第673回

「おまとめローン」での追加借入は可能?

妻が長期入院し、看病のために休職後に転職して収入減になり、銀行やカード会社など複数でお金を借りています。おまとめローンで1本化したいと思いますが、家計の状況は変わらず、まだ借り入れが増える可能性もあります。何か良い方法はあるでしょうか?(Sさん会社員37歳)
おまとめローンを利用する場合は、追加融資可能な商品を選ぶといいでしょう。低金利のカードローンやフリーローンで1本化する場合は、限度額にゆとりをもたせるようにしましょう。

おまとめローンは原則追加融資ができない

Sさんのように複数の借り入れがあると、返済などの管理も大変になっていることでしょう。おまとめローンは複数の借り入れを1本にまとめますので、管理もしやすくなります。また、それまでの借り入れよりも低い金利でおまとめができれば、毎月の返済額や総返済額を抑えられる場合もあります。

ただし、おまとめローンを機に家計を立て直す方向へ向かえば問題はないのですが、そうでない場合もあります。おまとめローンの利用者は多重債務者であることも多く、おまとめをした後も借り入れが増えてしまうことがあるのです。Sさんも、すぐに現在の家計の状況が改善できる予定がなく、おまとめローン利用後も借入額が増える可能性があることを心配しています。

一般的におまとめローンは、元々借りていた債務の総額以上を借りることはできません。たとえば、A銀行でフリーローン、B銀行でカードローン、Cカード会社でキャッシングと3社から合計250万円(うち利息合計20万円の場合)借りていたとして、おまとめローンを利用すると総融資額は250万円です。

追加融資可能なおまとめローンも!

しかし、Sさんのように、追加融資のニーズがある人もいます。おまとめローンを組んだ後で「生活費が足りない」という状態に陥る可能性がある人はどうしたらいいのでしょう。

こうしたケースでは2つの方法が考えられます。まずひとつ目がおまとめローンの中でも追加融資が可能な銀行のおまとめローン商品を利用することです。例えば、東京スター銀行の「のりかえローン」。 審査により設定される利用限度額がおまとめするローンの残高を上回る場合は、ローン残高と利用限度額の差額の範囲内であれば、何度でも借りることができます。ただし、5年以内に延滞などを起こしていると、利用できない可能性が高くなります。

銀行以外のカード会社や消費者金融などノンバンクからお金を借りる際には、過剰貸付を避けるため貸金業法の「総量規制」というルールがあり、原則年収の3分の1以上の借り入れはできないことになっています。 ただ、おまとめローンは「段階的に債務を減らすための借り換え」であることから、顧客に一方的有利な借り換えとして総量規制の例外になる場合があります。おまとめローン利用後の追加融資の部分は総量規制の対象となりますので、その点にも注意しましょう。

低金利のフリーローンなどでの借り換えも

ふたつ目がおまとめローン以外の方法で金利が低いカードローンやフリーローンで借り換えをする方法です。この場合、利用限度額にゆとりをもたせて借り入れることが大事です。

ただし、あくまでも総量規制を下回る借入額でなくては利用できません。総量規制で引っかかる場合は、そもそも借り換えも難しいでしょう。また、5年以内に延滞などを起こしていると、利用できない可能性もあります。

最後に、奥様のご病気はお気の毒ですが、今の家計の状態が長引く可能性があるほど、家計は正常化させていく必要があります。おまとめローンなどで1本化したこの機会に、家計を見直すなど多重債務状態から抜け出す努力もしましょう。

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私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2016年05月09日