第1171回NEW
中小企業の資金繰りを改善!不動産担保ローン活用法
- 祖父の代からの工場を引き継いで、従業員十数名の会社を経営しています。近年のインフレで原材料価格が上昇していますが、商品の値上げには十分反映できていません。また、人手不足で人件費に上昇圧力がかかっており、資金繰りが不安定になっています。当面の資金繰り改善の手段として不動産担保ローンの活用を検討したいと考えていますが、特徴や留意点について教えてください。 (会社経営 男性 48歳)
- 不動産担保ローンは、無担保ローンと比較すると、借入可能額が大きいことや、赤字や創業期の企業でも借り入れができる場合があるなどのメリットがあります。さまざまな金融機関が不動産担保ローンを提供していますが、商品によって申込条件や必要書類が大きく異なる点などには注意が必要です。なお、中小企業の場合、さまざまな公的支援制度が用意されているため、根本的な経営の見直しに活用できる支援を受けて経営計画等を策定した上で、必要に応じて不動産担保ローンを活用してもいいかもしれません。
不動産担保ローンのメリットは、高い借入可能額や審査の柔軟性
事業者向け不動産担保ローンは、企業の資金繰りを改善、安定させる有力な手段のひとつです。担保となる不動産があるなら、無担保ローン以上のメリットを享受できます。
不動産担保ローンの最大のメリットは、無担保ローンよりも借入可能額が高いことでしょう。無担保ローンは、企業の信用力や返済能力が厳しく審査され、借入可能額に一定の制約がかかります。一方、不動産担保ローンは、担保となる不動産の価値評価が重視されるため、数百万から数億円など多額の融資を受けられる可能性があります。そのため、多額の設備投資や新規事業の立ち上げなど、まとまった資金が必要な場合に有効です。担保を取ることで金融機関のリスクが軽減されるため、無担保ローンより金利が低い傾向があり、返済負担を軽減できます。
審査の柔軟性も不動産担保ローンの大きな特徴です。担保価値が高ければ、一時的な赤字決算や創業期の企業であっても、事業計画や経営者の返済能力等を総合的に評価し、融資を受けられるケースがあります。銀行だけでなく、ノンバンク系の金融機関も独自の審査基準を持っており、柔軟な対応が期待できます。返済期間は最長20年や最長35年など、無担保ローンよりも長く設定できる傾向があるため、月々の返済額を抑え、資金繰り負担を軽減できます。また、一般的に資金使途も幅広く、運転資金や設備投資資金、納税資金など、さまざまな目的で利用できます。
不動産担保ローンの注意点は?
不動産担保ローンには多くのメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
第一に、商品によって申込条件や必要書類が大きく異なることです。手続きをスムーズに進めるためには、事前にしっかりと確認しておく必要があります。代表的な提出書類は、商業登記簿謄本や決算書、事業計画書、各種納税証明書、不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書などですが、その他にもさまざまあります。
第二に、無担保ローンと比較すると融資実行までに時間がかかることです。その理由は、申込者の審査に加えて、担保となる不動産の評価が必要だからです。銀行では数週間から1ヶ月以上かかる場合もあります。なお、主にノンバンク系の金融機関の中には、数日間で融資実行が可能なところもあります。
第三に、事務手数料、保証料、印紙税、登記手数料などの諸費用がかかることです。そのため、金利だけでなく、諸費用を含めた総コストで比較、検討した上で商品を選ぶことが重要です。
その他に、審査基準は個々の金融機関が独自に決めているため、ある金融機関で希望額の融資が受けられない場合であっても、別の金融機関では受けられる場合があります。
一般的に、担保不動産の評価額が高いほど、借入可能額が大きくなり、金利も低くなる傾向にありますが、担保となる不動産には抵当権が設定されるため、返済が滞った場合には不動産を失うリスクがあることにも注意が必要です。
実際に不動産担保ローンを利用する際には、複数の金融機関の商品を比較し、自社の返済能力と担保不動産の価値に見合ったローンを選ぶことが大切です。
公的支援制度「早期経営改善計画策定支援制度」の活用も検討!
資金繰りを改善するには、資金の借り入れだけでなく、根本的な経営の見直しも不可欠です。その支援策として活用できるのが、中小企業庁が推進する「早期経営改善計画策定支援事業」です。この制度を活用すると、国が認定した税理士、中小企業診断士などの専門家の支援を受けて、資金繰り計画やアクションプランなどの経営改善計画を策定する際、その費用の一部を補助してもらうことができます。補助額は、計画策定支援費用(上限15万円)や伴走支援費用(上限5万円)など、専門家への支払費用の3分の2が補助の対象となります(上限25万円)。
資金繰りが不安定な企業や、売上が減少している企業、自社の経営状況を客観的に把握したい企業は、この制度を活用して、専門家とともに経営課題を分析し、実行可能な改善計画を策定して経営の健全化を図ることができます。計画策定後も、専門家によるモニタリングやアドバイスを受けられます。
自社の資金繰りの悪化を防ぎ、持続可能な経営体制を構築するためにも、金融機関からの借り入れを工夫するとともに、経営そのものの見直しを実行してはいかがでしょうか。
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