第48回NEW

個人事業主が事業資金を融資してもらう方法|新型コロナウイルスの影響

個人事業主が事業を行ううえで欠かせないのが、事業資金の融資です。
新たに事業を始めるときも拡大するときも、すぐに使える資金があれば、あらゆる出来事にスピード感を持って対処できます。
しかし、ひと口に事業資金と言っても、資金の使い道や調達方法はさまざまなので、「自分の事業形態や状況にあう調達方法がよくわからない」と悩む個人事業主は多いのではないでしょうか。
当記事では、個人事業主が事業資金を融資してもらう方法から代表的な資金調達先までご紹介していきます。
また、資金使途に沿った調達方法や、新型コロナウイルス関連の融資・支援策についてもご紹介します。
「事業資金の調達方法、調達先で悩んでいる」という方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

個人事業主が事業資金を融資してもらうには

事業資金の調達を考えるときは、まず「何のために事業資金が必要なのか」を整理し、目的に適した金融機関を選ぶことが大切です。

ここでは事業資金の目的・使い道を整理しながら、金融機関の種類とそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

事業資金の目的

事業資金の利用目的は大きく分けて3つあります。
目的によって適切な資金調達方法は変わってくるので、どのような事業資金が必要になるのかを確認しましょう。

設備投資資金

土地や建物の他、パソコンなどの電子機器や営業活動に用いる車両、店舗で使用する機材など、事業運営に欠かせない各種設備を準備するための資金です。
設備投資は事業を拡大するとき、古くなった設備の修繕や買い替えなど、さまざまなタイミングで必要になります。
事業拡大時はスピーディな資金調達が肝になりますが、古い設備の修繕などの場合は早さよりも長期的な視点での計画性が重要です。

運転資金

日常的な事業活動、事業の資金繰り全般に必要な資金です。
前述の設備投資資金はある程度必要な時期や資金額を予測できますが、運転資金は事業活動によって変動するため、予測が困難です。

順調な黒字経営が続いても、急に多額の資金が必要になる場面もあるでしょう。
不測の事態にも迅速な対応ができるよう、すぐに融資相談できる調達先を見つけておくことが大切です。

開業資金

事業の立ち上げ時に必要な資金です。
オフィスや店舗などの不動産賃貸費用から人件費、原材料費、広告宣伝費など、必要な費用は事業内容によって異なります。
まだ実績がない状態なので、資金調達方法は限られます。

金融機関の種類別メリット・デメリット

ここでは事業資金を調達する金融機関の種類について、メリット・デメリットの両面から解説していきます。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府が100%出資をしている金融機関です。
ブラックマンデーやリーマンショックなどの金融秩序の混乱、新型コロナウイルスのような感染症が蔓延したときなどの資金調達を積極的に支援する金融機関でもあります。
低金利で長期の借り入れが可能なので、事業資金の調達を考える際には最初に名前が挙げられる資金調達先でしょう。

  • メリット:低金利で、実績がない個人事業主でも利用しやすい。開業資金専用の融資がある。
  • デメリット:必要書類が多く、審査には一定の時間を要するため、スピーディな資金調達には向かない。
  • どのような資金に適しているか:開業資金、設備投資資金(修繕や買い替え用)
銀行

都市銀行から地方銀行、ネット銀行までさまざまな形態・規模で運営されている金融機関です。
都市銀行は実績があれば大規模な融資を期待できます。地方銀行は信用金庫と似た独自の地域密着型サービスがあり、ネット銀行は個人事業主でもスピーディな融資を受けられるビジネスローンを展開しています。
銀行は規模によって融資の種類や性質も変わってくるので、自らに適した銀行選びが重要です。

  • メリット:銀行ごとにさまざまな融資が用意されている。大規模な融資も可能。
  • デメリット:審査が比較的厳しく、実績のない個人事業主は利用しにくい。
  • どのような資金に適しているか:事業拡大に伴う多額の設備投資資金、運転資金など(※銀行による)
信用金庫

信用金庫は地域密着型で、中小企業や個人事業主が主な取引先になります。
開業支援など独自のサービスを用意している信用金庫もあるので、初めての開業で不安な個人事業主でも相談しやすくなっています。

