第30回

住宅ローンの審査について徹底解説!具体的な審査基準について紹介

マイホームの購入には多額の資金が必要です。一生に一度の大きな買い物と考える方もいるかもしれません。実際、多くの方が住宅ローンを利用してマイホームを購入していますが、住宅ローンには審査があり、誰でも希望通りの住宅ローンが利用できるわけではありません。
 審査基準は金融機関により異なりますが、借入条件をクリアして大きな問題がなければ審査は通ると考えられます。そこで、今回は住宅ローンの審査基準や流れについて紹介します。事前にポイントを押さえて万全の準備をしましょう。

住宅ローンの審査の流れについて

住宅ローンの審査の流れは、事前(仮)審査の申込みから始まりますが、審査に必要な日数や必要書類は金融機関によってさまざまです。ここでは、一般的な住宅ローン(新築・購入)の審査の流れについて説明します。

住宅ローンの審査から借り入れまでの流れ

  1. 事前(仮)審査の申込み  
    来店不要でインターネットで24時間申込みができる金融機関が多くなっています。
  2. 事前(仮)審査
    申込みの意思確認の連絡が金融機関からあるため、連絡先は正確に記載しましょう。この時点では、物件の内容が正確にわかるチラシやパンフレット、土地や建物の謄本や公図、間取り図等があれば問題ありません。
  3. 本(正式)審査
    売買契約書や重要事項説明書等正式な書類を提出して申込みを行います。
  4. 契約
    窓口へ行き契約するのが一般的ですが、最近では事前(仮)審査の申込みから契約までWebですべて完結する金融機関も多くなっています。銀行の窓口に行かなくても契約ができるので非常に便利になっています。金融機関は、契約内容の説明や借入意思の確認、保証人がいれば保証意思の確認をして契約を結びます。
  5. 借り入れ(住宅の引き渡し等)
    融資を受けるのと同時に、不動産会社、買い主・売り主とで売買契約書に基づき代金の支払いと物件の引き渡しをする「取引」を行います。融資が実行されると売り主への支払いも同時に行われるのが一般的ですが、所有権の移転や抵当権の設定等登記をする必要があるため、司法書士も立ち会います。

住宅ローンの審査の時間

事前(仮)審査の結果連絡は3日~4日程度です。しかし、不明な内容の確認や追加で書類を求められたりした場合、1週間以上かかることもあります。本(正式)審査時は、売買契約書や重要事項説明書等さまざまな書類の確認が必要です。また、金融機関は担保の価値を評価するため対象となる物件調査を行います。そのため、事前(仮)審査よりも時間がかかることが多くなっています。

せっかく気に入った物件が見つかっても事前(仮)審査に時間がかかってしまっては、売買契約書を締結する前に物件を他の人に買われてしまう可能性があります。また、売買契約書のローン条項(金融機関から融資の承諾が得られなかった場合に、手付金の放棄や損害賠償などの不利益を負うことなく契約を解除できる条項)の期限内に本審査が完了していないと大きな損害が発生する可能性があります。そのため、スケジュールには余裕を持って必要書類をしっかりとそろえ、確実に行うことが何よりも大切です。本審査の目安は1週間程度です。

住宅ローンで重視される審査基準とは

住宅ローンの審査基準を知っておくことで事前に準備できることがあります。金融機関が重視する審査基準は、簡単にいうと「最後まで返済できるかどうか」です。

住宅ローンの事前(仮)審査時の審査基準

住宅ローンの審査をするにあたって重要な項目について確認していきましょう。

年齢(完済時の年齢)

多くの金融機関が完済時年齢を80歳前後としています。例えば、35年のローンを組むとした場合、何歳までに申込むべきかをよく検討しなければなりません。具体的には勤務先の定年に合わせて、住宅ローンが返済できるライフプランとなるのが理想的です。

