第936回

学生向けの支援制度と教育ローンの上手な利用方法とは

大学生の息子がいます。新型コロナ問題によって勤務先の経営が厳しくなり、息子のアルバイト収入も私のパート収入も激減。学費などの支払いが厳しくなってきました。公的な支援策や学費のピンチに利用できるローンなどについて教えてください。 (東京都 Mさん)
新型コロナ問題により、経済的な問題で「学びの継続」が難しくなっている学生・生徒やその家庭向けには、さまざまな経済支援制度が設けられています。公的支援に加え、教育ローンなども活用して「学び」のピンチを乗り切りましょう。

新型コロナ問題の影響を受けた学生・生徒への経済的な支援策

昨年から続く新型コロナ問題により収入が減少し、学費を払い続けることが困難な家庭が増える中、国や自治体などで、給付金や授業料の減免、奨学金など様々な支援策が設けられています。文部科学省ではこのような支援策をまとめたホームページが作成されており、独自の支援制度を用意している自治体もあります。お住まいの都道府県や市区町村のホームページ等も確認し、ご自分や家族の状況に合った支援策がないか、その支援策を受けるための条件を満たすことができるか、ご確認ください。 

家計急変などの大学生等を対象とする支援策の例
制度 制度の概要 対象
高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金&授業料等減免) 授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)と給付型奨学金の支給 世帯収入や資産の要件を満たしし(4人世帯の場合、年収約380万円まで)学ぶ意欲がある学生
日本学生支援機構の貸与型奨学金(無利子・有利子) 世帯の収入に応じて、無利子・有利子で借りられる奨学金。返還は卒業後からでも可。 世帯収入が家計基準を満たしていること、一定の学力や学習意欲があることなど要件を満たす学生
日本学生支援機構の貸与型奨学金(緊急特別無利子貸与型奨学金) 家庭から自立した学生で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりアルバイト収入が減り、学費等の支払いが困難な方を対象とした奨学金制度。有利子奨学金制度を活用しつつ利子分を国が補填し、実質無利子(0.0%)で借りることができる。
※令和3年度限りの支援
有利子奨学金の基準を満たしていること、家庭から多額の仕送りを受けていないこと、本人のアルバイト収入について、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に減少したことなどの要件を満たす学生
学校独自の授業料等の納付猶予や、減免制度 多くの大学等で、授業料等の納付猶予や延納、また学校独自の授業料等減免や奨学金の支給・貸与等を行っている。 各学校による

参考:文部科学省「新型コロナの影響を受けた学生等の経済支援」

素早く借りられる「教育ローン」

家計への負担の少ない支援制度の活用で教育資金の不足が解消できればよいのですが、まだ資金が足りなかったり、必要な時期に資金を準備できなかったりする場合もあるかもしれません。そのような場合に備えて、教育ローンもチェックしておきましょう。

教育ローンは、高校・大学等の入学金や授業料、下宿費用や仕送り資金、海外留学や資格取得などの教育資金に使途を限定した個人向けローンです。審査回答期間が最短即日という商品もあり、資金が必要なときに素早く借りられるのが大きなメリットです。

借り入れの度に契約書(金銭消費貸借契約証書)を作成して、契約書に記入された金額を借りる証書貸付タイプと、契約した借入限度額内であれば繰り返し利用できるカードローンタイプがあります。返済については、「在学中は元金据え置きで利息のみを返済も可能」という商品もあります。借り過ぎや安易な利用には注意が必要ですが、新型コロナ問題により収入が不安定な時期には、卒業まで元金返済が猶予される仕組みは心強いでしょう。

収入減によって何の手続きもせず学費未納となれば退学せざるを得なくなるかもしれませんが、このような経済的な支援制度や教育ローン等を活用すれば、「学び」を続けられる可能性が出てきます。教育資金のピンチが予測できたら、早めに国や地方自治体、各学校の窓口などで支援策の情報を集め、教育ローンなども検討しておかれるとよいでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2021年08月05日