第1178回NEW

住宅ローンは事前のシミュレーションで金利上昇リスクを把握しよう!

マンションの購入を計画していますが、住宅ローン選びで迷っています。借入時の金利が低い変動金利タイプを選択するつもりですが、金利上昇リスクをどのように把握したらよいでしょうか。(会社員 35歳 男性)
住宅ローンの変動金利タイプの金利は、金融機関が独自に決定しますが、日本銀行の金融政策の影響を強く受け、「利上げ」が行われると上昇する傾向があります。2026年4月現在の将来見通しとして、今後も金利は上昇すると言われています。金利上昇リスクを実感するには、将来の金利を仮定してシミュレーションをし、具体的な金額でイメージする方法があります。
ライフプランや住宅費用のイメージ 

住宅ローン利用者の変動金利タイプの選択割合は約75%!

日本銀行による2024年7月、2025年1月、2025年12月の3度の「利上げ」の影響を受けて、住宅ローンの変動金利タイプの金利は段階的に引き上げられてきました。そして、現在も金利上昇局面にあると言われています。

そんな中でも、住宅ローン利用者のうち、変動金利タイプを利用する人の割合は約75%(住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査 2026年1月調査」)と高い水準を保っています。その背景には、2024年前半まで超低水準の金利が長く続いたことや、変動金利タイプよりも先に固定金利タイプの金利が上昇する傾向があること、借入時の金利が固定金利タイプよりも変動金利タイプのほうが低いことなどが考えられます。

固定金利タイプは、一定期間金利が変動しないため、返済額が変わらない安心感があります。一方、変動金利タイプは、一般的に半年ごとに金利が見直され、金利が上がると返済額も増えて、家計運営が難しくなる可能性があります。

変動金利タイプの将来の金利水準が、いつどの程度になるかは分かりませんが、金利上昇リスクを実感するには、将来の金利を仮定してシミュレーションをし、具体的な金額でイメージする方法があります。

毎月返済額や年間返済額、返済総額をシミュレーションする!

変動金利タイプの将来の返済額を事例で試算してみましょう。

条件

  • 借入金額:4,500万円
  • 借入時の金利:1.0%
  • 返済期間:35年
  • 元利均等返済
  • ボーナス返済なし

シミュレーション

  • (1) 1~35年:金利1.0%の場合
  • (2) 1~5年:金利1.0%、6~35年:金利2.0%の場合
  • (3) 1~5年:金利1.0%、6~10年:金利2.0%、11~35年:金利3.0%の場合
金利 1~5年 6~10年 11年~ 返済総額
(1) 1~35年:1.0% 毎月返済額 12.7万円 5,335万円
年間返済額 152万円
(2) 1~5年:1.0%
6~35年:2.0%
毎月返済額 12.7万円 14.6万円 6,017万円
年間返済額 152万円 175万円
(3) 1~5年:1.0%
6~10年:2.0%
11~35年:3.0%
毎月返済額 12.7万円 14.6万円 16.3万円 6,538万円
年間返済額 152万円 175万円 196万円

(1)と(2)を比較すると、(2)は6年目から毎月返済額が約1.9万円、年間返済額が約23万円増加します。(1)と(3)を比較すると、(3)は6年目から毎月返済額が約1.9万円、年間返済額が約23万円増加し、11年目から毎月返済額が約3.6万円、年間返済額が約44万円増加します。

返済総額を(1)と比較すると、(2)は約682万円多くなり、(3)は約1,203万円多くなります。

このようなシミュレーションを行った上で、金利が上がって返済額が増えた時に、家計の運営が支障なく行えそうかどうかを考えます。その際、今後の収入や支出の変化や金融資産の状況なども想定するようにしましょう。たとえば、将来世帯収入が増える見込みがあれば、返済額の増加を吸収できる可能性があります。反対に、子供の教育費など、支出が一定期間継続的に増えそうな場合は、家計の運営が厳しくなるかもしれません。また、現在の家計に削減余地があるなら、将来の返済額アップに対応できる可能性があります。あるいは、将来金利が上昇した時に、貯蓄などの金融資産を使って繰上返済ができれば、負担増を軽減することができます。このようにして、金利上昇による負担増と、その対応策を具体的にイメージしてみてはいかがでしょうか。

変動金利タイプは、「5年ルール」・「125%ルール」に注意!

変動金利タイプは、一般的に半年ごとに金利が見直されます。金融機関によっては、元利均等返済方式において、「5年ルール」と「125%ルール」を設けているので注意が必要です。

「5年ルール」は、返済中に金利が上昇しても5年間は毎月返済額を変えないという仕組みです。「125%ルール」は、5年ごとに返済額を見直す時でも、見直し後の毎月返済額は、見直し前の1.25倍までに抑えるという仕組みです。

いずれも、毎月返済額が大きく跳ね上がらないようにして、借り手の生活設計を立てやすくする効果があります。

その一方で、「5年ルール」は、金利が上昇しても毎月返済額が減らないため、毎月返済額の中の利息部分が増え、元金がなかなか減らない状態になります。また、「125%ルール」は、金利が大きく上がると、本来返済すべき金額よりも低い返済額に抑えられ、差額が元金に組み込まれて返済総額が増える事態を招く場合があります。いずれのルールも、負担増につながるため、注意が必要です。

変動金利タイプで住宅ローンを借り入れる場合は、金融機関から半年に一度、返済予定表(償還表)が届きます。金利上昇局面では、金利が上昇していないか、また、毎月返済額と、その内訳の利息額、元金が変化していないかを、しっかりと確認するようにしましょう。

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2026年04月15日