第47回

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マイカーローン(自動車ローン)に保証人は必要?

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この記事のポイント
  • マイカーローン(自動車ローン)に関しては、基本的に多くの金融機関の商品で保証人は不要
  • 未成年や学生の場合は保証人を求められるケースもあるので事前に確認しよう
  • 保証人は契約者以上の返済能力を示せる人であることが必要
男性と女性と子供が車に乗っている画像

「日常生活の移動に自動車が必要」「週末には家族でドライブに出かけたい」、このように、自動車の購入にはさまざまな理由がありますが、いずれにしろ高額なお金がかかります。
 そのため、多くの方がローンを利用した購入を考えるのではないでしょうか。しかし、高額なローンを組むと保証人が必要なのかどうか、気になっている方もいると思います。
 そこで、今回はマイカーローン(自動車ローン)の申込時に保証人が必要かどうかについて解説します。

マイカーローン(自動車ローン)の保証人の必要性

2人が署名をしている画像

そもそもローンの保証人とは、「人的担保」ともいい、万が一契約者が返済できなくなったときに契約者に代わって返済する人のことです。
 ローンの種類や借入金額、申込者の状況によって、金融機関から保証人を求められることがあります。

保証人の必要性

マイカーローン(自動車ローン)は、大きく分けると以下の2種類になります。

  • 自動車メーカー系列の信販会社やディーラーが提携している信販会社が融資するローン(ディーラーローン)
  • 銀行や信用金庫などの金融機関が融資するマイカーローン

前者のディーラーローンでは、一般的にローンを完済するまで自動車の所有権はディーラーになります。少し難しい言葉になりますが、このような売買形態を「所有権留保付割賦販売契約」といいます。

この契約では、万が一契約者がローンの返済をできなくなったときに所有権を持つディーラー(売り主)は自動車を取り戻し、換価したうえで残代金の回収を図ることが可能です。

一方、後者の銀行をはじめとする金融機関のマイカーローンでは、金融機関が指定する保証会社の保証が受けられることを条件とするところが多い傾向といえます。

なぜなら、万が一契約者がローンの返済をできなくなったときでも、金融機関は保証会社から未返済分を肩代わりしてもらえるからです。

この場合、ローンの契約者は金利以外に別途保証料を支払わなければなりません。金融機関にもよりますが、保証料は別途提示されていたり、金利に含まれていたりします。これらの事情から、マイカーローン(自動車ローン)では基本的に保証人が不要とされているのです。

マイカーローン(自動車ローン)で保証人を求められるケースとは

マイカーローン(自動車ローン)では、例外的に保証人を求められる場合もあります。実際に保証人が必要かどうかは個々のケースや金融機関によってさまざまですが、一般的には次のようなケースが該当します。

  • 学生
  • 新卒就職者
  • アルバイト・パートで経済状況が不安定
  • 収入が少ない
  • 返済負担率が3割以上
  • マイカーローン(自動車ローン)の申込金額が多い
  • 他に借り入れをしている
  • 支払いの遅滞をしたことがある

民法改正にともない2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられたことにより、現在では多くの金融機関でマイカーローン(自動車ローン)の申込みは、18歳以上であることが条件です。なお、成年年齢に達していても、「安定かつ継続した収入がある」ことは融資条件の一つです。マイカーは、住宅と異なり安定かつ継続した収入がない学生や給料をもらい始めて間もない新卒就職者の場合も日常生活で必要になることがあります。そういったケースでは、別途保証人が必要とされることがあります。

一方で、継続した収入があっても収入額が少なかったり、他の借り入れやマイカーローン(自動車ローン)自体の申込金額が多かったりする場合は、返済能力が低いと判断されます。年収に対するローンの年間返済総額の割合を「返済負担率」といい、返済負担率の基準はどの金融機関も公開していませんが、一般的には3割程度が目安とされています。これを超えると保証人を求められる可能性が高くなるでしょう。

マイカーローン(自動車ローン)の保証人に適した人とは?

女性と2人の男性が会話している画像

保証人が必要となれば、誰かに保証人になってもらえるようお願いしなければなりません。とはいえ、誰でも保証人として認められるわけではないことも知っておきましょう。

保証人は、契約者が返済できなくなった場合に代わりに返済する人であることは前述しましたが、言い換えると保証人自身の返済能力も求められるということです。

保証人と連帯保証人の違い

ひとくちに保証人といっても、「保証人」と「連帯保証人」があります。これらの違いを知っておくことも大切です。

保証人とは?

保証人の場合、通常、お金を貸した債権者からいきなり貸金の返済を求められることはありません。なぜなら、先に借り入れした本人に請求するように抗弁する権利(催告の抗弁権)があるからです。

また、借り入れた契約者の資力を証明し、契約者の財産に対し強制執行するよう求めることができます。(検索の抗弁権)

連帯保証人とは?

