第31回

住宅ローンの金利相場と今後の推移について解説!

住宅の購入を考えている方にとって、「今の低金利がいつまで続くのか」気になるところではないでしょうか。今後、日銀のマイナス金利政策がどのぐらい継続するのかは誰にも分かりません。しかし、住宅ローン金利がこのまま低金利を維持するかどうかで、住宅ローンの選び方も変わってきます。
将来のことを正確に予想することは誰にもできませんが、過去の金利の推移も踏まえて今後の推移を予想し、準備することは可能です。そこで、今回は今後の金利動向と住宅ローン金利の種類の選び方について解説します。

住宅ローンの今後の推移について予想

低金利時代

長く続いている低金利時代の先を推し量るには、これまでの住宅ローンにおける金利の推移を確認することから始めましょう。住宅金融支援機構が発表した民間金融機関の住宅ローンの金利推移を見ると、1996年ごろから低金利が続いているのが分かります。なんと1991年ごろは変動金利の住宅ローンは8%を超えていたのです。

バブル崩壊により金利が下がり始め、多少の上下はあったものの1996年ごろから2%台の金利が2020年の現在まで続いています。2009年ごろからの変動金利の水準は現在まで変わらず、基準金利は2%前半のままです。日銀のマイナス金利政策は2017年1月に導入され、現在も続いています。

今後金利がさらに下がる可能性も考えられますが、住宅ローンは最長35年であることを考えると、金利は徐々に上がることも覚悟しなければなりません。住宅ローンの基準金利は2%前半のまま約10年間継続しているのが現状です。日銀や政府の政策に大きく影響を受けることはもちろん、銀行の競争激化も影響を与えます。

各銀行では、金利引き下げの特典を設けており、基準金利は2%前半でも実際には金利引き下げにより0.5%を切る住宅ローンも現れています。

【2020年1月】住宅ローンの金利の平均相場

住宅金融支援機構の民間金融機関の住宅ローン金利推移(令和元年)によると、変動金利の基準金利は2%前半、全期間固定金利の基準金利は2%後半です。しかし、各金融機関は取引実績などから独自の条件で金利引き下げを行っており、実際の適用金利は低いものとなっています。

「イー・ローン」のデータベースから2020年1月の住宅ローンの金利相場を見てみましょう。

  • 変動金利
    変動金利の最低金利は0.380%です。おおむね0.4%台後半~0.8%台に集中しています。
  • 全期間固定金利
    全期間固定金利の最低金利は0.820%です。変動金利よりもばらつきはあるものの、0.8%~1%前半台に集中しています。(フラット35も含む)

今後の金利の推移について予想

住宅ローンの今後の金利について予想するのは大変難しいものです。日銀のマイナス金利政策が続く限り、金利はしばらくこのまま推移することも考えられます。変動金利における新規貸出金利は、短期プライムレートに連動する長期貸出金利を基準に銀行が独自に決定しています。

短期プライムレートとは、短期(1年以内の期間)で貸し出す際に適用する「最優遇貸出金利」のことです。市中金利(市場金利とも呼ばれ金融機関同士がお金の貸し借りをするときに適用される金利)に連動する総合的な調達コストなどをベースにしており、この市中金利は日銀の政策金利に大きく影響されることになります。

固定金利は、一般的に10年国債利回りに連動しているといわれます。銀行は10年国債の利回りをベースに銀行独自で金利を決定しているのです。日銀のマイナス金利政策の影響を受け、今までにない低金利の状態にあります。もちろん、銀行は「金利=収益」となるので住宅ローンがマイナス金利になることはありません。しかし、現状のマイナス金利政策が続けば、金利は現状のまま推移することになると考えられます。

この低金利の情勢がいつまで続くのかを心配している方は多いでしょう。住宅ローンの変動金利は0.5%を切る時代となっています。しかし、消費税の増税、働き方改革による労働形態の変化、東京オリンピックの影響、さまざまな要因により今後金利が上昇する可能性も十分に考えられます。そもそも、政府は物価上昇の目標を決めて発表しているのです。

