利用することができる場合があります。資金使途は比較的自由で事業性資金向けの商品も多くの金融機関が提供していて、担保価値によっては多額の借り入れも可能です。不動産を担保にするため、無担保ローンに比べると低金利で返済期間は長め、過去の業績の問題などから通常の銀行融資や無担保のビジネスローンが厳しいケースでも借り入れできる場合があります。

不動産担保ローンの注意点

不動産担保ローンは、金融機関による担保評価によって借入可能額が決まるため、希望する金額を借りられない場合があります。不動産の鑑定・評価などもあり、融資実行まで2週間~1ヵ月程度時間がかかることも念頭に入れておきましょう。また、商品によって異なりますが融資手数料や不動産鑑定手数料、登記費用・印紙代などの諸費用がかかります。

さらに、万一返済が滞ってしまった場合には、担保とした不動産を手放さなければならなくなってしまう点には十分注意が必要です。そのようなことにならないように、事前に事業計画や収支計画をしっかりと練り、無理のない返済計画を立てましょう。

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私が書きました

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宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2022年01月04日