第1182回NEW

「高校無償化」で負担は無くなる?制度をしっかり理解しよう!

中学生の子どもの進学先を公立にするか私立にするか悩んでいます。今年から私立も高校無償化になると聞きましたが、公立との金銭的な負担の差は減るのでしょうか。(会社員 45歳)
2026年4月より国の高等学校等就学支援金制度が拡充され、公立・私立とも所得制限なく授業料相当額の支援が受けられるようになりました。但し、授業料以外の費用は支援対象外ですので、入学金や修学旅行費用などの費用がどれくらい必要なのかを含めて進学先を検討しましょう。
母親に勉強を教えてもらう娘

2026年度「高校無償化」で私立高校も所得制限が撤廃された

子育て世代では「高校無償化」が大きな話題となっています。この制度は、正式には「高等学校等就学支援金」といい、高等学校等に通う生徒の授業料を国が支援するというものです。

家庭の教育費負担の軽減と教育の機会均等を図ることを主な目的として2010年4月に始まったこの制度は、毎年のように内容が見直されています。もともと所得制限があり支援を受けられなかった世帯もありましたが、2025年度には所得制限が撤廃され、全ての世帯で公立・私立を問わず年間11万8,800円、私立高校に通う年収590万円未満の世帯では年間39万6,000円の支援を受けられるようになりました。

2026年度は、私立高校でも所得制限が撤廃されたことが大きな変更点です。全ての世帯において公立高校は11万8,800円、私立高校は45万7,200円までの授業料について、国の支援が受けられるようになったのです。

この影響で私立高校の人気が高まっている地域もあり、今後はさらにその動きが強まるのではないかともいわれています。

無償化の対象になるものは授業料だけ

「無償化」という言葉から、勘違いされる方も多いのですが、対象となるのは「授業料」だけです。他にも高校でかかる費用には次のようなものがあります。

高等学校(全日制)の学習費(1年分)の支出構成
区分 公立 私立
学習費総額 596,954円 1,179,261円
うち学校教育費 351,523円 832,650円
 入学金等 18,027円 80,290円
 授業料 45,272円 279,170円
 修学旅行費等 36,500円 62,778円
 学校納付金等 35,630円 127,346円
 図書・学用品・実習材料等 62,284円 73,312円
 教科外活動費 49,499円 63,440円
 通学関係費 97,634円 136,790円
 その他 6,677円 9,524円
うち学校外活動費 245,431円 346,611円

出典:令和5年度(2023年度)「子どもの学習費調査」(文部科学省)

文部科学省の2023年度「子どもの学習費調査」によると、私立高校の授業料は約28万円となっています。この金額は当時の就学支援金制度を反映しているため、実際の授業料より低く算出されています。

注意すべき点は授業料以外にもさまざまな費用がかかることです。公立高校と私立高校を比較してみると、入学金、学校納付金等で大きな差が見られます。また修学旅行費、通学関係費、学校外活動費(塾や予備校等の費用)も、私立高校の方が高いことがわかります。私立高校への進学を検討する場合には、これら授業料以外の費用が家庭からの支出になることを理解しておきましょう。

国の支援金制度以外の給付金等も確認!

授業料が無償化されるとはいえ、高校に進学するには教科書代や教材費などの費用もかかります。そのため、年収490万円未満の世帯には授業料以外の教育費を支援する、返還不要の「高校生等奨学給付金」もあります。

また、都道府県によっては独自の給付金を設けているところもあります。自分の住んでいる都道府県のホームページなどを確認しておきましょう。

高校無償化の申請方法と支給タイミングは?

就学支援金を受けるためには必ず申請が必要です。申請方法は高等学校から案内されるはずですので、忘れずに手続きをしましょう。支援金は、生徒や保護者が受け取るものではなく、都道府県や学校法人等が受け取って授業料に充てる仕組みになっています。

また、支援金が支給されるまで時間がかかるため、学校によってはいったん授業料を徴収し、就学支援金相当額を後日返還するところもあるようです。教育資金は余裕をもって準備しておくべきですが、どうしても資金が不足する場合には、低金利の教育ローンを利用して対応する方法もあります。

私立高校では、授業料以外にも何かと金銭的負担が膨らむ可能性があることを念頭において準備を進めておくとよいでしょう。

私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2026年05月14日