連帯保証人には、保証人のような「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権が」ありません。そのため、連帯保証人となった時点で契約者と同じ返済義務を負います。つまり、保証人よりも重い責任を負うことになるのです。万が一、契約者が延滞した場合、連帯保証人は即座に返済する義務があります。

保証人に適した人の条件

そもそもマイカーローン(自動車ローン)は、原則として保証人が不要なローン商品です。それにも関わらず、保証人を求められるということは、契約者以上の返済能力を示せる人であることが必要になります。また、保証人になるということは保証人自身が借金をすることと同義です。

後々お金のトラブルが発生する可能性も否めないため、金融機関からも他人ではなく、基本的には契約者の親族を保証人にするように求められることが多いでしょう。その他に保証人として適する人の条件は、一般的には次のような人たちです。

  • 成人(ただし、高齢者、年金生活者は認められない場合があります)
  • 継続・安定した収入がある(年金収入のみは認められない場合があります)
  • 自己破産や支払いの遅滞をしていない
  • 税金の支払いを遅滞していない
  • 反社会的勢力ではない
  • 返済負担比率が基準以下
  • 収入に釣り合わない借り入れをしていない

保証人が過去に自己破産や支払遅滞などの信用事故情報がある場合や、保証人自身に借り入れがあり保証人を引き受けることで返済負担率が大きくなるような場合は、認められない可能性があります。

保証人の責任

マイカーローン(自動車ローン)で保証人を求められる場合、ほとんどの場合は「連帯保証人」です。保証人を依頼する側も引き受ける側も、まずは保証人の責任をきちんと理解しておきましょう。

なぜなら、連帯保証人として返済ができない場合、その人自身の財産を差し押さえられる可能性があるからです。

実際の返済請求では、まずはローンの契約者に対して返済請求がいくのが一般的です。連帯保証人への請求の流れは、一般的には次のようになります。

  1. 契約者本人の返済が遅れた場合に契約者本人に対して督促が届く
  2. 督促に応じず、契約者本人が返済を行わない場合、連帯保証人に督促が届く
  3. 契約者本人が支払わない場合は連帯保証人が返済の肩代わりをする

このときの連帯保証人への督促は、電話または郵便で連絡が来ることが一般的です。なお、連帯保証人が肩代わりしなければならないのは、借入元金と利息以外に遅延損害金も含まれます。

もし、本当に借入元金・利息・遅延損害金の肩代わりが必要になった場合、人間関係を悪化させかねません。

そのため、保証人を依頼したり、保証人を引き受けたりする時は、保証人の責任について十分に理解したうえで慎重に判断することが必要です。

保証人を依頼する際のポイント

マイカーローン(自動車ローン)の保証人になってもらうことは、たとえ親や親類といった親しい間柄であっても、相手に重い責任を負わせることになります。

そのため、保証人を依頼する際には、相手に保証人の責任について理解してもらうことを心がけましょう。

以下で、保証人を依頼する際の3つのポイントを紹介します。

ローンが必要な理由を説明する

繰り返しになりますが、保証人は大きな責任がともないます。まずは、マイカーローン(自動車ローン)の利用が必要な理由を正確に説明しましょう。

例えば、以下のように自動車や保証人の必要性を具体的に伝えます。

  • 子どもを保育園に預ける際、バスや電車では難しいため自動車が必要
  • 就職先は決まったが、現時点ではまだ学生の身なので保証人が必要
  • 子どもが小さい間は時短勤務をしているため収入が下がり、保証人が必要 など

保証人の責任とリスクを説明する

自分の事情ばかりを説明するのではなく、保証人になることで相手に発生するリスクを説明することも大切です。

なぜなら、相手に迷惑をかけないつもりでいても、自動車を購入したあとに予定していた収入金額が変わったり、他に必要な出費ができてローンの返済が厳しくなったりする可能性もあるからです。

特に、前述したように連帯保証人の場合は、契約者と同じ返済義務を負います。相手が連帯保証人の責任やリスクを知らないまま引き受けてしまうと、トラブルのきっかけとなりかねません。連帯保証人の責任とリスクを丁寧に解説し、納得してから署名をもらうようにしましょう。

借入後の返済計画を示す

連帯保証人は、契約者と同じ返済義務を負うため、借入金額や月々の返済金額、返済期間などの返済計画を丁寧に説明することも大切です。

併せて、カードローンやキャッシングなどがある場合は、これらの返済が月々いくらあり、きちんと返済していることも説明しておきましょう。

一般的に、保証人になっても良いと思ってくれるかどうかは、本人がきちんと返済計画を立て、計画通りに収支の管理ができる人であるかどうかによるところが大きいです。借り入れすること以上に、返済することをしっかりと検討している態度を示しましょう。

保証人になってもらったら、ローンを完済するまでは自分と同じ責任を負ってもらっていることを忘れてはいけません。一度でも返済が遅れると、ローン会社が保証人へ連絡する可能性があります。保証人になってくれた人に心配をかけないためにも、返済状況を報告するように努めましょう。

