第1146回NEW
不動産担保ローンでも団信に加入できる?
- 資金使途が比較的自由な不動産担保ローンの借入れを検討しています。ただ、借入額が多くなると、万が一のことがあった場合に家族に借金が残ってしまうことが心配です。不動産担保ローンでも、団体信用生命保険に加入することはできますか?(会社経営者40代)
- 主に銀行が取り扱う不動産担保ローンでは団体信用生命保険に加入することができる場合があります。ただし、加入は任意で金利が上乗せされるのが一般的です。加入を希望される場合には、取り扱いの有無を事前に確認し、商品選択をするようにしてください。

不動産担保ローンとは
不動産担保ローンは、所有する土地や建物を担保にすることで、まとまった資金の融資を受けるものです。融資にあたり、金融機関は対象となる不動産に抵当権を設定します。住宅ローンと同様の仕組みですが、住宅ローンの資金使途が住宅の購入や建築、リフォームなどに限定されている一方で、不動産担保ローンは、教育資金やセカンドハウスの購入、借入金のおまとめなどにも利用することができるなど、資金使途の自由度が高いのが特徴です。
不動産担保ローンでも団体信用生命保険に加入できる?
住宅ローンを借り入れする際には、多くの金融機関で団体信用生命保険に加入することが、借り入れの要件の一つになっています。
団体信用生命保険は、返済中、借入者に万が一のことがあった場合に、住宅ローン残高が清算されるものなので、残された家族や住宅を守ることができる、とても重要なものです。
それでは不動産担保ローンの場合でも、団体信用生命保険に加入することは可能でしょうか。
不動産担保ローンの場合には、金融機関によって加入できる場合と取り扱いがない場合があります。
加入できるのは、主に銀行などの金融機関で、消費者金融などのノンバンクでは、取り扱いがないことが多いので、団体信用生命保険への加入を希望する場合には、あらかじめ確認することが必要です。
不動産担保ローンの団体信用生命保険は「任意」が基本
住宅ローンの団体信用生命保険とは異なり、不動産担保ローンの場合には、団体信用生命保険への加入は「任意」となります。そのため、希望する場合には、自分から加入希望である旨を伝えましょう。
団体信用生命保険に加入すると金利に上乗せされる
団体信用生命保険に加入すると、その分、金利に上乗せされます。上乗せ分は0.2%〜0.4%程度としている金融機関が多いようです。また、死亡・高度障害の保障のみならず、がん保障付きなど保障範囲が広い団体信用生命保険がある金融機関もあります。金利が上乗せされれば、その分、返済の負担は大きくなります。
住宅ローン | 不動産担保ローン | |
---|---|---|
団体信用生命保険への加入義務 | 原則として必須 | 原則として任意、加入を希望する場合、自ら申し出る |
保険料の負担 | 金利に含まれていることが多い | 金利に上乗せされる |
取扱金融機関 | 住宅ローンを扱うほぼ全ての金融機関 | 主に銀行 、ノンバンクなどでは取り扱いが少ない傾向 |
団体信用生命保険の種類 | 死亡・高度障害のほか、がんや三大疾病など保障の範囲が広いものや、通常の団体信用生命保険に加入できなかった場合には、加入条件を緩和した「ワイド団信」を取り扱っている場合もあり | 主に死亡・高度障害。がん保障特約付きを扱っている金融機関もあり。 |
※筆者作成
団体信用生命保険の加入には審査がある
住宅ローンの団体信用生命保険と同様に、加入にあたっては審査があります。健康状態によっては加入できないこともあります。その場合には、万一の場合に、ご自身がすでに加入している他の生命保険でカバーできるのか、残された家族が返済し続けることができるのかなどを慎重に検討しましょう。
まとめ
不動産担保ローンで団体信用生命保険に加入するかどうかは、安心をとるか、コストを抑えるかの選択といえます。
特に、借入額が大きい場合や返済期間が長期にわたる場合にはリスクも大きいと思われますので、団体信用生命保険に加入できるかどうか、商品選びの段階からしっかりと確認をしてください。
私が書きました

ファイナンシャル・プランナー。金融デザイン株式会社 取締役。
大学卒業後、信託銀行に就職。その後イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年FPとして独立。2010年より現職。個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成しながら、50代と60代からのセカンドキャリアを応援するサービス「50カラ」を展開中。
※執筆日:2025年08月28日
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