第78回NEW
自社ローンとは?マイカーローンとの違いやメリット・注意点をわかりやすく解説
この記事は約7分30秒で読むことができます。
この記事のポイント
- 自社ローンとは車両を販売する店舗が独自に提供するローンサービス
- 自社ローンは手続きが簡単で、審査はマイカーローンと比べると比較的通りやすい
- 審査は通りやすいが、返済総額が高いこともあるため、ほかのローンと比較して利用を検討すること
- 自社ローンとは?
- 自社ローンで車を購入する際の流れ
- 自社ローンのメリット
- 自社ローンのデメリット
- 自社ローンの利用が向いている人・向いていない人
- 自社ローンを利用する前に確認したい3つのポイント
- 自社ローン以外の選択肢
- まとめ
「車が欲しいけれど、ローンの審査に通るか不安…」
「自社ローンという言葉は聞くけれど、銀行のマイカーローンと何が違うのだろう?」
車の購入を検討する際、このような不安や疑問を抱く人は少なくありません。
自社ローンは、銀行のマイカーローンなどに比べて審査基準が柔軟な場合が多く、過去の信用情報に不安がある方にもチャンスがあるとされています。一方で、手数料が高く設定されているため、仕組みを正しく理解した上での利用が望まれます。
この記事では、自社ローンのサービス内容と仕組み、利用するメリットやデメリット、また、どのような人に向いているかなどを解説します。
自社ローンとは?
まずは、自社ローンとは、そもそもどういったサービスなのかを解説します。
自社ローンとは販売店が独自に提供する分割払いサービスのこと
自社ローンは、車両を販売する店舗が直接提供する分割払いサービスのことで、中古車販売店で提供されていることが一般的です。銀行やほかの金融機関ではなく、販売店が独自に審査を行い、ローンを提供します。販売店が自動車購入の代金を建て替え、契約者が分割で販売店に返済していると考えるとイメージしやすいでしょう。
自社ローンと金融機関のマイカーローンとの違い
自社ローンと金融機関のマイカーローンとの主な違いは、「審査の基準」「融資のプロセス」「費用の負担方法が利息か手数料か」の3点です。
まず審査の基準ですが、マイカーローンは金利が低い代わりに審査が厳格で、多くの場合、申込みの条件は厳しくなります。それに対して、自社ローンは販売店が提供するローンであるため審査基準は柔軟です。また自社ローンは、審査で求められる書類が少ないケースが一般的です。金融機関のマイカーローンのように厳しい条件を求められることは少ないため、信用情報に不安がある方も利用できる可能性が高いといわれています。
費用の面では、マイカーローンは「利息」があるのに対し、自社ローンでは「手数料」が上乗せされます。一般的に、後者の負担のほうが大きくなります。
自社ローンで車を購入する際の流れ
それでは、自社ローンは、どのように利用すればいいのでしょうか。ここでは、自社ローンを利用して車を購入する場合の流れを解説します。
購入する店舗と車両を選ぶ
自社ローンを利用するための最初のステップは、自社ローンを提供している販売店で、購入したい車両を見つけることです。自社ローンで購入できる車は、販売店が指定したものに限られているため、どの車が適用されるのか、あらかじめ店舗で確認する必要があります。
自社ローンの申込み
購入する車両を選んだら、次に自社ローンの申込みを行います。申込時には、必要書類を販売店に提出する必要があります。
一般的に必要とされる書類は以下のとおりですが、店舗によって異なる場合があるため、必ず申込みを行う販売店に確認してください。
- 身分証明書:運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどが該当します。記載されている住所と現住所が異なる場合は、公共料金の領収書や住民票など、現住所を証明できる追加の書類を求められることがあります。
- 収入証明書:安定した収入があることを証明するための書類です。会社員であれば直近数ヶ月分の給与明細書や源泉徴収票、自営業の方であれば確定申告書の控えや納税証明書などが必要となります。
自社ローンの審査
自社ローンの審査は、提供された書類や面談内容を基に、収入や返済能力がチェックされます。ただし、自社ローンはマイカーローンと異なり、信用情報の照会はされないので、返済の遅延など過去の情報を気にする必要はありません。
