第12回

住宅ローンの借り換えで支払いが楽に?借り換えのメリットについてシミュレーションを元に解説!

人生で一番大きな買い物といえるマイホームの購入は、家計への負担が非常に大きくなります。しかし、ローンの組み方や選び方で負担を軽減することも可能です。現在、住宅ローンを返済中の人は「借り換え」という方法があります。もし毎月の返済や金利で悩んでいる場合は、家計負担を軽くするためにも、一度住宅ローンの借り換えを検討してみるといいかもしれません。

住宅ローンの借り換えとは

現在、利用中の住宅ローンよりも金利が低く、好条件の別の住宅ローンを借りることにより、返済中のローンを一括返済する方法が住宅ローンの借り換えです。その後は、新たに借りた住宅ローンを返済していきます。

長らく超低金利が続いている日本ですが、2016年2月には日本銀行がマイナス金利政策を導入し、各金融機関も住宅ローンの金利を引き下げています。そのため、これまでより金利の低いローンに借り換えることで、月々の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。

住宅ローンの借り換えのメリット、デメリット

住宅ローンの借り換えには、メリットとデメリットのどちらもあります。それぞれしっかり確認してから借り換えを検討するようにしましょう。

住宅ローン借り換えのメリット

  1. 金利のより低いローンに借り換えすることで、月々の返済額と総返済額を軽減できる
    現在、返済中の住宅ローンの残高や残りの返済期間にもよりますが、現在の住宅ローンよりも低い金利の商品を選択することで、住宅ローンの毎月の返済額を少なくできる可能性があります。
     また、借り換え時には新たなローンを組み直すことになるため、返済回数や月々の返済額などの返済計画も設定し直すことになります。設定次第では、金利の低減効果に加えてさらに総返済額を減らすことも期待できます。
  2. リフォームローンを同時に借り入れすることも可能
    住宅ローンの借り換えと併せてリフォーム資金の借り入れが可能なローンもあります。一般的にリフォームローンは、住宅ローンに比べて金利が高めなため、別々に借りるよりも住宅ローンでまとめるほうがお得になります。マイホームを購入してから数年経過し、修繕や改装したい部分があれば検討する価値があるでしょう。
  3. 団体信用生命保険の保障の充実
    住宅ローンを借りる際には「団信(団体信用生命保険)に加入した」という人がほとんどではないでしょうか。かつては、団信から保険金が出る事由としては「死亡または高度障害」に限られていました。しかし、最近では多種多様な団信が選択可能です。
    • がんと診断された場合
    • 10種類の生活習慣病で180日以上入院した場合
    • すべてのケガや病気で180日以上入院した場合
     上記のように、死亡・高度障害以外でも以後のローンの返済が不要になる団信が出てきています。本来、途中で保障内容の変更はできません。しかし、住宅ローンの借り換え時には団信も加入し直すことになるため、各自の必要性に合わせて保障内容を充実させることができます。

住宅ローン借り換えのデメリット

  1. 再審査が必要
    借り換え時には、住宅ローンの再審査が必要です。転職して間もないなど前回の借り入れ時から収入が減少している場合や、マイカーローンや教育ローン、フリーローンなど借り入れが増えた場合は審査が通りにくい可能性があります。
  2. 口座変更などさまざまな手続きが必要
    借り換え後のローンの引き落としは、新たに借り入れる銀行の口座から引き落としされます。給与口座と異なる場合は、勤務先に申し出て給与口座を変更したり、毎月ローン返済額分を新口座に入金したりするなどの手続きが必要です。
  3. 手数料がかかる
    新規で住宅ローンを借り入れするときと同様に、借り換え時にも「保証料」「事務手数料」「登記費用」などの諸経費がかかります。それに加えて、返済中のローンを一括返済する「繰上返済手数料」「抵当権抹消費用」「司法書士報酬」などがかかる可能性があるため留意しておきましょう。金融機関によって繰上返済手数料の金額は異なりますが、総額で数万円程度かかるのが一般的です。
  4. 固定から変動へ金利タイプを変更した場合は支払い総額が高くなる可能性がある
    借り換え時に住宅ローンの金利タイプを変更する場合、予想外に総返済額が増える場合もあります。たとえば、固定金利から変動金利へと金利タイプを変更する場合です。しばらく低金利が続くという見込みに反して、将来的に金利が大きく上昇してしまう可能性があります。金利が上昇することで借入金利も上昇し、結果的に総返済額が上がってしまう可能性もあるのです。
  5. 既存ローンで保証料を前払い一括型にしている場合は注意が必要
    ローンを組むときの保証料には、前払い一括タイプのものと、金利上乗せタイプのものがありますが、前払い一括にした人は注意が必要です。借り換えをすると既存ローンを一括返済することになりますが、金融機関によっては本来の残期間分の保証料が返ってこないか、返金されてもかなり少なくなる場合があります。借り換え前に、現在借り入れしている金融機関へ保証料の取り扱いがどうなるのかを確認しておくと安心です。