  • メリット:個人事業主でも融資相談しやすく、都市銀行より対応が柔軟。法人成りした後も長く付き合っていける。
  • デメリット:日本政策金融公庫に比べて金利は高めで、実績がないと大規模な融資は受けにくい。
  • どのような資金に適しているか:開業資金、運転資金
ノンバンク

預金業務を扱わず、主に資金の貸付サービスをする事業者を総称してノンバンクと言います。ビジネスローン専業の会社や消費者金融、クレジットカード会社などが該当します。
個人事業主でも利用できる無担保のビジネスローンを多数取り扱っているため、融資を受けやすい点が特徴です。
他の金融機関に比べて金利は高めですが、急な運転資金が必要になったときでも迅速に融資を受けられます。

  • メリット:個人事業主でも利用しやすく、即日融資を受けられる場合もあるなど、審査が早い。
  • デメリット:金利が高め。
  • どのような資金に適しているか:運転資金

個人事業主が利用できる補助金・助成金

金融機関から融資を受ける以外にも、事業資金を準備する方法として補助金や助成金があります。

開業時や事業拡大時などに、国や地方公共団体、民間団体から支出されるお金を補助金と言います。補助金と助成金の違いはほとんどありません。どちらも、原則として返済は不要です。

自治体や事業形態によっては支給の条件が異なるため、誰でも利用できるというわけではありません。
利用条件に該当していても、事業計画書の作成が必要になるなど手間がかかる場合もあります。補助金や助成金を申請する場合は、社会保険労務士など専門家に相談するといいでしょう。

また、申請先にもよりますが、申請してから入金まで相当の時間がかかる場合もあり、すぐに使えるようになるわけではないので、注意が必要です。

【新型コロナ】個人事業主が事業資金として受けられる融資や助成金

新型コロナウイルスで事業に大きな影響を受けている個人事業主には、専用の融資や助成金が用意されています。
ここでは、厚生労働大臣・経済産業大臣・公正取引委員会委員長が連名で要請した「個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮」について、概要を解説しながら、2020年9月時点で活用できる融資や助成金などの支援策をご紹介します。
「新型コロナウイルスで事業の存続が厳しくなっている」という個人事業主は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

厚労省・経産省などが要請した個人事業主の取引に関する配慮【2020年9月現在】

新型コロナウイルスの感染拡大は、個人事業主の事業にも大きな影響を及ぼしています。
収入の減少など、個人事業主・フリーランスに及ぼす影響を最小限に抑えるため、厚生労働大臣と経済産業大臣、公正取引委員会委員長は連名で、個人事業主との取引がある事業者に適切な配慮を求める旨を要請しました。

上記の要請では、新型コロナウイルスの感染拡大により個人事業主との契約内容を変更せざるを得ないような場合、個人事業主の同意を得る、本来支払われるべき報酬を負担するなどの配慮・対応例が記載されています。 また、個人事業主の発熱や子どもの休校などによる業務環境の変化を理由に、納期延長等を余儀なくされた場合も柔軟な対応をとるよう求めています。

取引内容の変更や一部解除はやむを得ないとしても、新たな取引内容や条件、報酬額などについては文書化して残すなど、下請振興法、独占禁止法および下請代金法に抵触することのないよう注意が呼びかけられています。

助成金や減免の支援策・融資制度【2020年9月現在】

2020年9月現在、個人事業主向けに用意されている助成金や融資制度は以下のとおりです。

〈個人事業主向け支援・融資制度一覧(2020年9月現在)〉

持続化給付金

売上が前年同月比で50%以上減少している個人事業主に、最大100万円の給付金を支給。

小学校休業等対応支援金(委託を受けて働く方向け)

小学校や幼稚園、保育所などが臨時休業になり、子どもの世話が必要になったために委託の仕事をできなくなった個人事業主に、1日4,100円(7,500円)※×働けなくなった期間の支援金を支給。

※就業できなかった期間が2020年2月27日~2020年3月31日の場合は4,100円、2020年4月1日~2020年9月30日の場合は7,500円

新型コロナウイルス感染症特別貸付(国民生活事業)

