第1133回NEW
大学進学する子どもの一人暮らし、マンションを買う選択肢はあり?
- 来年、子どもが首都圏の大学への進学を予定しています。大学の近くの賃貸物件は家賃が上昇しているので、ワンルームマンションを購入した方が資産を有効活用できるのでは、と思いましたがどうなのでしょうか。(会社員 55歳)
- 大学4年間分の家賃を払うとかなりの金額になりますので、購入していずれは家賃収入にという選択肢もあるでしょう。購入によるメリットとデメリットをよく検討して判断するとよいでしょう。

賃貸の家賃が上昇している!
最近の急速な物価上昇の影響に伴い、都市部を中心に賃貸物件の家賃も上昇しています。東京23区ではマンションの平均家賃が過去最高となっているという報道がありました。
近い将来、お子様が大学進学等で賃貸物件に入居する予定の方は、今後も家賃が上がり続けるのではと心配な面もあるでしょう。進学のために必要なお金とはいえ、せっかくお金をかけるのなら、マンションを購入し資産として有効活用するという選択肢もあるでしょう。
マンションを購入する場合のメリット・デメリット
仮に、入居するマンションの家賃が月10万円だとしたら大学4年間で合計480万円もかかります。それなら、そのお金を資金の一部にして購入し、卒業したら売却したり貸し出して家賃収入を得たりすることができれば、という考え方もあるでしょう。
一方で、マンションを購入すると固定資産税をはじめとした税金や火災保険料等もかかりますし、いずれ賃貸に出すなら空室のリスクや物件を維持管理する費用も想定しておかなければなりません。このようなメリットとデメリットをよく検討して判断する必要があります。
自宅以外の購入で利用できるローンは?
一括で購入できる資金が無い場合にはローンの利用を検討することになるでしょう。一般的な住宅ローンは、基本的にはローン契約者本人が居住する場合にしか利用できないのですが、家族が居住するなら利用可能なローンもあります。例えば、固定金利型の住宅ローンである住宅金融支援機構の【フラット35】は、申込者の両親や子どもなどの親族が居住するための住宅購入にも利用できます。但し、投資用物件の取得には利用できませんので、いずれ賃貸に出す想定での購入には、他のローンを検討しましょう。
なるべく低い金利で、マンション購入のような大きな金額を借り入れる選択肢としては、不動産担保ローンがあります。不動産担保ローンは、基本的に使途が自由なので投資用の物件購入に利用できる商品も多くあります。
不動産担保ローンの借入可能額は、自宅や土地、別荘などの担保不動産の価値にもよります。希望するエリアに購入できる価格帯のワンルームマンション等があるのかも事前に確認しましょう。
借入期間は20年~30年程度と長期も可能ですが、完済時の年齢が80歳未満などの制限がありますので、老後のライフプランを含め、資金計画をきちんと立てることが必要です。返済不能になると担保不動産を失ってしまうリスクがありますので、慎重に検討するようにしましょう。ローンを利用する場合は金利や手数料も考慮し、最終的には売却することも含め収支をシミュレーションしましょう。
これらの内容を踏まえて、資産形成も兼ねてお子様の一人暮らし用マンションを購入するかどうかを判断するとよいでしょう。
私が書きました

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2025年06月02日
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