第4回

住宅ローンで叶った私の賃貸併用住宅。理想の将来に向けて。

人材会社に勤務するカピバラさんは、マイホームに「賃貸併用住宅」を選びました。賃貸併用住宅とは? その仕組みやメリット、住まいへのこだわりなどを伺いました。

家主さんデータ
神奈川県 カピバラさん(仮名)ご一家
家族構成:
夫・カピバラさん(28歳・人材会社勤務)、妻・にゃんこさん(28歳・サロン経営)、子供一人
世帯年収:
1,000万円
購入した住居:
賃貸併用住宅
延床面積と間取り:
150m2、住居部分は3LDK。賃貸部分は1K(25m2前後)*3部屋
購入価格:
8,380万円(土地購入価格5,380万円+建物建築コスト3,000万円)
自己資金:
600万円
住宅ローン:
三井住友銀行「住宅ローン」
金利タイプ:
変動金利型
金利:
0.875%(土地は2012年7月実行、建物は2013年2月実行)
ローン借入金額:
7,780万円
借入期間:
35年
毎月の返済金額:
22万円

東京と横浜を結ぶ東急東横線の最寄り駅から徒歩2分。神奈川県に建つカピバラさん、にゃんこさん夫婦のマイホーム「賃貸併用住宅」は、2013年4月に完成しました。
カピバラ
家を建てたのは、妻の妊娠がきっかけです。当時は賃貸住まいで更新の時期も迫っていて、子どもができたのを機にそろそろ家を持ってもいいかなぁと。そこで普通なら家族だけが住む家を建てるのですが、僕らは自宅の半分を賃貸スペースにして部屋を貸す「賃貸併用住宅」を選びました。これには妻のお父さんの影響がありまして。
にゃんこ
私の父はアパート経営をしていて、「マイホームを購入するときは賃貸併用住宅にしなさい」とよく口にしていました。実際に詳しく話を聞いたら、すごい仕組み! やってみたい! となって、彼も賛同してくれたのです。
カピバラ
賃貸併用住宅は、マイホームを実質“タダ”で持つことも可能なのが大きな利点です。普通、アパートを建てる時は住宅ローンを借りることはできず、もっと金利の高いアパートローンを借りる必要があります。しかし、全体の半分以上が住居スペースである賃貸併用住宅なら住宅ローンが借りられる。うまくやれば、賃貸スペースの家賃収入で住宅ローンの返済が賄えてしまうのです。肝心の土地探しから建物の建設までは、賃貸併用住宅を専門とする不動産業者をインターネットでみつけ、その会社にサポートしてもらいました。
駅近の好立地に新築したのは3階建ての瀟洒な建物。1階と2階の一部を賃貸スペースにしてワンルームを3部屋設け、2階の一部と3階が自宅スペースになっています。
にゃんこ
自宅スペースは、インテリアが好きな私のこだわりを実現できました。実は部屋ごとに壁紙や床の色を変えているのです。3階のリビングは北欧風、その奥にある部屋はアジアン、2階の部屋はアンティーク調…という感じに。
カピバラ
それぞれ部屋のテイストにあわせた家具や小物も置いているんだよね。
にゃんこ
ひとつのテイストに統一をするのじゃなくて、自分の家でいろんなタイプの部屋の雰囲気を味わいたかったのです。欲張りなのかも(笑)。

20畳ある広々としたリビング。北欧風のモダンな雰囲気を醸し出している。

カピバラ
キッチンは作業スペースを広くとりました。二人で料理することが多いので、使いやすいようにするためです。調理器具はすべて収納できますから、モノがほとんどない。場所をとる食洗機はビルトインタイプを選びました。食器棚も置かず、食器類は引き出しに納めています。
にゃんこ
オープンキッチンにしたのも二人のこだわり。油を使うガスコンロの周りはガラス張りにして、料理中でも子どもが何をしているか見守れるようにしました。

スッキリしたキッチンスペース。作業がしやすそう

引き出しに納まる食洗機。場所をとらず、使い勝手もいい

2階にはひと部屋と洗面所&お風呂。そして、家族の住まいとは別に賃貸スペースが1部屋あり、1階にも同スペースが2部屋あるという作りになっています。

アンティーク調の落ち着いた小部屋。いずれは娘さんの部屋に

タイルにこだわったという洗面所。清潔感が溢れている

カピバラ
自宅スペースと賃貸スペースは完全に分離されています。ウォークインクローゼットを仕切りにして、お互いに音漏れを防げるようにしました。
にゃんこ
私たちだけでなく、同じ建物で暮らす入居者さんにも住みやすい空間を提供したい。そう強く思って、賃貸スペースの設計を二人で話し合ったのです。各部屋は25m2前後の広めのワンルーム。お風呂場の乾燥機能やテレビモニター付きのインターフォンなど、一人暮らしの方が求める設備を備えています。

1Fのワンルームはロフト付き。天井が高く、開放感があって入居者に好評

毎月の家賃収入は約25万円(現在3部屋満室)。対してローン返済は約22万円なので、手元には約3万円が残ります。賃貸併用住宅は、二人が理想とする生活を実現するための手段と言います。
カピバラ
家賃収入と給料の多くを繰り上げ返済に回し、10年以内のローン完済を目指しています。完済後は家賃収入の約25万円が全額定期収入。そうなったら、30代で会社を辞めてセミリタイヤする計画です。会社という枠に縛られることなく、やりたい事にトライしながら、家族で過ごす時間を大切にしてゆったりと暮らす。そんな生活を二人で夢見ています。まだ第一歩を踏み出したばかりですけどね(笑)。
物件価格は8,380万円。うち住宅ローンは、7,780万円。三井住友銀行の変動金利タイプを選びました。
カピバラ
住宅ローンは、7,780万円に対して6(夫)対4(妻)の割合で借り入れました。変動金利タイプを選んだのは、目先の金利が0.875%と低かったからです。住宅ローンだからこそですが、低金利かつ長期でローンを組めば、毎月の家賃収入からローン返済額を差し引いたキャッシュを増やせます。将来の金利上昇を念頭に置きつつ、一旦、変動金利タイプで組んで様子を見ることにしました。
にゃんこ
三井住友銀行の住宅ローンの場合、ネットを使って少額から繰り上げ返済できます。しかも繰り上げ返済の手数料は無料というのが魅力でした。
最後に、これから住宅を買う人へのメッセージをお聞きしました。
カピバラ
僕たちみたいに賃貸併用住宅を建てたい人は、物件の立地が成否を分けるので、そこは強く認識すべきでしょう。経験上でいえば、賃貸需要が高い人気沿線の駅から近いというのは絶対条件です。家賃収入で住宅ローンの返済を賄えれば、日々の生活や気持ちにゆとりができて、自分が本当に望む人生が見えてくるかもしれませんよ。
ライターからのコメント。

賃貸併用住宅は不動産投資の新しいスタイルです。一般的な不動産投資はアパートローンを組んで行ないますが、金利が高いためリスクも高い。賃貸併用住宅なら低金利の住宅ローンが使えて、ローン期間もアパートローンより長くとれるので、リスクは低くなります。マイホームに賃貸併用住宅を選ぶ人はまだごく少数ですが、安心・安全を重視して不動産投資をやりたい人は検討してみてもいいでしょう。

※取材にご協力いただいたカピバラさんのブログ「初めての賃貸併用住宅☆共働き夫婦が30代脱サラを叶える方法」(http://fudosantoushi-heiyojutaku.com/)
※文/百瀬康司、企画構成/カデナクリエイト、編集/イー・ローン