第46回

カードローンは一括返済がおすすめ?一括返済のメリット・デメリットをチェック

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この記事のポイント
  • カードローンの一括返済することで以降の返済分がなくなる以外にもさまざまなメリットが
  • カードローンを一括返済することには、メリットだけでなくデメリットもあるので確認しよう
  • カードローンを一括返済するときは、返済日や返済額などを確認してから申請しよう
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毎月返済はできていても、カードローンを利用している人の中には「この返済がなくなれば……」と思う人も多いはず。そんなときには、可能であれば一括返済を検討してみてはいかがでしょうか。一括返済は、毎月の返済がなくなる以外にもさまざまなメリットがあります。ただ、押さえておきたい注意点もあります。今回はカードローンの一括返済のメリット・デメリットとともに、一括返済の手順について確認していきましょう。

カードローンの一括返済のメリット

スーツの男性が木の天秤を見ている画像

カードローンを利用すると、毎月決められた金額(借入元金+利息)を返済していかなければなりません。返済期間の途中で借入残金を全額返することを一括返済といいますが、一括返済することで以降の返済分がなくなるのは最大のメリットです。しかし、それ以外にもさまざまなメリットがあります。

支払総額が減る

借入金の利息の金額は、「借入残高」「金利」「借り入れから返済までの期間」の3つの組み合わせで決まります。「借入残高が多い」「金利が高い」「期間が長い」という条件ほど利息の額が増えていく仕組みです。これを数式で表すと次のようになります。

  • 利息額=借入残高×金利(実質年率)×借入期間

カードローンでは、毎月の返済額は借入残高に応じて段階的に決められており、残高が少なくなるほど返済月額も少なくなるのが一般的です。逆に、毎月の返済額が少ない状態だと完済までの期間が長くなってしまいます。毎月少しずつ返済をすることで借入残高は徐々に減っていきますが、期間が長くなると、支払利息が増える原因になってしまうでしょう。

カードローンでの利息は日割りで計算されます。そのため、毎月の返済額に含まれる利息額は毎月の返済後の残高と、次回返済日までの日数によって変動する仕組みです。先の計算式は一般的な利息額の計算式ですが、カードローンの利息に関しては、次の計算式を覚えておくといいでしょう。

  • 利息額=借入残高×金利(実質年率)×日数(前回支払日の翌日~今回支払日までの日数)÷365日

つまり、一括返済することで毎月払う必要のあった利息を払わずにすむことになり、その分、支払総額が少なくなるというわけです。

個人信用情報の信用履歴が増える

カードローンに限らず、ローンを利用すると信用情報機関に情報が記載されます。この情報は、借入日や借入金額はもちろん、毎月の返済状況や遅滞情報などのあらゆるローン利用履歴です。一括返済した場合にも、その情報が記載されることになります。

この個人信用情報は、新規でローン借り入れを申込む際の審査において、金融機関が確認する項目のひとつです。通常、審査は申込者の返済能力を確認するために行うものです。個人信用情報の中で予定よりも早く完済している旨の一括返済の履歴があれば、「経済力がある」と判断されて審査に有利に働きます。将来的に住宅ローンやマイカーローン(自動車ローン)を利用する可能性がある人には、一括返済をすることで信用履歴が増えるのはメリットになります。

利用限度額が増える

信用履歴によって返済能力の面で高評価をもらえれば、金融機関から利用限度額の増額を提案されることがあります。利用限度額が増えたからといって限度額まで借り入れる必要はありませんが、将来的にお金の工面が必要になった場合のことを考えると、利用限度額は多いほうが安心でしょう。

カードローンの一括返済のデメリット

スーツの男性が手をバツにしている画像

カードローンを一括返済することには、メリットだけでなく、デメリットもあるため押さえておきましょう。

手間がかかる

毎月の返済約定日に約定額を返済するのとは異なり、一括返済する場合には電話や店舗窓口で返済額を確認しなければなりません。借入元金の残高は、カードローンの返済明細やウェブサイト上の個人ページでも確認することができますが、前述したように、前回返済日翌日から支払日までの利息は日割りでかかります。一括返済する日が1日違えば利息額も変わりますから、確認した金額が変わらないように一括返済日にも気をつける必要があるのです。

また、毎月の返済は口座引き落としやATMで返済するのが一般的ですが、一括返済の場合には金融機関ごとに取り扱い方法が異なります。そのため、この点についても、きちんと確認しておくことが必要です。

多くの場合は「指定された口座へ振り込み」「店舗窓口来店」などで返済するようになり、振り込みする場合の振込手数料は契約者負担になります。中には、ATMでの一括返済に対応しているところもありますが、金融機関の専用ATMのみで提携ATMでは返済できないところもあるため、注意が必要です。

また、専用ATM、提携ATMともに硬貨の入金に対応しておらず、お釣りが出ない場合もあります。日割りで計算される利息は、1,000円未満の端数が出る場合がほとんどですから、硬貨で入金できない場合は「払いすぎ」になってしまいかねません。払いすぎた分は金融機関から返金されますが、返金方法の確認や窓口来店が必要になる場合もあるため、手間がかかります。

生活を圧迫する

支払うべきだった利息がなくなり返済総額が少なくなるとはいえ、無理に一括返済をしてしまうと貯金や手元資金がなくなってしまうリスクがあります。そのせいで、過度な節約を強いられたり、急にお金が入り用になったときに、またローンの借り入れが必要になったりしてしまえば元も子もありません。