住宅ローンの借り換えのシミュレーション

具体的に2つのケースでシミュレーションし、借り換え前後の比較をしてみましょう。

ケース1:

既存の住宅ローン:残高1,500万円、残期間15年、固定金利3.0%

借り換え後:固定金利1.5%

  返済月額 月々の差額 総返済額 総返済額の
差額
借り換え前 103,588円   18,645,840円  
借り換え後 93,112円 10,476円 16,760,160円 1,885,680円

※全国銀行協会の「ローン借り換えシミュレーション」を使用

このケースでは、固定金利から固定金利への借り換えで金利が半分の1.5%分低減し、総額で約186万円減少となる計算です。仮に諸費用で80万円かかると見積もっても約106万円の借り換え効果を得られる計算になりました。

ケース2:

既存の住宅ローン:残高1,500万円、残期間15年、固定金利1.5%

借り換え後:変動金利0.6%(5年固定)、5年後は1%と予想

  返済月額 月々の差額 総返済額 総返済額の
差額
借り換え前 93,112円   16,760,160円  
借り換え後 (当初)87,161円
(5年後)88,912円
(当初)5,951円
(5年後)4,200円
15,899,100円 861,060円

※全国銀行協会の「ローン借り換えシミュレーション」を使用

このケースでは、借り換え当初、約6,000円の減少となりますが、固定期間経過後に減少効果は小さくなります。また、返済額全体では約86万円分返済額を減らせる計算ですが、仮に諸費用を50万円と見積もっても、借り換え効果は約36万円です。

固定期間経過後の金利変動状況、諸経費の額によっては、借り換え効果も変わることを心得ておきましょう。

借り換えるべき条件の目安

借り換え前後のローンの状況によっても借り換え効果は異なります。一般的には、次の条件に当てはまれば借り換え効果を得られる傾向です。目安として知っておくといいでしょう。

  • 借り換え前後の金利差が1%以上
  • 住宅ローンの残高が1,000万円以上
  • 返済期間が10年以上

住宅ローンを借り換える際の流れ、方法、必要書類とは

借り換えを検討したらスムーズに手続きができるよう借り換えの流れや方法について押さえておきましょう。ここでは、最近多いWeb申込みの場合の一般的な流れについて説明します。

審査から実行までの流れ

  1. Web上の申込みフォームで申込み(仮審査)
    借り換えを希望する金融機関の住宅ローン借り換え申込み画面から、申込みフォームに申込人の情報を入力します。入力した内容により仮審査が行われます。
  2. 本審査
    仮審査に通れば、本審査のための必要書類を提出。パソコンにアップロードして提出できる金融機関もあります。なお、借り換え後の金融機関に預金口座を持っていない場合は、口座開設手続きをします。
  3. 審査結果の通知
    申込時に入力した連絡先に、メールまたは電話で審査結果が通知されます。
  4. 契約
    現在、住宅ローンを借り入れしている金融機関に一括返済の申込みをし、完済受付可能日、抵当権抹消書類の受取可能日、受取方法、完済予定日時点の完済に必要な金額を確認。確認結果にもとづき、借り換え後の金融機関に借入希望日、借入金額、金利タイプなど具体的な契約内容を申し出、契約手続きをします。
  5. 抵当権設定のための手続き
    借り換え後の金融機関で、抵当権設定のための手続きとして司法書士の選定や面談を行います。
  6. 借り換えおよび既存ローンの返済
    無事に借り換え後のローン手続きが終われば、現在借り入れしている金融機関に一括返済し、既存ローンの抵当権抹消が行われます。その後、借り換え後の金融機関の抵当権設定手続きが行われ完了です。