相手との関係や、相手の性格、約束にもよりますが、毎月遅延なく返済できていることや、あとどれぐらいで返済し終わるのかなどを逐次報告すると相手側も安心です。完済後も、これまで保証人になっていてくれたことに対するお礼を忘れないようにしてください。

保証人を用意できない・付けたくない場合の対処法

保証人を見つけたくても、「保証人として適当な人が身近にいない」「保証人になってくれる人がいない」「誰にも頼みたくない」という人もいるでしょう。そういう場合の対処の方法も知っておきましょう。

ローンを利用せずに現金で購入できれば保証人は不要です。しかし、お金が貯まるまで猶予がないようなケースもあるため、現金で購入する話はあまり現実的な対処法とはいえません。 そういう場合は、申込みする借入金額を減らすことやローンを利用しないで自動車を使う方法を検討してみましょう。一般的に次の4つの方法があります。

残価設定ローンを利用する

残価設定ローンは、3年後、5年後などの残存価値(下取り価格)をあらかじめ決め、残価分を差し引いたうえで借入金額を設定するローンです。

残存価値(下取り価格)を差し引く分、借入金額が減少しますから審査に比較的通りやすくなります。多くの場合は、ディーラーローンで取り扱いされていますが、残価設定型のマイカーローン(自動車ローン)を取り扱う銀行もあるため確認してみましょう。

頭金を用意する

できるだけ頭金を多く用意することで、借入金額を減らすことができます。借入希望額の減額後に審査をしてもらうことで審査に通る可能性が高まるでしょう。頭金を用意できたということも審査にプラスになることがあります。

購入予算を下げる

借入金額を減少させるためには、自動車にかかる購入予算を減らすのも有効な方法です。例えば、必要のない装備やオプションを外したり、車種やグレードを見直したりしてみると良いでしょう。

場合によっては、中古車の購入を検討することも選択肢の一つです。同じ車種やグレードであれば、基本的に新車よりも安価で購入できます。中古車を探しているうちに、ローンを組まなくても支払える金額の自動車が見つかるかもしれません。

ローン以外の方法を検討する

購入せずに自動車を利用する方法であれば、ローンを利用する必要がありません。例えば、以下の3つの方法を検討してみてください。

カーリースを利用する

カーリースは、リース契約を締結することにより、契約で定めた期間、月々リース料を支払うことで購入した場合と同じように自動車を利用できます。月々のリース料は、残価設定ローン同様に残価を設定して決められますが、借り入れではないため、金利の概念がなく頭金も必要ありません。

カーシェアを利用する

自動車を持たなくて良いのであれば、カーシェアを利用する方法もあります。カーシェアは、複数人で自動車を共同で使用する仕組みやサービスです。

入会金や月額料金(基本料金+時間料金)を支払いカーシェアサービスの会員になると、必要な時に、必要な時間だけ自動車を使うことができます。

レンタカーを利用する

使用頻度によっては、入会金や月額基本料金を支払う必要のないレンタカーを検討するのも良いでしょう。

まとめ

基本的にマイカーローン(自動車ローン)は、保証人が不要です。しかし、どのローンでも契約者に充分な返済能力がなければ融資してもらえません。原則、保証人が不要なマイカーローン(自動車ローン)でも契約者の信用状況によっては、例外的に保証人が必要となる場合もあります。

一般的には、未成年や学生のように安定継続した収入がない人や、借入金額が多く年収に対する返済負担率が高い人は、保証人が必要とされるケースが多く見られます。

また、保証人になる人にも返済能力が求められますから誰でも良いわけではありません。基本的には契約者の親というように、親族を保証人とするよう求められる傾向があります。

しかし、保証人自体に多くの借り入れがある場合や過去に金融事故を起こした人は、保証人として認められない可能性があるため注意が必要です。

保証人には、債務の返済義務が生じますから依頼する側も引き受ける側も安易に考えず、きちんとどのような責任があるのか理解しておきましょう。保証人を用意できない場合には、借入金額を減らしてみることも方法の一つです。借入金額を減らすには、残価設定ローンを利用する方法や頭金を用意する方法、購入予算を見直すなどの方法があります。

おすすめ!マイカーローン(自動車ローン)の徹底比較!「イー・ローン」

「マイカーローン(自動車ローン)に保証人が必要かどうか」「どのような場合に保証人が必要か」について見てきましたが、実際には金融機関によって条件は異なります。

マイカーローン(自動車ローン)の利用を検討している人は、さまざまなローン商品で取り扱い条件を確認するようにしてください。

ただ、マイカーローン(自動車ローン)はたくさんの金融機関が取り扱っているため、どれにすれば良いのか悩ましいところです。そのような場合は、多くのマイカーローン(自動車ローン)をランキング形式で確認できるイー・ローンを利用してみてはいかがでしょうか。

総合・実質年率・アクセス数・申込数など、さまざまな視点でランキングを確認することができます。イー・ローンで、自分の条件にぴったり合うマイカーローン(自動車ローン)の商品を見つけることができるかもしれません。

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ライター紹介

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續 恵美子 (つづき えみこ)

日本FP協会認定CFP®

生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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