第871回

これからのライフプランを整理!今後の収入や支出、貯蓄について考えよう!

新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先の会社の売上が減少しており、夏の賞与が減りそうです。 現在仕事はテレワークで、自宅で過ごす時間が増えていることもあり、ライフプランやマネープランについて妻と話し合いを持とうと考えていますが、ヒントがあれば教えてください。(43歳 男性 会社員)
ライフプランやマネープランを作るには、将来のライフイベントの時期と費用を見積もり、現実的で長期的な資金準備計画を検討する必要がありますが、 家族と話し合うときの第一歩として、まずは、現在の収入や支出、貯蓄額、今後10年以内のライフイベントとその費用など、身近で具体的なことの確認からはじめてはいかかでしょうか。

家族とライフプラン、マネープランを考える第一歩は、現状の確認!

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が家計にも広がり始めています。 正社員として働く方も、会社によっては、業績の悪化によって収入が減る可能性があります。 そんな方は、感染症に収束の兆しが見えないだけに、ライフプランやマネープランの見直し、検討に着手したほうがいいかもしれません。 在宅勤務などで家族と自宅で過ごす時間が増えている場合は、将来のことをじっくり考える良い機会にもなります。

夫婦でライフプランやマネープランを考えるには、まず、足元の状況を確認し、共有化することからはじめる必要があります。 具体的には、夫婦それぞれの現在の手取り収入、支出、給与や賞与からの積立額、貯蓄残高などの確認です。 なお、支出に関しては、「食費・日用品費」、「水道光熱費・通信費」、「小遣い」、「子供の教育費」、「住居関連費用」、「生命保険などの保険料」、「レジャー・遊興費」など、大まかな項目ごとに確認したほうがいいでしょう。 最初にこれらの現状を確認し、共有化することで、将来のライフイベント費用の準備計画を検討しやすくなります。

例えば、今後世帯収入が減りそうな場合は、「給与や賞与からの積立額を減らさないために、どの支出をどの程度削減するか?」、「支出の削減が難しい場合は、給与や賞与からの積立額をいくらに減額する?」、「今後、1年間で貯蓄する金額をいくらにするか?」などを具体的な数値で検討することができます。

今後10年以内のライフイベントと費用を見積もる!

ライフプランやマネープランは、夫婦の一生涯に渡る長期的なプランを立てるのが良いとされていますが、長期的に考えるのが難しい場合は、今後10年以内の比較的考えやすいライフイベントの時期と費用を見積もってみてはいかがでしょう。 ここでいうライフイベントとは、毎年の収入の範囲内でカバーできないまとまった費用のかかる出来事のことです。 収入の範囲内でカバーできない費用は、計画的に時間をかけて準備しなければなりません。 ライフイベント費用の代表例は、住宅取得資金、子供の大学進学に伴う資金、老後資金で、多くの家庭にとって必要不可欠な資金です。 地方に住んでいる方は自動車購入費用も必要不可欠な資金といえるでしょう。 その他、親の介護費用やレジャー・旅行費用など、個々の事情によって必要な資金は異なるでしょう。

ライフイベント表の例
・現在の貯蓄額:500万円
・長男の大学進学資金として、2023年に200万円、2024~2026年に各50万円を準備。
・長女の大学進学資金として、2026年に200万円、2027~2029年に各50万円を準備。
・夫婦の老後資金として、2029年までに400万円を目標に準備。
西暦 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029
43歳 44歳 45歳 46歳 47歳 48歳 49歳 50歳 51歳 52歳
40歳 42歳 43歳 44歳 45歳 46歳 47歳 48歳 49歳 50歳
長男 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳 20歳 21歳 22歳 23歳 24歳
長女 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳 17歳 18歳 19歳 20歳 21歳
ライフイベント費用(単位:万円)
長男
大学進学資金
200 50 50 50
長女
大学進学資金
200 50 50 50
老後資金
(貯蓄目標額)
400
合計 200 50 50 250 50 50 450

※今後10年間で準備する必要がある資金の合計額:1,100万円

資金準備計画を立てる!

上記の例を使って、資金準備計画を立ててみましょう。

今後10年間で準備する必要がある資金の合計額は1,100万円ですが、現在貯蓄が500万円あるため、差額の600万円を今後10年間で準備しなければならないことになります。

なお、今後、積み立てなどの貯蓄がまったくできない場合、現在の貯蓄額500万円は2023年から急激に減り、2026年中には0円になってしまいます。

この例の場合、今後10年間で一度も貯蓄残高が0円にならないように600万円を準備するには、単純計算で、毎年60万円の貯蓄ができればよさそうです(金利等は考慮せず)。 例えば、月額3万円、ボーナス1回で12万円の積み立てが必要です。

資金準備計画例
西暦 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029
必要資金
(支出額)
200 50 50 250 50 50 50
積立額
(貯蓄額)
60 60 60 60 60 60 60 60 60 60
貯蓄残高 560 620 680 540 550 560 370 380 390 400

※2029年に、老後資金の貯蓄目標額400万円を達成

現在および今後の年間積立額が60万円以上であれば、特別に対策を講じる必要はありません。 しかし、60万円未満の場合は、支出を削減して積立額を増額するなどの対策が必要です。 積立額を増額できない時は、ライフイベントそのものを中止、あるいは延期をしたり、予算を抑制する必要があります。 また、貯蓄と出費のタイミングが合わなかったり、手元の現金が減少するのを避けたい場合などでは、ローンを利用する方法もあります。 ただし、ローンを借りる場合は、あらかじめ返済の目処を立てておき、できるだけ返済負担が軽い有利な条件のものを選ぶ必要があります。 借り入れの目的によって金利水準も異なりますので、どの支出に対してローンを利用するかも考えましょう。

いずれにしても、定期的にライフプラン、マネープランを検討し、見直すことは豊かな人生を送るうえでとても意味もあることです。 あらかじめプランを立てておくと、今回の新型コロナウイルス感染症のような突発的で不測の事態が起こったときにも、冷静かつ柔軟な対応ができるようになります。

【参考リンク】

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2020年04月27日