第839回

住宅ローン本審査通過後に気をつけるべきことは?

新築マンションの住宅ローン、無事に本審査が通りました。 まだ引渡しまでに時間があるのですが、新居での生活が待ちきれず新車を見て回っています。 引渡し前にローンで買い物をするのはやめた方がいいと聞いたことがありますが、本当でしょうか? 他にも気を付けるべきことってありますか?(Sさん 会社員、33歳)
通常、住宅ローンの本審査が通ればあとは融資実行を待つのみですが、その間に離職・転職、新たな借り入れ、信用情報に影響がある延滞などがあった場合は、本審査が通っていても融資実行不可になる可能性があります。
青空の下で女性と2人の子供と男性が両手を上げている画像

本審査が通っても「融資実行不可」はありうる?

夢のマイホームを手に入れるため、住宅ローンの本審査が通過。 「あとは融資実行を待つだけ」と油断をして、NG行為をとってしまうことがあるようです。 Sさんもそれに該当するようなことがないよう気を付けたいものです。

通常は、住宅ローンの本審査が通れば問題なく融資実行の運びとなるわけですが、それはあくまでも、融資実行時の申込人の条件が本審査時点のものと同じであることが前提です。 本審査時点と申込人の条件が変わり、それを金融機関が知った場合には、再審査や融資実行不可となる可能性もあります。

では、どのようなケースが考えられるのでしょう。例としては、次のようなものが挙げられます。

本審査後に注意したいこと
・離職、転職で収入減少、会社の倒産
・収入合算者が離職、転職で収入減少
・本審査後の新たな借り入れ(マイカーローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードの分割払い、リボ払いほか)
・信用情報に影響する延滞など
・健康状態が悪化して団体信用生命に加入できなくなる

上記に該当することが起きた場合に、融資実行ができなくなる可能性があります。

収入減や借り入れの増加は返済負担率に影響

前述の例のうち、離職・転職で収入減になった場合や借入額が増えたケースでは、金融機関が定めた「返済負担率(返済比率)」(年収に占める年間返済額の割合)を超えてしまうことで問題になる可能性があります。

住宅ローンの種類や年収によって30~40%の範囲で返済負担率が定められていますが、収入が減れば返済負担率を超えてしまうこともあります。 また、「年間返済額」には他の借入の返済額も加えて計算するため、マイカーローンなど新たな借り入れをすることで返済負担率を超えてしまうこともあります。

【参考リンク】

Sさんは新車購入を考えているようですが、引渡し前に買う場合は現金で買うか、あるいは引渡し後の購入を検討した方が無難です。 同様に入居に合わせて高級家具や家電をクレジットカードの分割払いで購入する、といった行為も避けましょう。

本審査から融資実行までの期間が長い場合は特に注意!

新築マンションなどの場合、住宅ローンの本審査から数カ月~1年ほど空くようなこともあり得ます。 長ければ長いほど、年度が替われば所得証明書類の再提出を求められたり、信用情報を再度確認されたりといったことがあると考えておいた方がいいでしょう。

本審査後に、奨学金やクレジットカード、携帯電話の延滞などが起きて信用情報に登録されることがあれば、融資を受けられなくなることもあり得ます。

また、健康状態が悪化して、団体信用生命保険に加入できなくなることで、融資を受けられなくなる場合があります。 健康にも留意する必要があります。

本審査が通っても、融資実行までは再審査の可能性があることを念頭に過度な行動には気を付けましょう。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 の写真

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2019年09月10日