第647回

11月11日は介護の日!老後と介護に必要なお金はいくら?

両親は今のところ、元気にセカンドライフを謳歌していますが、近い将来、介護が必要になるかもしれません。介護費用は、どれくらいかかるものなのでしょうか? 両親にかかる介護費用も知りたいですし、自分たちは老後の生活費も含めてどれくらい準備すればいいかも知りたいです。(N・Nさん 48歳 会社員)
ご両親や自分が元気なうちは、あまり考えないものですが、長生きすればするほど要介護の可能性は高まります。元気な今のうちに、ご両親の介護費用は大丈夫かを確認しておきたいものです。同時に、自分の介護費用も含めた老後資金についても考えてみましょう。

介護費用はどれくらいかかる?

介護に関する啓発を重点的に実施する日として、厚生労働省が11月11日(いいひ いいひ)を「介護の日」と定めました。この機会に、ご両親と自分たちの介護費用について考えるのはいいことです。では、介護費用はどれくらいかかるのでしょうか?

介護費用は、どこで(在宅、公的介護施設、民間の有料老人ホームなど)・どんな介護を・いつまで受けるかで大きく変わります。生命保険文化センターの「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」の介護経験者(現在、介護中の人も含む)のデータをもとに探ってみましょう。これは、近い将来、介護が必要になるかもしれないご両親の介護費用の目安になります。

介護にかかる費用(公的介護保険の自己負担分も含めて)の平均は、介護スタート時の一時金(住宅リフォーム、介護用ベッドの購入費用など)として約80万円、月々の費用として7.9万円かかっています。介護期間は平均59.1か月です。このデータで介護費用を計算すると以下のとおりとなります。

80万円(介護スタート時の一時金)7.9万円(月々の介護費用) × 59.1(介護期間)
約547万円

高齢期になると、入退院を繰り返すなど医療費がかかってから要介護に突入するのが一般的でしょう。要介護期間も医療費はかかり続けます。ですから、介護費用と高齢期の医療費はセットで考える必要があり、200万~300万円を上乗せし介護・医療費用の目安は747万~847万円です。 さらに亡くなるとお葬式代もかかります。お葬式代はどのような式にするかで費用は大きく変わりますが、少なくとも40万~50万円はかかります。すると、介護・医療・葬式代のエンディング費用は、1人あたり800万~900万円、ご両親2人で1,600万~1,800万円かかることになります。

介護費用が一時的に足りなくなったらどうすればいい?

ご両親にかかるエンディング費用の合計額は、少し衝撃的だったかもしれませんね。 ご両親のエンディング費用はご両親自身が用意すべきと、筆者は考えます。そこで、ご両親の公的年金と貯蓄でエンディング費用が賄えるか、確認しておくといいでしょう。もちろん、老後の生活も含めて、です。

もし、一時的にお金から足りなくなったら、ご両親名義か自分名義かは別にして、介護ローンやフリーローンなどで一時的に借り入れることも視野に入れておきましょう。

さて、自分たちのエンディング費用は、いくらぐらいと予測すればいいでしょうか。今後、高齢化の進展に伴って、公的介護保険と公的医療保険の自己負担額は増え、老後の生活費のベースになる公的年金は減っていくでしょう。 ですから、今回算出した老後資金額よりも将来は多く準備する必要があります。50代は、老後資金準備にラストスパートをかける時期です。計画的な貯蓄・運用をして、老後破綻しないようにしましょう。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2015年11月02日