勤務先、雇用形態、勤続年数、年収

正社員であれば定年まで勤務する可能性も高くなるため、正社員であることはプラス要因です。また、年収が高く勤続年数が長いほど転職リスクは少なく、安定した収入が得られると判断されます。勤務先が「大手か」「中小企業か」「個人事業主か」でも判断は異なります。

家族構成・居住形態

マイホームは生活の拠点です。「家族がいれば家族のために働く」という意識から住宅ローンは一般的に返済の遅れが少ないともいわれます。また、親の土地に2世帯住宅を新築するのであれば将来相続を受ける可能性もあるでしょう。これまで賃貸であれば、支払っていた家賃の実績から「無理のない返済」と判断される可能性もあります。

他社借入件数、借入総額

他社の借入件数や借入総額が多いと、返済能力という点で審査は不利になる可能性が高くなります。不要な借り入れや利用していないカードローンは事前に整理しておく方が賢明です。

返済負担率(30%~40%が基準)

他社借入件数・借入総額とも関連しますが、年収に対する年間返済額の割合を返済負担率と呼び、この返済負担率が審査で重要視される傾向となっています。年間の返済額は、他社で現在利用している借り入れと新たに組む住宅ローンの年間の返済額を合計して計算します。

返済負担率の上限は金融機関によって異なり公表されていませんが、一般的には30%から年収が高ければ40%程度が目安となります。年間返済額を計算するときの金利は、上昇する可能性を踏まえて4%~5%で計算している傾向です。もちろんこの金利も金融機関によって異なり、「給与所得者は3%・自営業者は5%」と計算する金融機関もあるようです。現実問題としては、マイカーローン(自動車ローン)・教育ローンなど将来の利用も考慮して、返済負担率は20%~25%程度に抑えておきたいものです。

連帯保証人

原則連帯保証人は不要です。しかし、例えば、夫婦共働きでマイホームを共有名義で購入、2人とも債務者にする連帯債務のケースでは連帯保証人が必要となる場合があります。安定収入がある配偶者を連帯保証人として、年収合算することを金融機関が認める場合もあるのです。収入合算により借入可能額が上がり審査が通る可能性も考えられます。

また、担保となる不動産(購入物件)の権利関係も重要です。本人以外が所有する不動産を担保提供する場合には、物件の所有者の連帯保証が必要になることもあります。例えば、両親の土地に住宅を新築するケースなどが該当します。

加えて、担保として提供する不動産が共有名義であれば共有者の連帯保証が必要になる可能性があります。例えば、夫婦共有名義やそれぞれに負担した代金で按分した持ち分を不動産の所有権として持つケースです。

信用情報

個人信用情報機関(CIC、JICC、KSC等)には、申込人が利用しているローンやクレジットカードの申込情報や契約内容、支払状況等が記録されています。個人信用情報機関に延滞履歴や破産等の事故情報が登録されていれば審査は通りません。事故情報があると5年~10年間は記録が残っている可能性があります。

また、事前(仮)審査の申込みを一度に複数の金融機関にすることもおすすめできません。なぜなら、信用情報には申込み情報も登録されるからです。多くの金融機関で申込みをすると「どこも審査に通らなかったのではないか」「何か問題があるから複数申込んだのではないか」とマイナスイメージを与えてしまう可能性があります。相見積もりとして同時に複数の金融機関に申込むこと自体は問題になりませんが、ある程度申込件数は絞った方が良いでしょう。

住宅ローンの本(正式)審査時の審査基準

事前(仮)審査の審査基準を踏まえたうえで、本(正式)審査特有の審査基準についても見ていきましょう。審査には銀行だけではなく、銀行と提携している保証会社の審査も加わるため、かなり厳密に行われます。

借主の健康状態と団体信用生命保険への加入

多くの金融機関が、「団体信用生命保険に加入できること」を条件としています。健康状態に不安がある方は、加入できるかどうかを窓口で相談してください。保険会社から団体信用生命保険引き受けの回答を得てから本(正式)審査に進む必要があります。

