第937回

住宅ローンの借入期間が今よりも長くなる?返済額への影響は?

1~2年以内に住宅の購入を考えている30代の会社員です。購入時は住宅ローンを利用するつもりですが、調べてみると、ほとんどの住宅ローンでは最長借入期間が35年となっていますが、なかには40年のものもあるようです。返済期間を長く設定するほど、毎月の返済金額が少なくなり、家計への負担が軽くなると考えてよろしいでしょうか?(茨城県 33歳 男性 会社員)
借入金額や金利タイプ、適用金利、返済方式など、他の条件が同一の場合、借入期間を長くするほど、毎月の返済額は少なくなります。そのため月々の家計の負担は軽くなります。しかし、借入期間トータルでみると、借入期間が長いほど返済総額は多くなり、利息の負担は重くなります。借入期間を決めるときには、毎月の負担とトータルの負担のバランスに配慮する必要があります。
中村 宏
中村 宏

一般的な住宅ローンの最長借入期間は「35年」。ただし「40年」のものも出てきている!

住宅ローンの最長借入期間は「35年」が一般的ですが、近年では、金融機関によって「40年」とするところが出てきています。

背景には、継続雇用制度の充実があります。現在は、「定年年齢の引き上げ」・「継続雇用制度の導入」・「定年制の廃止」のいずれかの措置の導入が企業に義務づけられているため、希望すれば誰でも65歳までは働ける環境が整っています。さらに、2021年4月からは、改正高年齢者雇用安定法によって、「70歳まで雇用」する措置を講ずる努力義務が企業に課されることになりました。

会社員として働ける期間が長くなれば、安定収入が得られる期間も長くなるため、65歳まで、あるいはそれ以降の給与からも住宅ローンの返済がしやすくなります。そうなれば、借入期間を35年よりも長く設定したいと思う人が出てきても不思議ではありません。

現在、一部の地方銀行などが最長借入期間を「40年」とする住宅ローンを提供しています。独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している長期優良住宅を対象にした「フラット50」という最長50年の住宅ローンもあります。

ただし、最長借入期間が「40年」の住宅ローンも、一般的に完済年齢は「35年」のものと同じ「80歳まで」となっています。したがって、40歳を超えている方が最長借入期間「40年」の住宅ローンを借りようとしても、借入期間を40年にすることはできません。80歳までには完済できるように決める必要があります。たとえば、43歳の人の場合、80歳-43歳=37年が最長借入期間になり、それまでの範囲で借入期間を決めなければなりません。

借入期間が長いほど返済総額が増えてトータルの利息負担は重くなることに注意!

借入金額や金利タイプ、適用金利、返済方式など、他の条件が同一の場合、借入期間を長くするほど、毎月の返済額は少なくなります。そのため月々の家計の負担は軽くなります。しかし、借入期間トータルでの返済総額は多くなることに注意が必要です。

事例で見てみましょう。

借入期間35年と40年の毎月返済額、返済総額の比較

  • 条件:借入額:3,000万円
  • 金利タイプ:全期間固定
  • 適用金利:1.2%
  • 返済方式:元利均等返済方式
借入期間 35年 40年
毎月返済額 87,510円 78,726円
返済総額 36,754,301円 37,788,222円

上の例では、毎月返済額は、借入期間35年よりも40年のほうが毎月8,784円少ないものの、返済総額は40年のほうが約103万円多くなります。つまり、借入期間が長いほどたくさんの利息を支払う必要があり、トータルの負担が大きくなるのです。このことから、安易に借入期間を長く設定しないほうがよいことがわかります。

住宅ローンの返済と子供の教育費の支出が重なる時期や、その他のライフイベントの支出が必要になる時期の家計を心配して、住宅ローンを借りる時に借入期間を長く設定して毎月返済額を抑えると、一方でトータルの利息負担が重くなって、夫婦の老後資金が十分に準備できなくなるかもしれません。

住宅ローンを借りる前には、長期的なライフプランを立てて、将来予定しているライフイベントの費用を見積もり、住宅ローンの返済と他のライフイベント費用の準備がバランスよく行えそうかどうかの確認をしたほうがいいでしょう。住宅ローンの借入期間も、その確認を行う中で設定したほうがいいでしょう。

【参考リンク】

担当:中村 宏 (執筆:2021年08月10日)