第984回

値上げが続く私大の学費。希望進路も考慮して資金計画は見直しを

将来の大学進学資金に充てようと、子どもが0歳の頃に学資保険に加入し積立貯蓄を始め、続けています。しかし、物価上昇のニュースを聞くにつれ、学費も値上がりしているのでは?と心配になってきました。進学資金準備の目標額は、見直したほうがよいでしょうか。(広島県 Mさん)
大学によっても異なりますが、私立大学の学費は年々値上がりしています。また、大学・学部・学科によっても費用は異なり、受験費用などの「学費」外の費用もかかります。学費値上げや進路希望の具体化に合わせて、資金の準備目標も修正していくことが必要でしょう。
大林 香世
大林 香世

私立大学の学費は年々値上がり

国立大学の授業料や入学金は、文部科学省によって定められた標準額をもとに大学ごとに設定されています。その標準額は2005年以降変わっておらず、授業料は535,800円、入学料は282,000円です。

一方、私立大学の学費は大学・学部・学科ごとに違うので一概には言えませんが、その平均額の推移をみると、学費(授業料、入学金、施設設備費、実習費等の合計)は上昇傾向にあります。

お子様が生まれてから大学進学の時期までは18年。学費値上げの可能性を考えると、お子様が生まれたころに決めた進学資金の目標額では、いざ進学となったときには足りない可能性が高いでしょう。お子様の進路変更がなかったとしても、目標額は随時見直したほうがよいでしょう。

図表1 私立大学の初年度学生納付金等・合計額の推移

図表1 私立大学の初年度学生納付金等・合計額の推移

※授業料、入学料、施設整備費、実験実習料、その他の合計額
文部科学省:私立大学の初年度学生納付金等の推移 より
グラフは筆者作成

目標額は、希望する進路に合わせて

進学資金準備の目標額は、学費値上げへ対応するだけでなく、お子様の進路希望に合わせて見直していくことが必要でしょう。進学資金の準備を始めたころには「私立大学の学費くらいを目標に…」と、おおまかに目標額を定めた方も多いのではないかと思います。生まれたばかりの子どもの希望する進路、大学・学部はわかりませんからね。

しかし、「私立大学」といっても、大学によって、また文系・理系、学部・学科によって、かかる費用が違います。初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費)の平均額(合計)は、文科系学部と理科系学部では約38万円、理科系学部と医歯系学部では約332万円の差があります(⇒図表2)。

お子様の希望する大学や学部が具体化してきたら、各大学のホームページ等で入学金や授業料等の個別の情報をチェックし、資金準備の目標額を修正していきましょう。

図表2 2021年度 私立大学の初年度納付金平均額(定員1人当たり)
区分 授業料 入学料 施設設備費 合計
文科系学部 ¥815,069 ¥225,651 ¥148,272 ¥1,188,991
理科系学部 ¥1,136,074 ¥251,029 ¥179,159 ¥1,566,262
医歯系学部 ¥2,882,894 ¥1,076,278 ¥931,367 ¥4,890,539
その他学部 ¥969,074 ¥254,836 ¥235,702 ¥1,459,612
全平均 ¥930,943 ¥245,951 ¥180,186 ¥1,357,080

文部科学省:「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より

学費以外にかかる費用も忘れずに

大学進学にかかるお金は、大学に納める入学金や授業料等の学費だけではありません。複数校を受験するなら校数分の受験料がかかりますし、入学後はテキスト代や交通費もかかります。地元を離れるなら、アパート等の住まいや家財道具の費用、引っ越し費用もかかります。生活費をまかなうための毎月の仕送りも必要になるでしょう。仮に10万円を毎月仕送りするとしたら、単純計算で4年分で480万円が必要になります。進学先の地域によっては家賃や生活費の相場が違い、想定よりも費用がかさむ可能性もあります。

進学資金は学費以外の費用も含めて準備が必要です。進路希望が自宅外になる可能性があれば、進学資金準備の目標額は早めに引き上げておいたほうがよいでしょう。

資金不足なら、奨学金や教育ローンも早めに検討

このように、進学資金準備の目標額は、学費の値上がりやお子様の進路希望応じて、随時修正していく必要があります。

目標額を再設定してみたら、資金準備が間に合わないことがわかる場合もあるでしょう。不足額が過大であれば、お子様と進路変更を相談することになるかもしれません。

しかし、先々の返済のめどが付けられるなら、資金不足を借り入れ(奨学金や教育ローン等)で補うこともひとつの方法です。無理なく返済できる金額・期間の借り入れで不足額がまかなえるかどうか、早めに検討しておきましょう。

条件を満たせれば、大学独自の奨学金や学費免除(減額)制度があったり、自治体による利子補給制度があったり、進学を資金面で助けてくれる制度を利用できる場合もあります。進学希望の大学やお住まいの自治体のホームページ等を早めに確認しておかれるとよいでしょう。

【参考リンク】

担当:大林 香世 (執筆:2022年07月12日)