審査結果の通知・契約
審査が完了すると、申込みをした販売店から直接、審査結果の通知が届きます。審査にかかる時間は販売店によって異なりますが、金融機関のローンに比べて早く終わる傾向があります。早ければ即日、遅くとも数日以内には結果が判明することが一般的です。
無事に審査を通過した場合は、ローン契約を結び、車両の購入となります。
納車
全ての契約手続きが完了すれば、いよいよ待望の納車です。販売店は車両の最終的な整備や登録手続きなど、納車に向けた準備を開始します。納車までの期間は、車両の状態や店舗の混雑状況によって異なりますが、審査が通れば比較的早く進むことが多く、最短数日で納車されることもあります。
自社ローンのメリット
自社ローンは、さまざまな特徴があります。ここでは、自社ローンを利用するメリットについて解説します。
審査が比較的通りやすい
自社ローンの最大のメリットは、審査の通りやすさにあるといえるでしょう。前述のとおり、自社ローンは販売店が独自の基準で審査を行います。銀行や信販会社を利用する場合のように、厳格な審査基準に縛られることがありません。
金融機関の審査に通らなかったケースでも、自社ローンでは通過できるケースもあり、収入が安定していない人や過去に信用情報に問題があった人でも利用できる可能性があります。
手続きが簡単
申込みから契約までの手続きがシンプルな点も、自社ローンの大きな魅力です。通常、銀行や消費者金融でローンを申し込む場合、多くの書類を準備する必要があり、審査プロセスも複雑になり時間がかかることもあります。
それに対して、自社ローンは提出を求められる書類が比較的少なく、審査も短時間で完了する傾向にあり、即日審査結果が出る場合もあります。
自社ローンのデメリット
メリットがあれば、必ずデメリットもあります。ここでは、自社ローンを利用する前に必ず知っておくべき3つのデメリットについて解説します。
高額な手数料や保証料が発生する場合がある
自社ローンによっては、手数料や保証料が高額になるケースがあります。自社ローンは、販売店が独自にローンを提供しているので、リスクヘッジとして追加費用を加えることが多いからです。そのため、ローン契約の際に「事務手数料」や「保証料」が発生し、最終的な返済総額が高くなる可能性があります。契約を申込む前には、必ず手数料や保証料の有無、詳細を確認することが大切です。
利用できる車種や販売店が限られる
自社ローンは、特定の店舗でしか利用できません。また、選べる車や商品の幅が狭くなる場合があります。希望の車種が購入できない場合もあるので、事前に販売店に車の在庫や自社ローンを利用できるのか確認しておきましょう。
返済に遅れると車が利用できなくなる可能性がある
万が一、自社ローンの返済が滞ってしまった場合、車を引き上げられる可能性があります。車を購入したので、自分が車を所有しているように思えますが、実際には完済するまでは、販売店に所有権があるからです。多くの自社ローン契約には、返済が遅れた場合に車両を取り戻す条項が含まれています。
自社ローンの利用が向いている人・向いていない人
自社ローンのメリットとデメリットを踏まえると、自社ローンがどのような人に適しているのか、どのような人にはあまりお勧めできないのかが見えてきます。ご自身の状況と照らし合わせながら、自社ローンが最適な選択肢かどうかを判断するための参考にしてください。
自社ローンが向いている人
自社ローンが最も向いているのは、ほかのローンに通りにくい人、急いで車を購入したい人でしょう。例えば、過去に返済遅延や債務整理があった場合や、アルバイトや派遣社員の場合、金融機関のマイカーローンが通らない可能性があるからです。
それに対して自社ローンは販売店独自の審査基準を採用しているため、金融機関のマイカーローンが通らない人でも利用できる可能性があります。また、自社ローンは比較的スピーディーに審査が完了し、即日購入が可能な場合もあります。スピーディーにローンを利用できるため、何らかの事情ですぐに車を買いたいという場合にも役立ちます。
自社ローンが向いていない人