住宅ローンは、最長35年のローンであり、多くの人が20年以上の期間でローンを組む可能性があります。そのため、徐々に金利が上昇していくことを前提に対応することが重要です。一般的に、変動金利よりも先に長期金利が上がるといわれています。長期金利は、短期金利よりも先取りして反応し、動きが速い傾向です。先のことは不透明な分、振れ幅も大きく敏感に反応すると考えればイメージできるかもしれません。つまり、最初は変動金利を選んで、金利が上昇傾向にあると感じたら固定金利に切り替えるというのは難しいでしょう。そのため、「固定金利を選ぶべきか」「変動金利を選ぶべきか」というのは、まさに究極の悩みともいえるのです。

住宅ローンの金利の種類

住宅ローンの金利の種類は大きく分けて3種類です。それぞれについて見ていきましょう。

住宅ローンの金利の種類

全期間固定型

長期的な返済プランを立てて、金利上昇リスクに備えて返済金額を確定したいと考える方におすすめです。全期間固定金利は、その名の通り返済が終わるまで金利は固定され、途中で変わることはありません。長期間の返済額が確定するため資金計画を立てやすく、金利上昇リスクをヘッジできます。ただし、固定金利は変動金利よりも金利が高くなるため、市場金利が低下局面では支払利息が変動金利よりも多くなることがデメリットです。

固定金利選択型

一定期間を経過したのちに金利の見直しが可能なタイプの金利です。安定した返済計画を考えつつも、金利動向も見極めて対応したいと考える方におすすめです。「3年」「5年」「10年」「20年」というように一定の固定期間を選択することが可能で、固定期間選択中は返済額が変わりません。固定金利期間終了時には再度金利タイプを選択できます。原則固定期間選択中は、金利タイプを変更できません。低金利の状況下では返済額を確定したうえで低金利のメリットを享受できる半面、借入後金利が上昇した場合、初めから固定金利にしておいたほうがお得になる場合があります。

変動金利型

低金利の金利情勢を最大に生かしたいと考える方におすすめです。金融機関独自に短期プライムレートに連動する一定の基準によって金利を決定し、年に2回基準金利の見直しをするのが一般的です。金利変更があっても5年間は返済額が変わりません(5年ルール)。5年ごとに返済額の見直しを行いますが、変更時は変更前返済額の1.25倍の範囲内で変更されます(1.25倍ルール)。金利が下がったときは金利低下のメリットを享受できますが、金利が上昇すると総返済額が増加します。

金利のシミュレーション

金利が異なることで、月々の支払い、支払総額、支払利息がどれだけ変わってくるのかを具体的に見ていきます。

借入金額3,000万円 返済期間25年 ボーナス返済なしで計算した場合
金利 毎月の支払金額(円) 支払総額(円) 利息の支払総額(円)
0.5% 10万6,401円 3,192万300円 192万300円
1.0% 11万3,062円 3,391万8,600円 391万8,600円
1.5% 11万9,981円 3,599万4,300円 599万4,300円

※本シミュレーションは「イー・ローン」の「住宅ローンのかんたん返済額シミュレーション」により計算してあります。

住宅ローンは、金額も大きく返済期間も長期に及びます。たった0.5%の金利の違いで、毎月の支払金額は約6,000円~7,000円、支払総額と利息の支払総額は約200万円もの差ができることに驚く方もいるのではないでしょうか。

変動金利の場合は、低金利の情勢が続き金利に変更がなければ大きなメリットが得られることが分かります。しかし、金利が上昇した場合には毎月の支払金額が増えるので、完済までの支払総額も増加します。それぞれの金利と毎月の支払金額、支払総額を比べるとわかるように、当初変動金利で借り入れしたときの金利(0.5%)が返済途中に上昇して固定金利(1.0%)を上回れば、場合によって完済までの支払総額が逆転する可能性も考えられます。

金利だけじゃない住宅ローン選びのポイント

住宅ローンの選び方のポイント

付帯保障について
  • 全疾病保障
    8疾病(ガン、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)と8疾病以外の病気やけがにより働けなくなったときに月々の返済額を保障する全疾病保障を付保する。
  • がん診断保険金特約
    「がん」と診断されればローン残高が0円になる特約を付保する。がんが治った後も住宅ローンの返済が再開することがない。