一括返済のメリットだけに目を向けるのではなく、当面のキャッシュフローを考慮しながら一括返済を検討するようにしましょう。臨時収入が入ったときや予定していた支出がなくなったときに、そのお金を一括返済に回すことで家計の資産状況を改善させるのが理想です。

多重債務者は他社の返済にも気を配る必要がある

複数のローンを抱えている人は、すべての返済に気を配りながら検討することが必要です。1社だけ完済しても、預貯金や手元資金がなくなり他社への返済が難しくなるようでは、遅滞や滞納に陥るリスクも考えられます。1社の一括返済で信用履歴ができたとしても、他社の延滞で信用情報が落ちるほうが将来的な借り入れの面ではマイナスです。一括返済する際には、他社への毎月の返済や生活費に悪影響を与えないことを確認したうえで行うようにしましょう。

そのほか、余裕資金の状況によっては、一括返済以外にも少しずつ一部繰り上げ返済する方法や、毎月の返済額を増額して完済を早める方法もあります。預貯金や他のローン全体のバランスを考えながら実行するようにしてください。

カードローンの一括返済の流れ

カードローンを一括返済するときは、返済日や返済額などを確認したうえで実行します。それぞれの手順をもう少し詳しく見ていきましょう。

返済額・返済日の確認

まずは一括返済に向けて、完済するための正確な金額を調べる必要があります。金融機関のインフォメーションセンター(※)に電話で確認するか、窓口に出向いて確認してみましょう。金融機関によっては、ウェブサイトの会員専用ページで確認できるところもあります。

金融機関は契約者が申し出た返済予定日にもとづき返済額の計算をするのが一般的です。仕事の都合などで予定日が不確定になる場合は、いくつか返済日の候補を伝え、「○月X日の場合はいくら」「○月Y日の場合はいくら」というように計算してもらっておくといいでしょう。

ただし、一括返済に当たっての取り扱いルールは金融機関によって異なります。すでに当月分の返済請求が出てしまい、すぐに一括返済を受けられないという場合もあるかもしれません。いつなら返済できるのか、返済日(返済期間)をきちんと確認しておきましょう。

(※)金融機関によって名称は異なります。

一括返済の方法を確認

一括返済の方法は、金融機関によって異なります。多くの場合は、指定された口座へ振り込みできますが、その場合には、銀行名・支店名・預金種目・口座番号・口座名義をきちんと確認しましょう。また、毎月返済している口座から指定日に一括返済相当金額が引き落としされるところもあります。その場合には、振替日、振替金額をきちんと確認し、前日までに口座にお金を入金しておくことが必要です。

返済すべき全額を入金

一括返済に必要な金額を確認したら、その全額を指定された方法で入金します。その際、ATM利用手数料や振込手数料などがかかる可能性もあるため、指定された金額より少し多めにお金を用意しておくようにしましょう。

金融機関が入金を確認

入金した後は、金融機関が入金を確認して一括返済手続きは完了です。入金額の相違がないなど、特に問題がなければ一般的に金融機関からの連絡はありません。完済した旨の確認をしたい場合や、完済証明書が必要であれば金融機関に連絡をすれば発行してもらえます。

なお、完済すればカードローンの借入残高はなくなりますが、カードローン契約そのものがなくなるわけではありません。完済後は解約をしない限り、再度借り入れが必要になったときにはスムーズに借り入れが可能です。ただ、カードローン契約が残っていると他の借入審査の際、借入金がなくても契約している限度額は利用しているものと見られるため、住宅ローンやそのほかのローン審査で不利になる可能性もあります。当面カードローンを利用しないのであれば、契約自体を解約してしまうことも検討するといいでしょう。

カードローンの返済方法を確認するなら「イー・ローン」

一括返済はもちろん、カードローンの約定返済方法も金融機関によって異なります。金利はもちろん、返済日が1日ずれるだけで返済利息額が変わりますから、カードローンを利用する際には返済方法もきちんと確認してから選ぶようにしましょう。

カードローンの選び方「イー・ローン」

銀行や信用金庫、JAなどの金融機関、信販系、消費者金融系などのノンバンクが取り扱っているカードローンは、その数も豊富で利用条件、金利、返済方法も多種多様です。金利や返済方法は、利息額の大小や利便性にも影響しますから慎重に選ぶようにしましょう。

インターネットでさまざまな情報を検索できる時代とはいえ、山ほどあるカードローンの情報を1つ1つ調べていくのは大変な作業です。そこで、イー・ローンでは、さまざまな視点から確認できるランキングを発表しています。総合的なランキングはもちろんのこと、金利や申込数、アクセス数から、確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ

返済期間の途中で借入残金を全額返済することを一括返済といいます。一括返済することで、以降の返済分や支払利息がなくなるため、支払総額を減らすことが可能です。他にも、信用履歴が残り将来的なローン申込みの際には有利になることもあります。一方で、無理に一括返済することで、預貯金や手元資金がなくなり、家計や他のローンの返済が苦しくなるリスクも否めません。そのため、一括返済を検討する際には資産や家計支出、他のローンの状況など全体的なバランスを調整しながら実行することが大切です。

一括返済の取り扱い方法は金融機関によって異なりますから、返済する前に「返済日」「返済額」「返済方法」をきちんと確認しておきましょう。なお、完済した後に特に問題がなければ金融機関からの連絡はありません。完済証明が必要な場合には、金融機関に連絡をして発行してもらうようにしましょう。日割りで利息がかかるカードローンでは、返済日が1日違うだけで返済総額が変わります。少しでも早く完済するためには自分にとって便利な方法で返済できるカードローンを選ぶことも大切です。

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續 恵美子 (つづき えみこ)

日本FP協会認定CFP®

生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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