売上が一時的に減少しているが、中長期的に回復・発展が見込まれる個人事業主が利用できる、無担保の特別融資制度。融資限度額は8,000万円で、3年間(上限4,000万円)は実質的に無利子で融資を受けられる。

生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金、総合支援資金)

休業や失業などで生活が困窮した場合に利用できる、無利子・無担保の特別融資制度。

経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

社会的な要因で一時的に売上高等が減少したり今後の減少が見込まれたりする場合、上限4,800万円までの融資を受けられる。

民間金融機関による実質無利子・無担保融資

売上高等が5%減少した場合、要件を満たせば民間金融機関で実質無利子・無担保の融資を5年間(融資上限額3,000万円)受けられる。

確定申告・納税期限の個別延長

2020年度の確定申告期限(2020年4月16日)以降も、確定申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」の旨を付記すれば、確定申告・納税の期限延長が認められる。

家賃支援給付金

売上が減少した法人や個人事業主に対する、地代・家賃負担軽減を目的とした給付金。
申請時の直近1ヶ月における支払賃料(月額)に基づき、個人事業主の場合は最大300万円が支給される。

各制度の支援・融資内容は、新型コロナウイルス感染症の収束状況などにより変わる場合があります。
利用の際はそれぞれのホームページをご覧いただくか、経済産業省や厚生労働省のホームページで最新の内容を確認しましょう。

個人事業主が融資を受けるための準備

個人事業主がスムーズに事業資金の融資を受けるために重要なのは、適切な金融機関選びと書類の準備です。
ここでは金融機関選びと書類の準備ポイントについて、わかりやすく解説していきます。

金融機関選び

審査に通らなければ、融資を受けることはできません。融資審査は金融機関によって異なるため、個人事業主でも比較的審査に通りやすい金融機関を選ぶようにしましょう。

開業資金の融資は、個人事業主への積極的な融資を支援している日本政策金融公庫がおすすめです。

また事業が軌道に乗ってきたときの運転資金は、銀行や信用金庫を中心に、迅速な審査に定評のあるノンバンクを組み合わせて利用することをおすすめします。

とはいえ、おすすめした金融機関でも100%審査に通るという保証はありません。審査にスムーズに通るためには、金融機関選びとあわせて書類の準備も重要です。

書類の準備

個人事業主が融資を受ける場合に必要な書類は複数ありますが、特に重要な書類は以下の4つです。

  • 事業計画書(創業計画書)
  • 資金繰り表
  • 決算書(損益計算書・貸借対照表)
  • 試算表

開業資金の調達では、事業計画書の作成が重要です。 実績がない状態で融資を受けるためには、どれだけ現実的な事業計画を立てられているかを融資担当者に示さなければなりません。ただ自社の強みを書くだけではなく、具体的なマーケティング戦略や競合の調査結果、仕入れ先や販売先の候補をできる限り盛り込んでください。

事業が軌道に乗ってきて運転資金や設備投資資金の融資を受ける際は、決算書や試算表の提出も必要になります。いずれも事業の安定性を判断される、重要な書類です。ただ提出するだけではなく、審査担当者に何を聞かれてもすぐ答えられるよう、しっかりと内容を把握しておくようにしましょう。

個人事業主は、収入の不安定さを理由に融資を断られる場合があります。過去に収入の変動が大きくある場合は、その点を審査時に聞かれる可能性があるので気をつけてください。もし聞かれた場合は、収入の変動に対してどのような対策を考えているのか、具体的に答えられるようにしておきましょう。

まとめ

事業資金は大きく分けて「設備投資資金」「運転資金」「開業資金」の3つになります。資金調達先は、日本政策金融公庫や銀行、信用金庫、ノンバンクなどの金融機関、補助金、助成金の利用などがあります。それぞれ特徴が異なりますので、必要となる事業資金に応じて最適な資金調達先を選ぶとよいでしょう。

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ライター紹介
服部 椿(はっとり つばき)
氏名
服部 椿(はっとり つばき)
保有資格
AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
主なキャリア
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン相談が得意。

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