自社ローンが向いていない人の典型は費用の総額を抑えたい人、返済条件を柔軟にしたい人でしょう。自社ローンと金融機関のマイカーローンを比較して、金融機関のマイカーローンの方が、返済総額が低い場合は自社ローンを選ぶ必要はないかもしれません。また、自社ローンは返済期間が短く設定されているケースもあるため、柔軟な返済条件を希望する方には不向きなこともあります。
自社ローンを利用する前に確認したい3つのポイント
自社ローンを検討する前に、確認しておくべきポイントを解説します。
自社ローンの手数料と返済総額を確認する
自社ローンは金利の代わりに、事務手数料や保証料が発生するのが一般的です。契約前に、事務手数料や保証料、返済回数変更時の手数料など契約時に発生する手数料の有無と金額を確認しておきましょう。
無理のない返済計画かどうか
審査基準が柔軟でも、自分に合った返済計画でなければ返済が滞ってしまう危険性があります。自社ローンを契約する前に、返済シミュレーションを行い、月々の返済額が家計に無理のない範囲なのかを確認しておきましょう。利用できるからといって、自分の返済能力を超えた契約を結ぶのは非常に危険です。
返済の柔軟性はあるか
自社ローンでは、返済スケジュールや契約内容に柔軟性がない場合があります。また、契約内容が不透明なこともあるので、契約前にしっかりと内容を確認しておくことが大切です。加えて、返済スケジュールの変更ができるか、もし、繰上げ返済が可能な場合、その際にかかる手数料や条件も確認しておきましょう。返済遅れが生じた場合にどのようなペナルティがあるかも確認してください。
自社ローン以外の選択肢
自社ローンは有効な選択肢の一つですが、車を手に入れる方法はそれだけではありません。視野を広げ、他の選択肢と比較検討することで、より自分に合った、納得のいく車の購入方法が見つかるかもしれません。ここでは、自社ローン以外の代表的なローンサービスを紹介します。
ディーラーローンを使う
自社ローン以外の選択肢として、まず挙げられるのが「ディーラーローン」です。ディーラーローンはカーディーラー(自動車販売店)が信販会社と連携して提供するローンサービスです。信販会社が審査を行なうため、自社ローンに比べると審査は厳しめですが、金融機関のマイカーローンに比べると比較的審査は早く済みます。
金融機関のマイカーローンを活用する
金融機関のマイカーローンは審査基準が比較的厳格で、申込みに際して必要書類が多いですが、金利は低めです。トータルの総額で比較すると、多くの場合、自社ローンよりも返済総額を抑えられます。自由度も高いので、複数の金融機関のマイカーローンを比較検討して、自分に合ったマイカーローンを選びましょう。
まとめ
自社ローンは、販売店が独自の基準で審査を行うため、過去の信用情報に不安がある方や、銀行ローンの審査に通らなかった方、そして急いで車を購入したい方にとって、非常に心強い選択肢です。手続きが簡単でスピーディーな点も、大きな魅力です。
一方で、金利の代わりに高額な手数料や保証料が発生し、結果的に返済総額が高くなる可能性があること、利用できる販売店や車種に制限があること、そして返済が遅れると車を引き上げられるリスクがあることなど、慎重に捉えるべきデメリットも存在します。
大切なのは、ご自身の経済状況や車の必要性を冷静に分析し、自社ローンのメリットとデメリットを正しく比較することです。契約前には必ず返済総額や返済計画、契約内容の詳細を確認し、納得した上で手続きを進めるとよいでしょう。
自社ローンと他の金融機関のマイカーローンを比較検討したい場合は、複数のローン商品を一覧で比較できる総合ローンサイト「イー・ローン」が便利です。さまざまな選択肢の中から、あなたのカーライフにとって最適な選択となるローンを見つけ出してください。
マイカーローンの利用についてもっと知りたい方は、ぜひこちらのページもご覧ください。
ライター紹介
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
都内ゲーム会社に12年勤務後、2018年12月にフリーライターとして独立。個人事業主としての開業を機に、金融・年金・不動産などのFP領域への関心を深める。毎年iDeCoと小規模企業共済の掛金を増額中。好きなものはふるさと納税。
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