また、フラット35のように団体信用生命保険の加入ができなくても申込みができる住宅ローンを探すのも方法の一つです。ただし、この場合には借り入れしている人に万が一のことがあった場合に、遺族が債務を引き継ぐことになってしまいます。

物件の担保価値

住宅ローンの場合、借入時に金融機関(住宅ローンの保証会社)は購入物件(土地と建物)に抵当権を設定します。なぜなら、万が一返済できなくなった場合に、物件を競売等で処分して返済に充てる保全となるからです。そのため、物件の担保価値は審査をするうえで非常に重要な判断基準になります。

審査時には金融機関が独自の評価方法で担保の評価を行います。借入金額と担保価値のバランスが審査基準として重要なことから、購入物件の評価を慎重に行うのです。担保価値よりも借入金額が少なければ、金融機関は万が一のときの不良債権となるリスクが少ないと考えるでしょう。

物件の建築基準法の適合

物件の担保評価同様、金融機関は法律に適合した物件でないと処分が困難と考えるため、建築基準法や都市計画法に抵触していないかを厳格に調査します。時々ニュースで話題となる不正融資と同じように、金融機関が法律違反の物件に融資をするのはコンプライアンス上の問題として信用を失うとも考えられ、融資を受けるのが難しくなるのです。

また、中古住宅のなかには、建築時に建築基準法に適合していても、その後の法改正により現在の法律では建築確認が取得できない物件(「既存不適格」と呼びます)も少なくありません。このような物件は処分も困難であり、審査に通らない可能性が高くなります。

住宅ローンの審査で必要な書類とは

住宅ローンの申込みの際に苦労するのが膨大な必要書類ですが、これは物件購入資金か建て替えによる建築資金かによっても異なります。申込み時は、必ず必要書類を確認するようにしましょう。

顔写真付きの公的な身分証明書類のほかに以下のような書類を準備する必要があります。

勤務先で入手する必要書類

(収入を証明する資料)

  • 源泉徴収票
  • 住民税決定通知書
不動産会社から入手する必要書類
  • 売買契約書(土地や建物購入の場合)
  • 重要事項説明書(土地や建物購入の場合)
  • 工事請負契約書(建物新築・増改築の場合)
  • 物件情報(パンフレット・チラシ)
  • 住宅案内図や住宅地図 ・建物間取り図、立面図、配置図等
  • 建築確認通知書、建物検査済証(建物が伴う場合)
市役所・税務署・法務局等で入手する書類
  • 不動産登記簿謄本(法務局:土地・建物)
  • 公図・地積測量図(法務局:土地)
  • 建物配置図・建物平面図(法務局:建物)
  • 住民票(市区町村役場)
  • 固定資産税納税証明書、納付書(市区町村役場:建物建築・増改築や借り換えの場合)
  • 納税証明書その1、その2、その3(税務署:会社経営者や個人事業主の場合)

個人事業主や法人経営者の方は、確定申告書・経営会社の決算書(過去2年~3年分)の準備も必要です。また、住宅ローンの借り換えの際には、現在利用している住宅ローンの返済予定表・残高証明書や借入金返済口座の通帳の写し(6ヵ月から1年分)も用意しておきましょう。

新築と中古では住宅ローンの審査は異なる?

新築と中古住宅でローンの条件が異なることは基本的にありませんが、留意すべきポイントはいくつかあります。それぞれのポイントについて見ていきましょう。

新築住宅の審査

新築住宅の審査では「年収」「年齢」「勤続年数」により「安定した収入が得られるかどうか」という点が重要となります。中には、「年収100万円以上」「年収300万円以上」など年収に下限を設けているところもあります。また、「勤続年数1年以上、自営業者や会社経営者は営業年数が3年以上」などを条件とする金融機関もあるため確認が必要です。

