第938回

不動産担保ローンを利用するには、申込みから融資までどれぐらいかかる?

不動産担保ローンを利用したいと考えています。カードローンなら即日融資も可能なようですが、不動産担保ローンは、申込みしてから、どのくらいで融資してもらえるのでしょうか? (神奈川県 Wさん)
不動産担保ローンは、自宅などの土地や建物を担保にして借り入れをするローンです。不動産を担保にするため、比較的低金利で大きな資金を借りることができます。ただ、担保とする不動産の評価によって借り入れできる金額が決まりますので、その評価に時間がかかります。借り入れを検討しているのなら、スケジュールに余裕を持って申込みをするといいでしょう。

借入可能額が大きく、長期間での返済が可能な点がメリット

個人向けの不動産担保ローンは、教育資金、セカンドハウスの購入資金をはじめ、個人が利用する目的であれば、一般的に使い道は自由です。複数社からの借り入れを1つにまとめたり、借り換えをしたりするために利用されるケースもあります。ただし、個人向けの不動産担保ローンは事業用に使うことを原則不可とするところがほとんどなので、その点は注意が必要です(事業用に使う場合は、事業用向けの不動産担保ローンになります)。

不動産を担保にするため、借入可能額が大きく、なかには上限10億円という商品もあります。また、返済期間を20~30年、最長35年と長期に設定できることも大きなメリットです。さらに、無担保ローンよりも金利は低く設定されているケースがほとんどです。

申込みから融資までは、最短でも1週間はかかる

不動産担保ローンは、一般の銀行、ネット銀行のほか、専業のノンバンクなどで取り扱っており、各金融機関によって融資条件は異なります。申込みから融資までのスケジュールも、金融機関によって異なり、専業のノンバンクでは最短3日としているところもあります。

即日融資が可能なカードローンなどとは異なり、本人の信用調査のほか、担保として提供する不動産の調査・評価が行われるため、申込みをして即融資というわけにはいかないのです。

おおむね、申込みから融資実行までは以下のような流れになります。

(1)仮審査の申込み
(2)仮審査の結果の通知・・・即日、翌営業日~3日程度
(3)本審査の申込み・・・必要書類の提出
(4)本審査の結果の通知
(5)契約
(6)融資実行・・・ここまでで最短1週間~3週間程度

審査には、本人に関する書類のほか、不動産に関する書類の提出があります。不備があったり、担保とする不動産の権利が複雑であったり、不動産評価が難しい物件などの場合は、さらに時間がかかることになります。上記のスケジュールは、比較的スムーズにいった場合となりますので、余裕をもったスケジュールを組んでおくようにしたいものです。

また、契約を店頭窓口で行うのか、郵送なのか、WEB完結なのかでもスケジュールは大きく変わってきます。事前に必要な書類を確認し、準備しておくことも大切です。

不動産担保ローンを利用する際の注意点

担保とする不動産は、本人名義以外にも親や配偶者が所有する不動産でも担保提供を受けられれば対象となりますが、その際は、不動産の所有者が連帯保証人になることを求められる場合があります。共有名義の不動産も同様です。不動産の権利関係は明確にしておくようにしましょう。

また、住宅ローンが残っている自宅を担保にする場合、担保余力によって借入可能額が変わってきます。担保余力から残債を差し引いた金額の範囲内となりますので、希望する額に及ばない可能性があることも理解しておきましょう。

不動産担保ローンは、低金利で大きな資金を借りることができますが、万一返済ができなくなると担保に提供した不動産を失う可能性があります。借り入れをする際は、無理のない返済計画を立て、確実に返済をしていくようにしましょう。

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私が書きました

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伊藤 加奈子 (いとう かなこ)

ファイナンシャル・プランナー。

大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。

※執筆日:2021年08月17日