住宅ローン借り入れの際は団体信用生命保険の加入が条件となっていることが多く、通常の団体信用生命保険は、住宅ローンの返済期間中に死亡・高度障害・または治療の効果がない重度のガンと診断された場合に、保険金によって住宅ローンが返済され、残された家族が返済を負担することがないようになっています。通常の団体信用生命保険のほかに付帯保証を付ける金融機関も多くあります。

他にも「3大疾病特約」「7大疾病特約」などさまざまな疾病特約を付保する金融機関があるので、付帯保証の有無によって住宅ローンを選ぶことも1つの方法です。保険料を金融機関が負担するケース、別途保険料を支払う必要があるケースと金融機関によって異なりますが、万が一のときに残された家族のためにも、ぜひ検討してみてください。

借入先

キャンペーンや取引実績に応じて金利を引き下げる金融機関が多いことを忘れてはいけません。以下のような条件がポイントとなります。わずかな金利の差でも大きな違いが出る住宅ローンだからこそ、お得な住宅ローンも見逃さずに探したいものです。

  • 給与振り込みを利用している
  • 同じ金融機関でカードローンなどの利用実績がある
  • 期間限定のキャンペーンを行っている
  • Web利用による申込み
保証料や手数料などの諸費用

住宅ローンには諸費用がかかります。事務取扱手数料は定額型で3万円前後 、定率型では借入金額の1%~2%程度かかる金融機関が多いです。保証料や保証会社への事務手数料がかかることもあります。また、金利のタイプも変更するごとに1万円前後の手数料がかかるのが一般的です。その他、一部繰上返済・繰上完済をするにも手数料がかかります。

インターネットで手続きすると手数料が無料になったり安くなったりする金融機関、借入後10年を経過すると繰上完済手数料が無料になる金融機関など手数料もさまざまです。手数料とはいっても金額は決して少なくないため、ばかになりません。金利以外にも手数料や利便性にも目を向けて住宅ローンを選ぶようにしましょう。

まとめ

低金利の金利情勢で、住宅ローンの金利も低い金融機関では0.5%を切る時代になりました。しかし、20年~30年というスパンで考えると、金利上昇も視野に入れた対応が必要になります。住宅ローンの金利の種類は主に「変動金利」「固定金利選択型」「全期間固定金利」の3種類です。表面上の金利の数値だけではなく、自分に合った金利タイプを選択する必要があります。

金利上昇リスクに備えて計画的に返済するなら「全期間固定金利」がおすすめです。マイナス金利の影響から長期金利が下がっていることもあり、固定金利と変動金利の差が縮まっています。固定金利でも低金利の住宅ローンを探して、金利に悩むことなく計画的に返済をするのもよいでしょう。

低金利のメリットを最大限に生かすなら「変動金利」もよいでしょう。住宅ローン控除が利用できる10年間でできるだけ貯蓄をして、10年後に一部繰上返済をする方も多くいらっしゃいます。

安定した返済プランを立てながらも、将来の金利動向もしっかりと見極めて対応したいという場合は「固定金利選択型」がおすすめです。住宅ローンを2本に分けて、「変動金利」「固定金利選択型」と2種類の金利を組み合わせる方法もあります。共働きの内は2人で頑張り、子育てが始まる頃には1本を繰上返済するなど、働き方や家族の事情に合わせて、2つの住宅ローンの金利タイプを組み合わせるのも効果的です。

住宅ローン選びのポイントは金利だけではありません。「全疾病保障」「がん診断保険金特約」など通常の団体信用生命保険以外の保証を付保する金融機関も多くあります。万が一のときに残された家族を守る住宅ローンもあるのです。

「固定金利を選ぶべきか」「変動金利を選ぶべきか」というのは、まさに究極の悩みともいえます。どんな時代にも対応できるよう世界情勢や経済情勢などにアンテナを張っておくことも重要です。

住宅ローンの選び方「イー・ローン」

住宅ローンを探すなら「イー・ローン」の住宅ローン総合ランキングを一度ご覧になってみてください。適用金利だけではなく、金利のタイプごとにもかんたんに検索することができます。「住宅ローンのかんたん返済額シミュレーション」も利用して、自分に合った住宅ローンを探して計画的な返済に役立てましょう。

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ライター紹介
加治 直樹(かじ・なおき)
氏名
加治 直樹(かじ・なおき)
保有資格
1級FP技能士、社会保険労務士
主なキャリア
銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

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