第980回NEW

不動産を活用した資金調達方法には何がある?

近く多額の出費を予定しているのですが、お金の工面に悩んでいます。自宅を担保にお金を借りることも考えていますが、どのような方法があるでしょうか?(東京都・Kさん)
自宅を担保にするのであれば、不動産担保ローンが利用できます。そのほかリバースモーゲージ、リースバックなどもありますが、それぞれメリット・デメリットがありますので、十分理解して利用するようにしましょう。
伊藤 加奈子
伊藤 加奈子

個人向け、事業者向けなのかで条件が異なる不動産担保ローン

不動産担保ローンは、自己所有する不動産を担保にして借り入れをしますが、資金使途が何かで、借り入れの条件は異なります。個人向けであれば、基本的に資金使途は自由で、生活費補てん、自宅のリフォーム資金、教育資金など、さまざまな用途に使うことができますが、事業に使うことはできません。事業のために使うのであれば、事業者向けの不動産担保ローンとなります。事業者向けの場合、不動産の担保価値のほか、決算書や確定申告書に基づいた財務内容も審査の対象となります。

いずれの場合も、不動産の担保価値によりますが、多額の資金を調達できるのがメリットで、1億円、2億円、なかには10億円を上限とする商品もあります。無担保のローンと比較しても、金利が低く抑えられています。下限金利は1%程度~5%程度、上限金利は10%以下とするところが多いようです。返済期間も20年~30年と長期に設定されている商品が多いので、無理のない返済計画が立てやすいと言えるでしょう。ただし、返済が困難になった場合は、自宅を失う可能性もありますので、借りすぎることのないよう注意しましょう。

毎月利息のみ返済するリバースモーゲージのメリット・デメリット

不動産を活用した資金調達方法として、不動産担保ローンのほかに、リバースモーゲージ、リースバックがあります。リバースモーゲージ、リースバックは担保となる物件を売却することを前提している点が不動産担保ローンと異なります。不動産担保ローンは滞りなく返済ができれば物件を手放す必要はありません。

リバースモーゲージは、不動産を担保にするのは不動産担保ローンと同じですが、借入限度額の範囲で融資を受け、毎月利息のみ返済していきます。利息のみの返済ですから、毎月の負担は比較的抑えることができます。自宅はそのまま住み続けることができ、最終的には、契約終了後(契約者の死亡など)に売却して借り入れを清算することになります。

ただし、担保とする不動産は一戸建てのみでマンションは不可、抵当権が設定されていると利用できない(住宅ローンが残っている)、地域によっては利用できないなど、さまざまな制限があります。事業用に資金を転用することもできません。

リバースモーゲージの利用方法としては、老後資金の不足を補うために、自宅を担保に生活資金に充てる、といった使い方が多く見られるようです。

自宅を売却しても住み続けられるリースバックのメリット・デメリット

リバースモーゲージを利用できない、一括して資金を得たい、売却して転居するのは困難、というケースの場合、利用を検討したいのがリースバックです。最近注目されはじめ、取り扱う金融機関、買い取り専門会社が増えています。

リースバックの最大の特徴は、自宅を売却して現金化でき、売却した自宅に賃貸料を支払って住み続けることができる、ということにあります。対象となる不動産は、自宅一戸建て、マンションのほか、事務所や店舗、工場なども含まれます。事業者であれば、自己所有の物件を売却しても、その後は家賃を支払ってそのまま事業を継続することが可能となります。

ただし、一般的な売却よりも買い取り価格が抑えられたり、売却後の賃貸料が相場より高めに設定されるケースもあるようなので、十分内容を確認し、納得できる価格・賃料であるか判断することが重要です。

また、抵当権が設定されていても売却は可能ですが、住宅ローンなどが残っていて売却価格だけでは完済できない場合、住宅ローンの返済に加えて、賃貸料の支払いがあるため、住居費負担が重くなる点には注意が必要です。賃貸契約も定期借家契約となり、契約期間が決まっている場合もありますので、契約時には十分確認するようにしましょう。

【参考リンク】

担当:伊藤 加奈子 (執筆:2022年06月10日)