第883回

カードローンも事前のシミュレーションで返済内容を把握しよう!

新型コロナウイルス感染症の影響により、最近収入が安定しません。できるだけ切り詰めて暮らしていますが、生活費や子供の教育費が一時的に不足しそうな時があります。必要なお金はさほど大きくもないため、カードローンの活用を考えていますが、注意すべき点があれば教えて下さい。(30代 非正規社員 男性)
カードローンは、金利が高く返済負担が重くなる傾向があるため、活用をためらう方が多いでしょう。しかし、借入額や借入期間の工夫をした上で、あらかじめ返済プランをしっかりと立てて活用すれば、大きな負担なく資金不足に対応できる使い勝手がよい手段ですので、コツを押さえて上手に活用しましょう。

カードローンは金利が高く、返済負担が重い!

カードローンは、教育ローンやマイカーローンなどと違って借りたお金の使いみちが定められておらず、原則として自由に使うことができます。また、担保を差し出す必要もありません。そのため、高い金利が設定されています。金融機関や借入額などによって金利は異なりますが、一般的に借入額が少ないほど高くなります。借入額100万円未満の少額の場合、多くの金融機関は14%や18%など、10%超に設定しています。金利が高いと返済負担が重くなると考え、カードローンの活用をためらう方が多いのも頷けます。

「少額」・「短期間」の借り入れであれば、カードローンでも大きな負担にはならない!

お金が不足したときの対応策として、第一に考えたいのは、家計のやりくりで対処できないかどうかということです。その際には、予定していたものを中止することや、時期を繰り下げることなどもあわせて検討したいものです。お金を借りずにすむなら、それに越したことはありません。

第二には、目的別ローンの活用を検討することです。教育費や自動車購入費用など、用途が決まっている出費がある場合は、専用のローンを利用することで比較的低金利で借りることができます。

カードローンの活用を検討するケースは、用途を限定できないお金や緊急に必要なお金が自分の貯蓄では工面できない場合などです。なお、高金利のカードローンもコツを押さえれば大きな負担にはなりません。ポイントは、「少額」・「短期間」の借り入れにすること、また、事前にシュミュレーションをして、返済プランをしっかりと立てておくことです。

自分にとって無理のない返済額は、事前のシミュレーションで確認!

借り入れをした後、家計の中から無理なく返済できるかどうかは、事前に複数の借入額、返済期間を想定してシミュレーションをして確認してみるとよいでしょう。インターネットを使えば、簡単にシミュレーションをすることができます。

カードローンのシュミュレーション例
金利 借入額 返済期間 毎月返済額 利息額合計
15% 10万円 1ヶ月 101,250円 1,250円
6ヶ月 17,403円 4,418円
12ヶ月 9,026円 8,312円
30万円 1ヶ月 303,750円 3,750円
6ヶ月 52,210円 13,260円
12ヶ月 27,077円 24,924円
50万円 1ヶ月 506,250円 6,250円
6ヶ月 87,017円 22,102円
12ヶ月 45,129円 41,548円
100万円 1ヶ月 1,012,500円 12,500円
6ヶ月 174,034円 44,204円
12ヶ月 90,258円 83,096円

(返済方式:元利均等返済方式、ボーナス返済なしで計算)

上記の例を見てもわかる通り、借入額が少額であるほど、支払う利息額合計は少なくなり負担が軽くなります。同様に、返済期間が短いほど利息額合計は少なくなります。ただ、返済期間を短くすると、返済は早く終わりますが、毎月返済額が多くなります。

このようなシミュレーションを、条件を変えて複数行いながら、自分の家計にとって無理のない毎月返済額になるように、借入額と返済期間を決めてはいかがでしょうか。

なお、金融機関によって金利や審査期間などが異なるため、できるだけ有利な金融機関を選択することも大切です。

【参考リンク】

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2020年07月15日