第958回

収益物件の購入を検討。アパートローンと不動産担保ローンの違いは?

ワンルームマンションへの不動産投資を考えています。ローンを利用する場合、どのようなことに気を付けて選んだら良いでしょうか。(50歳 会社員 男性)
不動産投資で利用できるローンの代表的なものは、アパートローンや不動産担保ローンです。それぞれの内容を把握して、自分に合ったローンを複数の金融機関で比較検討して選びましょう。

アパートローン(不動産投資ローン)とは?

不動産投資で対象物件を購入する際、手元資金だけで不足する場合にはローンを利用します。不動産投資に適したローンには、アパートローン(不動産投資ローン)や不動産担保ローンがあります。

アパートローンは、購入する物件を担保として借り入れるローンです。使途が投資用のアパートやマンション、戸建て住宅などの不動産購入や建築、リフォームなどに限定されているため、使途が自由なフリーローンより金利は低く抑えられています。

アパートローンの借入期間は最大35年程度、融資額上限は数億円程度、金利は変動金利の商品が中心ですが固定金利の商品もあります。空室率が高くなり収益が低下するとローン返済も滞ってしまう可能性もありますから、物件の収益性が重要になります。他に、物件の担保価値、ローン契約者の年収や資産状況、不動産投資の実績なども審査対象となります。

商品によっては、物件の規模が一定以上の集合住宅であることを条件とし、小規模な物件やワンルームマンション投資には利用できないものもありますので、検討していたローン商品が利用可能かどうか詳細をよく確認しましょう。また、繰上返済や一括返済をする場合、元金充当金額の1%から3%程度の違約金(手数料)が必要となる商品が多いというのも特徴です。

不動産担保ローンとは?

不動産担保ローンは、所有している不動産を担保にして新たな資金を調達するローンです。基本的に使途は自由で、自動車購入や教育費、リフォーム資金やセカンドハウス購入など幅広い目的で借り入れることができるフリーローンの一種です。不動産を担保としているため金利は無担保ローンより低めに抑えられていますし、使途を明確にして金利をさらに低くできる商品もあります。

不動産担保ローンの借入期間は最大35年程度、融資額上限は数億円程度が多く、金利は変動金利、固定金利それぞれの商品があります。すでにある不動産を担保とする商品が中心ですが、不動産を所有していなくても親族名義の不動産で利用できるもの、購入する不動産に抵当権を設定することで不動産投資として利用できるものもありますので、アパートローンと同様に資金調達の選択肢として考えると良いでしょう。

但し、事業性資金や不動産投資には使えないとする商品もありますので、利用できるかどうかは、金融機関に確認するようにしましょう。

不動産投資でローンを利用する際の注意点

不動産投資はサラリーマンの副収入、老後資金対策、相続税対策などさまざまな面で利用されていますが、管理費や修繕費、火災保険料、固定資産税などの経費も必要です。ローンを活用しながら収益を得ることが可能かどうか、賃料の設定、空室率、今後の賃料の下落率などを十分に考慮してシミュレーションをし、検討する必要があります。返済が滞ると担保としている不動産を手放さなければならなくなりますので、余裕をもった資金計画をたてましょう。

アパートローンや不動産担保ローンの借入可能額や適用金利は、金融機関の審査によって決まります。金融機関ごとに基準があり、対象物件の構造や築年数によっても提示される条件が変わります。複数の金融機関で利用できるローンを比較検討すると良いでしょう。またローンの金利だけでなく、保証料や事務手数料も含めて総合的に有利なローンを選ぶようにしましょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2022年01月07日