第876回

もし新型コロナウイルスに感染したら、医療費はどうなる?

新型コロナウイルス感染対策のための緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ感染リスクが心配です。 もし、感染して病院にかかった場合、医療費負担はどうなるのでしょうか。(埼玉県 Kさん)
新型コロナウイルスに感染した場合にかかる医療費は公費負担となるため、基本的にはかかりません。
大林 香世
大林 香世

新型コロナウイルスに感染した場合の医療費は公費負担

6月初め現在、緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルスの感染者が再び増加している地方もあり、いまだ感染リスクが心配される状況は続いています。 万一、自分や家族が感染した場合の医療費負担を確認しておきましょう。

新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判断するPCR検査ですが、これは3月6日からは健康保険の適用範囲となり、健康保険の自己負担分(6歳~70歳未満の場合は3割)も公費扱いとなるので費用負担は基本的に発生しません。 ただし、公費の対象には、初診料・再診料などは含まれないので、検査以外の診療費については自己負担が発生します。

検査結果が陽性で、指定の医療機関に入院して治療する場合には、入院費や検査費、投薬料等は全額公費負担となります(高額所得者の場合は一部自己負担がある場合があります)。

会社員が療養のため働けない場合は、「傷病手当金」が利用できる

入院・治療のため働けなく、収入が得られない場合も心配ですね。

新型コロナウイルス感染症を理由とする場合に限りませんが、療養のために働けず、収入が得られない場合、健康保険に加入している会社員の方であれば、健康保険制度の「傷病手当金」が利用できます。

傷病手当金は、健康保険等の被保険者が、業務災害以外の理由による病気やけがの療養のために仕事を休んだ場合に所得補償を行う制度で、
  [1] 業務災害以外の病気やケガの療養のために働くことができず、
  [2] 4日以上仕事を休んでいる場合
が支給条件となります。1日あたりの支給額は、それまでの報酬額の平均額の3分の2に相当する額※で、支給期間は最長1年6か月です。

※傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近12月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額

国民健康保険には一般に傷病手当金の制度がありませんが、市区町村によっては、新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対して傷病手当金を支給する場合があります。 お住まいの市区町村の窓口に確認しておかれるとよいでしょう。

加入中の生命保険も確認を

多くのご家庭で、入院に備える医療保険や万一の死亡に備える生命保険に加入されているかと思いますが、新型コロナウイルス感染の場合も、その他の病気と同様に保障対象となります。 療養中の収入減をカバーするためにも、入院何日目からいくら給付されるのかなど、保障内容を確認しておきましょう。 また、新型コロナウイルス感染への特別対応として、保険会社によっては、軽症のため宿泊施設や自宅での療養となった場合にも入院給付金が支給されたり、通常の病気死亡では支給されない災害割増特約の支給対象としたりしている場合もあるので、加入中の保険会社のHPなどで確認しておきましょう。

また、生命保険契約がある場合は、解約返戻金をもとに貸付を受けられる契約者貸付を利用できます(保険種類や契約内容によっては利用できない場合もあります)。 契約者貸付の利用には通常利息がかかりますが、新型コロナウイルス対応として期間限定ですが無利息で利用できる保険会社もあります。 保障内容と合わせて、加入中の保険会社の対応を確認しておきましょう。

家計の一時的なピンチを乗り切る方法を考えておこう

新型コロナウイルス感染に伴う収入減や家計のピンチに備えて、借り入れで乗り切る方法もあらかじめ考えておいたほうがよいでしょう。 連日ニュース等で報道されているように、公的な融資や給付制度も設けられていますが、お金を手にするまでに時間がかかる場合も多いようです。 先にご紹介した保険会社の契約者貸付を確認しておいたり、ご自分にとって使いやすいカードローン(資金使途が自由で融資限度額内であれば繰り返し利用できるローン)やフリーローン(資金使途が自由な証書貸付方式のローン)をピックアップしたりしておけば、急な資金不足に対応しやすいでしょう。

感染リスクはできる限り抑えたいところですが、ゼロにすることはできません。 感染した場合に、自分や家族がお金の面でもあわてることのないように準備しておきたいですね。

【参考リンク】

担当:大林 香世 (執筆:2020年06月02日)