第872回

生活費が足りない!緊急事態には、低金利のフリーローンの活用を

新型コロナウイルスの影響で収入が減少してしまいました。国の給付金10万円だけでは、生活する上ですごく不安です。 キャッシングなども検討していますが、他に何かいい方法はないでしょうか?(神奈川県 Mさん)
10万円一律給付の「特別定額給付金」の申請が始まっていますが、確かに、これだけでは収入減に対応できない世帯は少なくありません。 無利子で借りられる「緊急小口資金」や「総合支援資金」がありますが、いずれも申し込みが多く、時間がかかっているようです。 だからといって生活費不足をすぐにキャッシングでカバーするのではなく他の方法も検討しましょう。

安易にキャッシングする前に、借りられる制度がないかをチェックする

国の救済策がさまざま発表されていますが、毎月の支払いは待ったなしです。 キャッシングという発想になるものわからなくはないですが、その前に他に借りられる制度がないかを確認してみてください。

たとえば、生命保険に加入していれば、「契約者貸付」という制度が利用できます。 契約者貸付とは、加入している生命保険の解約返戻金を担保に一定金額まで貸付を受けられる制度で、通常は金利がかかります。 現在、多くの生命保険会社では特例措置として、金利ゼロで借りられるようになっています。 対象となる保険の種類は、終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険など解約返戻金の設定がある保険に限られますが、 申し込みをすれば、すぐに資金が振り込まれますので、該当する保険に加入していれば、生命保険会社に相談してみましょう。

また、個人事業主やフリーランス、小規模事業者で「小規模企業共済」に加入している人であれば、無利子で貸付が受けられる特例措置がとられています。 1カ月の売り上げが前年または、前々年度の同期と比較して5%以上減少していれば、50万円~2000万円の範囲で、掛け金の7~9割を借りることができ、返済は1年据え置くことも可能です。 詳しくは、中小機構に問い合わせてください。

一時的な生活費の補てんであれば、銀行のフリーローンが低金利で借りやすい

数カ月乗り切ることができれば、収入も以前の状態に戻るなど、計画的にお金を借りたい場合であれば、銀行のフリーローンがいいでしょう。

カードローンやキャッシングは、手軽に利用できますが、フリーローンより金利が高めに設定されています。 また、手軽に利用できるため、繰り返しお金を借りてしまい、自分の返済能力を超えて借金を重ねてしまいがちです。 ATMで預金を引き出すような感覚でお金を借りられるため、お金の管理や使い方がルーズになってしまうことにもつながります。

銀行のフリーローンは、名前のとおり使い道が自由な個人向けのローンです。 借り入れの際に、担保や保証人が不要という点がメリットとして挙げられます。 使い道が自由な分、「自動車ローン」や「教育ローン」など、資金の使い道が決まっているローンに比べると金利は高めですが、 資金の使い道を証明する書類が原則不要なので、緊急事態に対応するためにお金を借りるなら、カードローンやキャッシングではなく、銀行のフリーローンの活用を検討してみましょう。

フリーローンの申し込みはWEBからも可能。金利や借り入れ条件の確認を

使い道が自由とは言え所定の審査があり、銀行と契約書面を交わす必要があります。 申し込みは来店不要でWEB上で行える銀行が多いので、外出自粛の今であれば、WEB申し込みできメールでのやりとりで完結する方法を選ぶといいでしょう。

フリーローンは、申し込み時点で借入金額や毎月返済額を記した「証書」を提出することになっており、 その金額を超えての融資は受けることができず、1回のみの借り入れとなります。 追加で借り入れが必要になった際には、再度審査が必要になります。

取り扱っている金融機関は、都市銀行、地方銀行のほか、労働金庫、JAバンクがあり、口座を持っていなくても申し込みはできますが、 借り入れにあたっては、新規に口座開設が必要になりますので、緊急性が高い場合は、すでに口座がある銀行で申し込みをするのが得策です。 時間的な余裕がある場合は、金利や借り入れ条件などを比較検討し、慎重に選ぶようにしましょう。 申し込みから仮審査、本審査となるため、融資実行まで早くても数日~1週間程度かかるのが一般的です。

緊急事態とはいえ、返済可能な金額で借り入れすることが大事です。 返済シミュレーションを使い、返済計画をしっかり立てたうえで、借り入れするようにしましょう。

【参考リンク】

私が書きました

伊藤 加奈子 の写真

伊藤 加奈子 (いとう かなこ)

ファイナンシャル・プランナー。

大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。

※執筆日:2020年04月29日