先程、「完済時の年齢は80歳前後という金融機関が多い」と解説しましたが、80歳まで住宅ローンを返済していくというのは現実的ではありません。そのため、申込み時には「退職金で完済できるのか」「定年後何歳まで働くことができるのか」も踏まえたうえで返済期間を検討することが必要です。

中古住宅の審査

中古住宅の場合には、先に説明した「建築基準法に適合するか」「既存不適格とならないか」なども含め、金融機関は厳格に調査を行うのが一般的です。中古物件となると、経過年数に応じて建物の価値が減少したり、価値が出なかったりします。そのため、場合によっては土地のみの価値で担保を評価することもあるのです。

また、中古物件の場合は、住宅ローン返済中に修繕費用や建て替えが必要となることも予想されるため、審査が厳格になります。場合によっては、審査日数が通常よりも多くかかることもあるので考慮しておきましょう。

住宅ローンの審査に落ちないための対策

住宅ローンの審査に落ちた事例を紹介します。

審査に落ちた理由の一例

審査に落ちた理由として多い3つの例
  1. 信用情報に金融事故の記録がある
    個人信用情報機関(CIC、JICC、KSC等)に金融事故の登録があると、審査が通ることはありません。カードローンやクレジットカードなどは本人が遅れたことに気がつかないこともあるので、注意が必要です。
  2. 消費者金融の借り入れや過去に返済の遅延がある
    過去に返済が遅れていても現在は遅れがないという場合は、問題とならないことも多いようです。しかし、個人信用情報機関には消費者金融の情報も登録されているので、消費者金融のように高い金利の借り入れを利用していることは、たとえ遅れがなくても審査ではマイナスイメージを与える可能性があります。
  3. 納税していない
    税金を納める必要がない(非課税)場合には問題にはなりませんが、税金の滞納があると審査は通りません。サラリーマンの場合は、税金は源泉徴収され会社が納めるので滞納することはありませんが、個人事業主の場合は納税証明書の提出を求められるので覚えておきましょう。

審査に落ちないための対策

  • 頭金を用意する
    頭金をできるだけ用意して借入金額を少なくすれば、毎月の返済額も少なくなり、返済負担率が低下します。借入金額と物件の担保価値の差も少なくなったり、借入金額よりも物件の担保価値が上回っていたりすれば、審査は通りやすくなります。
  • 借り入れを整理する
    不要なカードローンやクレジットカードも利用する予定がなければ、住宅ローンを申込みする前に解約しておくのも一つの方法です。他社の借り入れも整理できるものは整理しておけば、返済負担率の低下につながります。信用情報機関の履歴が心配な方は、自分で信用情報機関に開示を申込めば信用情報を確認できるので、念のため確認しておくのも良いかもしれません。

まとめ

住宅ローンの審査は、事前(仮)審査から始まり、本(正式)審査の2段階が一般的です。事前(仮)審査は3~4日程度、本(正式)審査は1週間程度かかるので、余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。事前(仮)審査で重視されるポイント、本(正式)審査で重視されるポイントをそれぞれ踏まえて、万全の準備をしましょう。

住宅ローンの選び方「イー・ローン」

新築や中古の住宅購入、借り換えなどで住宅ローンを利用したいと考えた場合、「イー・ローン」でチェックしてみましょう。ランキングでは、「総合」「適用金利」「アクセス数」「申込数」の4つの基準で検討することが可能です。人気の住宅ローンの金利比較も簡単にすることができ、便利な機能が満載。住宅ローンを考えるなら、日本最大級のローンデータベース「イー・ローン」のランキングを参考にしてみてはいかがでしょうか。

  • 住宅ローン総合ランキング
ライター紹介
氏名
加治 直樹(かじ・なおき)
保有資格
1級FP技能士、社会保険労務士
主なキャリア
銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

融資の審査に関する内容につきましては、特定の金融機関がお申込みされたお客様に対して独自に行うものであり、当社は審査の過程および結果については一切関与しておりません。また、特定の金融機関の審査への適合性、正確性、完全性について保証するものではありません。