第1006回

自動車の所有権を自分で持つメリットは?

ディーラーローンで車を購入すると、自分で所有権を持てないと聞きました。実際、何か困ることはあるのでしょうか。(Fさん 神奈川県 37歳)
ディーラーローンを利用した場合の車の所有権はディーラー等にありますので、車の売却や廃車にする際には所定の手続きが必要になります。車の所有権にも着目してローンを選びましょう。
手のひらに小さな車が乗っている画像

ディーラーローンで自動車を購入した場合の所有権は?

自動車をローンで購入する場合、販売店で手続きができるディーラーローンを利用する方も多いと思われますが、その場合、ローンが完済されるまでの車の所有権は、ディーラーやクレジット会社にあります。これを、「所有権留保」といいます。

普段あまり意識しない部分ではありますが、車を売却する場合や、事故等で廃車にする場合には、所有者の名義を変更する手続きが必要になりますので知っておくと良いでしょう。

ローン返済中であれば、ローンを完済してから名義変更の手続きを進めます。その際、車の所有者であるディーラーやクレジット会社から、所有権留保解除に必要な書類を入手することが必須となります。手続き方法の詳細は所有者によって異なるため、ディーラーやクレジット会社に確認しましょう。

所有権留保解除に必要な譲渡証明書や委任状、印鑑証明書等の書類を入手できたら、自分の居住地域を管轄する運輸支局で、所有権を移転する「移転登録」の手続きをしなければなりません。その際、さらに申請書、自動車検査証や自動車税納税証明書等の書類も必要です。手数料を支払って事業者に代行を依頼することもできます。

では、所有権が自分ではないのに自動車税の納税通知書が届くのは何故でしょう。これは、通常毎年4月1日現在の車の所有者に対して課される自動車税の納税義務が、ディーラーローンで購入しディーラーが所有権を持っている場合、購入者である使用者に課されるためです。ディーラーローン完済の通知がきたら、所有権変更手続きをすれば、所有権を自分に移すことができます。

銀行等で借りる場合の自動車の所有権は?

マイカーローンはどこで契約しても同じと思われるかもしれませんが、銀行や信用金庫等の金融機関を利用した場合、車の所有権は購入者にあります。つまり、金融機関の種類によって車の所有者が異なるということです。現在の所有者が誰になっているのかは、車検証で確認できます。

銀行や信用金庫等のマイカーローンでは、所有権が購入者にありますので、車を売却する場合や廃車にする場合も所有権変更の煩わしさはありません。また、一般的に、ディーラーローンより低い金利での借り入れが可能です。自動車の所有権を自分で持てるというメリットも考慮して、自分に合ったローンを選びましょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2022年12月13日