第826回

不動産の評価はどのように決まる?不動産評価を確認しよう!

高齢の親の介護が必要になってきましたので有料老人ホームへの入居を考えています。入居一時金が高いため、父親の一戸建て住宅を担保にした不動産担保ローンを検討しています。どのくらいの金額が借りられるか、目安はありますか。(Yさん 神奈川県 59歳)
不動産の評価方法にはいくつか種類があり、金融機関によってどのような評価をしているかが異なり、借りられる金額も違います。複数の金融機関で見積もりを取って比較検討すると良いでしょう。

代表的な土地の評価方法は4種類

自宅を担保にお金を借りることができる「不動産担保ローン」は、担保となる不動産の担保評価額が借入金に大きく影響します。 まずは、土地の評価額を確認しましょう。

土地の評価額の主なものとしては、「公示価格」「路線価」「固定資産税評価額」「時価」の4つがあり「一物四価」などといわれますが、これらはそれぞれ異なる基準で評価されます。

公示価格は1969年に制定された地価公示法に基づき、毎年1月1日時点の1平方メートルあたりの価値を国土交通省が判定し、3月に発表しているものです。 地価の公示は一般の土地の取引価格に指標を与えるとともに、適正な地価の形成に寄与することを目的として行われています。 公示価格は選ばれた地点のみが評価対象です。近隣の評価額を国土交通省のwebサイト「土地総合情報システム」の地下公示都道府県地価調査を調べることにより、大まかな評価額を知ることができます。

路線価は相続税評価額ともいわれ、相続税や贈与税を支払う場合の課税基準となる価額です。 路線価は主に市街地の宅地が評価対象になっており、道路に面した1平方メートルあたりの価格が千円単位で示されています。 相続や贈与が発生した場合にどのくらいの評価額か知りたい場合には、国税庁のサイトで調べることができます。 基準日は1月1日で、発表は毎年7月頃です。路線価は公示価格の8割程度が目安となっています。

固定資産税評価額は3年に一度、市町村(東京23区の場合は都)が発表するもので固定資産税の他、都市計画税や不動産取得税、登録免許税の課税標準額となります。 固定資産税評価額は、公示価格の7割程度となります。

時価は実際の不動産売買に使われる価格です。 年に1度しか公表されない公示価格と異なり、景気や周辺環境により大きく変動することもあります。 インターネット等で近隣の不動産売買情報を参考にしたり、公示価格と同じく国土交通省のwebサイト「土地総合情報システム」の不動産取引価格情報により実際に行われた不動産取引価格を検索したりすると良いでしょう。

不動産担保ローンの担保評価はどうなっている?

不動産担保ローンを利用する場合は、担保となる物件の担保評価額がどのくらいになるかが借入額の目安になります。 金融機関により評価の方法は異なりますが、公的な土地の評価額をもとに、個々の土地の形状や権利関係、流通性などを考慮して評価されることになるでしょう。

一般的には路線価を基準にした評価を行う金融機関が多いようです。 建物については耐用年数を考慮し、同様の建物を建て直す場合(再調達)の費用などから算出されます。

不動産担保ローンは、一般的にカードローンなどの無担保ローンよりも低金利な場合が多く、比較的大きな金額を借り入れることができるのが魅力です。但し、担保となる不動産の価値を評価するのに時間や手間がかかり、融資の際には登記も必要です。申し込みの際は期間に余裕をもち、登記費用も考慮しておきましょう。

また返済時の年齢に上限があり、お父様名義の借り入れだと契約が難しい場合は、親族でも借り入れが可能な不動産担保ローンで、お子様のYさんが契約者となって借り入れることを検討しましょう。

不動産担保ローンは、金融機関によって不動産の評価基準が異なるため、複数の金融機関で金利や融資条件などを比較して、期間に余裕をもって有利な条件で利用できるものを選ぶと良いでしょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2019年06月10日