必要書類

申込みの際には「本人確認書類」と「収入証明書」「物件関連書類」などの提出が必要です。あらかじめ準備しておきましょう。

  • 本人確認書類
    申込者本人の氏名・現住所・生年月日が確認できる有効期限内の書類が必要です。本人確認書類には、「運転免許証」「健康保険証」「個人番号カード」「パスポート」などがあります。
  • 収入証明書
    会社員の人は「源泉徴収票」の提出が可能ですが、それ以外の人は「住民税決定通知書または課税証明書」「納税証明書」「確定申告書」などが必要です。
  • 物件関連書類
    「売買契約書」「重要事項説明書」「工事請負契約書」、対象物件の場所・形状(家屋)や間取りが特定できる「住宅地図」「パンフレット・チラシ」などが必要です。

FPがおすすめする借り換え先の選び方と借り換えにおける注意点

  • 審査
    個々の状況にもよりますが、新規申込みよりも借り換えのほうが審査の基準が厳しくなる場合があります。たとえば、転職して間もない場合や、他のローンがある場合は注意が必要です。不安な場合は、転職後少なくとも3年程度経過するまで待ったり、できるだけ他ローンの借入残高を減らしておいたりするなど、対策が必要になるかもしれません。
  • 健康状態
    健康状態によっては、団体信用生命保険に加入できない可能性もあります。加入条件が緩やかなワイド団信に加入できる場合がありますが、通常の団信よりも保険料が高めです。「面倒な借り換え手続きをしたのに結果的に借り換え効果がなかった」とならないように健康上の不安がある人はこのことも考えておきましょう。
  • 住宅ローン控除
    住宅ローン控除を受けるための条件に当てはまっていれば、借り換え後の住宅ローンでも引き続き住宅ローン控除を受けられます。ただし、そもそも住宅ローン控除では「10年以上の償還期間」がなければ適用されません。利率が低いローンを選ぶ場合、返済期間を短くする傾向がありますが、借り換え後の住宅ローンの返済期間を10年よりも短くしてしまうと住宅ローン控除が受けられなくなってしまいます。注意しておきましょう。
  • 火災保険
    住宅ローンの借り換えに合わせて火災保険の見直しをすることができますが、既存の火災保険によっては見直し時の注意が必要です。たとえば、住宅金融支援機構のローンを借りている場合、「特約火災保険」への加入が義務付けられており(※)、「特約火災保険」は一般の火災保険より安めでした。そのため、一般の火災保険に加入し直すことによって保険料が上がってしまう可能性があります。

(※)特約火災保険は2016年3月31日融資分をもって新規引き受けを終了しています。

住宅ローンの借り換え先を徹底比較!

借り換えを検討する際には、単に金利の高低を比較するだけでなく、諸経費などを含めた総合的な判断が必要です。金利差はもとより、諸経費の金額は金融機関によって異なるため、できるだけ負担が少なくなるよう、さまざまなローンから最適のものを選ぶようにしたいものです。

とはいえ、借り換え用の住宅ローンも多数ありますから、日本最大級のローンデータベースから検索できるポータルサイト「イー・ローン」を利用するのがおすすめです。

なお、金利や諸経費の高低だけではなく、借り換え時の残高や返済期間、金利のタイプなどによってローン借り換えシミュレーションの低減効果は変わってきます。じっくりと何度もシミュレーションを繰り返し、最大限の借り換え効果を得られるようにしてください。

「イー・ローン」のHPから借り換えシミュレーションが可能です。

ライター紹介
續 恵美子(つづき・えみこ)
氏名
續 恵美子(つづき・えみこ)
保有資格
日本FP協会認定CFP(R)
主なキャリア
生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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