第844回

消費税増税でビジネス上注意する事は何?

パン屋を個人事業で営んでいます。消費税増税を機にキャッシュレス決済を導入するべきか悩んでいます。 今後イートインスペースも設けて顧客を呼び込もうと思っていますので、複数税率に対応できるPOSレジの補助金は申請しています。 他に何か注意することはありますか。(Aさん 自営業 40歳)
パンなどの飲食料品は軽減税率の対象になりますが、イートインの分は対象外ですので、複数税率に対応したレジ端末の準備や経理処理が必要ですね。 キャッシュレス決済を導入すれば顧客を増やすきっかけになるかもしれません。今後は納税資金にも余裕をもっておきましょう。
福島 佳奈美
福島 佳奈美

キャッシュレス決済がビジネスチャンスになる可能性も

既に体験されている方がほとんどかと思いますが、2019年10月1日より消費税が8%から10%へ増税され、同時に日本で初めて軽減税率が導入されました。 消費者側は何が軽減税率の対象なのかと多少困惑しながらその日をむかえ、一方で事業者側では小売店を中心に商品の値段表示の変更やレジ端末の切り替えなど、準備や対応に追われていた様子が報道されていました。

また、増税と同時にキャッシュレス決済による消費者へのポイント還元事業も始まりました。 これは、経済産業省が行う、2020年6月30日までの期間限定の事業です。ポイント還元事業の加盟店において、対象となるキャッシュレス決済を行うと、ポイントが還元されるというものです。 中小企業や個人事業等では5%、コンビニなどのフランチャイズ店では2%の還元になりますので、消費者にとっては税負担の軽減になります。

キャッシュレス決済は、事業者側にとっても業務効率化や集客力アップというメリットがあります。 2020年6月末まではクレジットカードなどの決済事業者に支払う手数料の補助も受けられます。

キャッシュレス決済による消費者へのポイント還元は飲食料品以外の品目も対象となるため、消費者もポイントが還元される店舗を選んで購入するという動きもありそうです。 経済産業省の発表によるとポイント還元事業の加盟店登録申請数は、9月25日時点で約73万店にのぼるそうです。 登録は2020年の4月下旬(予定)まで可能ということですので、現状はキャッシュレス決済を導入していない事業者も、今後の動向を見てビジネス上有利と判断すれば導入が可能です。

軽減税率に対応した請求書や納税資金確保が必要に

さらに、10月以降の請求書には、8%と10%の税率を区分して「軽減税率の対象品目である旨」と「税率ごとに区分して合計した対価の額」を記載した「区分記載請求書」の形式を導入するよう求められています。 これは全ての事業者が対象で、消費税の免税事業者であっても取引先から区分記載請求書を使用するよう求められる可能性もあります。

このように軽減税率導入にあたり、複数税率対応レジや受発注システム、請求書管理システムなどの改修しなければならないこともありますが、その負担を軽減するため中小企業や個人事業者には経済産業省の軽減税率対策補助金があります。 ただし、2019年9月30日までに契約を終えていなければなりませんので10月以降に新規事業を始める場合には補助金は使えません。

補助金を申請した場合でも、レジ1台あたり20万円という上限がありますし、補助率も最大で4分の3となっていますので、レジの種類によっては自己負担が大きくなる場合もあります。 導入に関しての必要資金が不足する場合には公庫融資もありますが、ビジネスローンの利用も検討してみましょう。 事業を円滑に行うためには、比較的手続きが簡単でスピーディーに融資が行われるビジネスローンも有効です。

また、消費税増税にあたって、事業者は食品以外の仕入れ代金がかさむ場合もありますし、納税額の増加も予想されますので、資金繰りには注意が必要です。 なるべく資金不足にならないような資金計画や対策も立てておきましょう。

【参考リンク】

担当:福島 佳奈美 (執筆:2019年10月11日)