第1134回NEW

住宅購入の頭金とは?どのくらい貯めておくべき?

マンション購入を考え始めましたが、頭金はやはり必要でしょうか?どれくらい貯めるといいのでしょう?(会社員、29歳)
頭金はなしで購入することもできますが、一般的には、物件価格の10~20%が理想とされます。頭金の意味や役割、頭金あり・なしの場合の違いなどについて整理しておきましょう。
住宅の頭金のイメージ

頭金とは?

頭金とは、住宅購入時に現金で支払うお金のことで、一般的に、物件価格の10~20%が理想とされています。

頭金を入れれば、住宅ローンの借入額を減らすことができます。例えば、4,000万円のマンションを買う場合、頭金10%を入れれば住宅ローンの借り入れは3,600万円で済み、20%を入れれば3,200万円の借り入れとなります。借り入れが少なくなるほど毎月の返済額を抑えられるだけでなく、返済総額(利息を含めた金額)も減らすことができます。

1990年代から2000年代初頭にかけ、旧住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)の融資上限が「物件価格の80%まで」とされ、必然的に20%の頭金が必要だった時代があります。しかし、現在は、頭金ゼロでも住宅を購入できるケースも珍しくなくなりました。金融機関によっては、物件価格の100%を借り入れる「フルローン」や、中には諸費用分まで上乗せして借り入れる「オーバーローン」が可能なところもあります。

頭金の有無で支払額はどれくらい違う?

ここで、頭金の有無によってどれくらいの金額の差が出るのか、確認してみましょう。4,000万円の住宅を購入するケースで、頭金なし、頭金10%、頭金20%の3パターンで試算したものが下の表です。頭金なしは住宅ローン4,000万円、頭金10%は3,600万円、頭金20%は3,200万円の借り入れとなります。共通する条件としては、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなし、金利は1.8%、繰上返済を行わないものとします。

前提条件によって異なる可能性はあるものの、このケースでは、頭金を10%入れた場合で毎月返済額は128,436円→115,592円(▲12,844円)と下がり、支払利息が総額で139.5万円減ります。頭金を20%入れた場合では毎月返済額が102,749円(▲25,688円)へと下がり、支払利息が総額で278.9万円減ります。頭金をしっかり用意するほど、家計に大きなメリットがあることがわかりますね。

頭金の有無で返済総額はどう変わる?
頭金 なし 10% 20%
0円 400万円 800万円
住宅ローン 4,000万円 3,600万円 3,200万円
毎月返済額 128,436円 115,592円(▲12,844円) 102,749円(▲25,688円)
返済総額 5,394.4万円 4,854.9万円 4,315.5万円
総支払利息 1,394.4万円 1,254.9万円(▲139.5万円) 1,115.5万円(▲278.9万円)

イー・ローンサイトのシミュレーターで試算

その他のメリット・デメリット

返済額以外の面でのメリット・デメリットも整理しておきましょう。しっかり頭金を準備した場合のメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 金融機関や商品によっては頭金が多いと金利を優遇するものもあり、より有利に借りられるケースもある(フラット35、イオン銀行など)
  • 頭金を入れると残債が小さくなるため、中途売却時に債務超過になるリスクが軽減される

一方、デメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 頭金が貯まるまでの時間がかかる(ほしい物件と出会っても先延ばしとなる)
  • 金利や物件相場が上昇傾向のときには、時間が経つほど不利になることも

また、無理をして頭金を出しすぎたときには、手元資金の余裕がなくなり、家計のリスクを高めてしまう点も注意が必要です。

頭金は多いほど安心だが無理は禁物

住宅購入時には、頭金以外にも諸費用がかかるほか、引越し費用や家具・家電の購入などにも費用がかかります。頭金は「多いほど安心」ですが、「無理をしすぎない」ことも重要です。頭金を捻出しても、生活費3~6か月分の予備費や、ライフプランに合わせて、子供の教育資金や車の買替え、家族旅行などの目的別貯蓄はしっかりキープしておきましょう。

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私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2025年06月09日