第535回

自動車ローンの審査に落ちる要因は?知っておきたい「返済比率」

消費税の増税前に車の購入を検討しています。自動車ローンを組もうと考えていますが、他に住宅ローンの返済もあり、審査に通るのかが心配です。どのくらいのローンであれば審査に通るのでしょうか?(Aさん 群馬県 35歳)
すでに他のローンを組んでいる場合、すべてのローンを合わせて返済可能かどうかを各金融機関が独自の判断基準で審査しています。住宅ローンでよく使われる「返済比率」の考え方を踏まえて、借り入れ可能な金額を見積もった上で審査を受けると良いでしょう。
カレンダーと電卓と車の画像

ローンを利用する場合の「返済比率」とは?

消費税の増税前に、マイホームや自動車などの高額な物の購入を検討されている方も多いようです。支払う金額を少なくできるのなら増税前に購入した方が良いという考えもありますが、すでに他のローンを組んでいる場合は慎重に考えましょう。

金融機関でローンを申し込む場合、年収、勤務先、勤続年数などの他、ローンやクレジットカードの返済が遅れたことは無いか、他にどのくらいのローンを抱えているのか等を審査ではチェックしていると考えられます。つまり、借りる人がきちんと返済できるかどうかの判断を行っているのです。

きちんと返済できるかどうかの判断のひとつに、「返済比率」が利用されます。「返済比率」とは、年収に占める年間のローン返済額の割合のことで、一般的な金融機関では年収の25%~35%程度としています。すでに住宅ローンやカードローンなど他のローンを利用している場合は、それらを含めて計算しましょう。

「返済比率」はすべてのローンを計算に入れる

すでに住宅ローンがある場合の返済比率を計算してみましょう。

【例】 年収600万円(税込)、住宅ローン年間返済額120万円の方が実質年率3.9%の自動車ローンを200万円、5年間の返済期間で借りる場合

まず、自動車ローンの年間返済額を計算してみます。上記設定の自動車ローンを利用すると、年間返済額が約44万円となり、住宅ローンを合わせたローン返済額は約164万です。この場合の「返済比率」は、164万÷600万=0.273で、27.3%。返済比率が30%の金融機関なら、融資可能であるといえます。同じ条件でも住宅ローン返済額が年間150万円だと、自動車ローンを合わせた「返済比率」が30%を超えてしまい、審査に通らない可能性があります。「返済比率」は、金融機関等によって異なりますので、あくまでも目安として考えてください。

自動車ローンの毎月の返済額は、イー・ローンのシミュレーションで計算できますので利用してみると良いでしょう。

【参考リンク】

複数のローンを利用する時に気を付けておきたいこと

すでに他のローンを組んでいて、「返済比率」から考えると審査に通らないかもしれない場合は、購入する車の種類やグレードを見直し購入価格を下げるか、消費税の増税前に急いで車を買わず頭金を増やしてから購入することを検討しましょう。他に、自動車ローンの返済期間を長くして年間の返済額を抑える方法もありますが、その分支払わなければならない利息は増えてしまいますので、増税前に買うメリットと比較して判断することになります。

また、すべてのローンについて言えることですが、金融機関が実際に融資実行する金額と、自分が払えると思う借入金額は異なります。金融機関は借りる側の生活が見えないため、あくまでも目安として「返済利率」を利用しているにすぎません。借り入れをする場合は、自分の生活費を把握し、無理なく返済できる金額はいくらなのかを自分で判断した上でローンの申し込みをしましょう。

さらに、近い将来教育ローンや他のローンを利用する予定がある場合は、それらのローンを含めた「返済比率」がどれくらいになるかを把握しておかないと、必要な時に借り入れが出来ず困ることになります。また、急な病気や介護などでローンを利用しなければならなくなることも考えられます。借入金額はなるべく少なくすることや、なるべく金利の低いローンを利用することが大切です。目先のことだけにとらわれず、長期的な視点で資金計画を立て、賢くローンを利用しましょう。

私が書きました

福島 佳奈美 の写真

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2013年09月02日