第531回

お金が貯まらないあなたへ・・働くみんなのお小遣いや貯蓄額を参考に目標を立てて実行しよう!

なかなかお金が貯まらなくて困っています。毎月、ローンの支払いがあるためか、給料はほとんど残りません。貯蓄ができず、将来に不安を感じています。もっとお金を貯める方法があれば教えて下さい。(茨城県 33歳 男性Aさん 独身)
お金が貯まらない理由は、本当にローンの支払いのためだけでしょうか?お金を計画的に貯めるには、現在の収支をキッチリと分析して問題点を洗い出し、対策を立てて着実に実行する必要があります。「貯まらない」と嘆くばかりでなく、すぐに行動しましょう。また、家計の目標設定には、アンケート調査の結果などを参考にしてみてはいかがでしょうか?

サラリーマンの平均的なお小遣いや貯蓄額は?

新生銀行が2013年6月28日に発表した「2013年サラリーマンのお小遣い調査」によると、サラリーマンの毎月の平均的なお小遣いが世代別の30代では37,093円、未婚で46,175円という結果になりました。

つまり、この調査結果を参考にすると30代で独身のAさんの場合は「30代:37,093円」~「未婚者:46,175円」程度が毎月自由に使える金額だと考えていいかもしれません。

また、インテリジェンスが運営する転職サイトDODA(デューダ)の「ビジネスパーソンの貯蓄事情2012」によると、年齢別の平均貯蓄額で33歳は433万円、年収別の平均貯蓄額で400~500万円未満は368万円という調査結果を掲載しています。

つまり、この調査結果を参考にAさんの年齢や年収を考えると「年収400~500万円未満:368万円」~「33歳:433万円」が目標貯蓄額のヒントになります。

毎月の収支や貯蓄額を細かく観察して家計の問題点を浮きぼりにする!

家計の問題や課題は、現在の収支や貯蓄額を見るとわかります。そのためにはまず、日々の支出を細かく記録して、現状の分析ができる状態にすることが大切です。

33歳独身男性Aさんの収支や貯蓄額は以下のようになっています。

【毎月の収支】
収入 給料(手取り) 25.0万円  
支出 家賃 7.0万円  
駐車場代 1.5万円  
ガソリン代 0.5万円  
食費等 4.8万円  
水道光熱費 1.0万円  
通信費 0.7万円  
保険料 0.3万円  
小遣い 5.0万円  
カードローン支払い1 1.2万円 実質年率15.0%、残高20万円(リボ払い)
カードローン支払い2 1.5万円 実質年率18.0%、残高30万円(リボ払い)
クレジットカード支払い 1.3万円 実質年率16.0%、残高20万円(リボ払い)
自動車ローン支払い 2.0万円 実質年率3.3%、残高60万円
支出合計 26.8万円  
毎月の収支 ▲1.8万円  
【ボーナスの収支】
収入 ボーナス(手取り) 75万円 1.5ヶ月×夏冬2回
支出 年間特別支出 25万円 レジャー、家具家電など
毎月の赤字の穴埋め 22万円 毎月1.8万円×12ヶ月
支出合計 47万円  
ボーナスの収支 28万円  
【貯蓄額】
現在の貯蓄額 125万円  

この毎月の収支をみると、単月では赤字。その赤字をボーナスで補填しており、なんとか年間収支で黒字を保ち、年間30万円弱の貯蓄をしている状況です。

毎月の収支が赤字だと、常に不安を抱えて暮らさなければなりません。会社の業績等の影響でボーナスが削減されるなど不測の事態が起こると、たちまち年間収支の黒字が保てなくなり、貯蓄を取り崩すことになります。

この家計を改善するポイントは、1)支出を見直して削減する、2)貯蓄目標を立てる、3)ローンを見直して利息の支払いを削減する、の3つでしょう。

このうち、1)や2)はお小遣いや貯蓄額の平均額などを参考に目標に定めて、日々の支出をコツコツと切り詰めていく必要があります。Aさんのお小遣いは5.0万円ですから、平均的なお小遣い「30代:37,093円」~「未婚者:46,175円」よりも多めです。また、Aさんの貯蓄額は125万円なので、平均的な貯蓄額「年収400~500万円未満:368万円」~「33歳:433万円」よりもかなり少ないと言わざるをえません。

コツコツ切り詰めてもなかなか効果が現れない場合には、「安い家賃の住居に引越しをする」、「自動車を手放す」などの根本的な方法で支出を減らすことを検討したほうがいいでしょう。

【参考リンク】

ローンを見直して支払い利息を削減する!

支出の中にローンの返済がある場合には、ローンそのものを見直すと効果的です。

Aさんの場合、カードローンや買い物でのクレジットカード払いがあります。リボルビング払いをしているこれら複数の無担保ローンは、「おまとめローン」に借り換えて低利の大口ローンに一本化すると、返済負担や支払い利息額を抑えることができ、支出の削減に大きく貢献します。

【現状のカードローンとクレジットカードの支払い】
  借入残高 金利
(実質年率)
毎月返済額 残りの
返済回数
今後の
返済総額
カードローン
支払い1
200,000円 15.0% 12,000円 19回 225,672円
カードローン
支払い2
300,000円 18.0% 15,000円 24回 359,322円
クレジット
カード支払い
200,000円 16.0% 13,000円 18回 225,333円
合計 700,000円   40,000円   808,501円
【おまとめローンに一本化した場合】
  借入残高 金利
(実質年率)
毎月返済額 残りの
返済回数
今後の
返済総額
おまとめ
ローン
700,000円 7.8% 32,000円 24回 757,512円

このように、「おまとめローン」に借り換えることができれば、残りの返済回数をさほど延長しなくても、毎月返済額は8,000円程度削減でき、今後の総返済額も5万円程度減らすことができます。

自動車ローンも、もっと金利の低いローンに借り換えましょう。

【現在の自動車ローン】
借入残高 金利
(実質年率)
毎月返済額 残りの
返済回数
今後の
返済総額
600,000円 3.3% 20,000円 32回 627,053円
【低金利の自動車ローンに借り換えた場合】
借入残高 金利
(実質年率)
毎月返済額 残りの
返済回数
今後の
返済総額
600,000円 1.5% 18,000円 35回 613,222円

ローンの見直しは、生活習慣を変えなくても済むため、お小遣いや生活費を切り詰めて支出を削減する方法よりも痛みを伴いません。ぜひ積極的に見直していきたいものです。

イー・ローンのサイトでは、さまざまなローン商品が紹介されており、複数の商品を簡単に比較し検討することもできるようになっています。

自分にとってできるだけ有利な商品を見つけて、すぐに見直しに取り掛かりましょう。

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2013年08月01日