第654回

2016年のお金事情!マイナンバー・税制改革などのチェックポイントは?

来年はマイナンバーの本格施行や再来年は消費税の増税などこの先私たちの暮らしが大きく変わるのでは?と思っています。これからの暮らしについて気を付けておくべきポイントや知っておいた方が良いお金の情報があったら教えてください。(Tさん 会社員 38歳)
株や債券、投資信託などの投資を行っている方は、2016年は税制の変更やマイナンバー制度の導入など、気を付けておいた方が良いことがいくつかあります。子育てや介護を支え合うための3世代同居を促進する住宅ローンの減税制度も始まりますので、チェックしておきましょう。

投資をしている人は確認!公社債等の税制が大きく変わる

少子高齢化が進行する日本社会では、個人が保有する金融資産の活用が求められる時代となりました。しかし、いざ投資しようとした場合、金融商品によって税制が異なり、わかりにくいという問題が指摘されていました。このため、2016年から「金融所得課税の一体化」として、株式、投資信託、債券の税制が申告分離課税に統一されることになりました。

これまで公社債・公社債投資信託等についての譲渡益は非課税、利子や分配金は源泉分離課税、償還差益は総合課税でしたが、統一後は株式等と同様の申告分離課税となります。これにより、公社債等が特定口座の対象となる他、上場株式等との損益通算ができるようになり、損失が出た場合の3年間の繰越控除も可能となります。一概には言えませんが、外貨建てMMF等で大きく含み益がある場合は2015年のうちに売却した方が非課税メリットを受けられますし、逆に損失が出ていれば2016年まで保有していた方が良いと考えられます。

2016年最注目?マイナンバー導入で気を付けたいこと

私たちが証券会社で株や投資信託の取引を行う際、「一般口座」と「特定口座」を選べます。「特定口座」を利用すると、証券会社が損益を取りまとめて、年間取引報告書を作成してくれるのがメリットです。さらに「源泉徴収あり」の方式を選ぶと、納税まで行ってくれるので確定申告が不要になります。このように証券会社での取引が納税に関わってくるため、マイナンバー制度が導入される2016年1月1日以降は、新規で口座開設する場合はもちろん、すでに口座を持っている人も証券会社にマイナンバーを通知する必要が出てきます。

また、「一般口座」で取引した場合は自分で年間の損益を計算し、20万円以上の利益がでていれば確定申告の必要があります。これまでは見逃されていた申告忘れなども、マイナンバー制度導入に伴い申告漏れを指摘される可能性が高くなるため、今後は注意が必要となります。

また、サラリーマンが副業をしていて、経費を差し引いた所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要となりますが、こちらもマイナンバー制度導入に伴い税務署が個人の所得を把握しやすくなると言われています。確定申告が必要なのに行っていない場合は、「無申告加算税」を課されることになりますので、必要に応じて確定申告をするのを忘れないようにしましょう。

損しないために確認!2016年のお金のトピックスは?

2016年も貯蓄から投資への流れを促進するための制度が導入されます。これまで100万円だったNISAの限度額が120万円に広がる他、80万円が限度額のジュニアNISAも新設されます。

住宅関連では、子育てや介護を支え合う政策として、これまでも3世代同居を支援するための助成が行われてきましたが、2016年以降さらに手厚い支援が始まります。具体的には、2016年4月1日から2019年6月30日までの間に3世代が同居するためのキッチン、浴室等を増設する一定のリフォームを行った場合、費用の10%を所得税額から控除するというものです。工事費用が50万円以上の場合で250万円が限度額です。ローンを組んでリフォームした場合は、5年間に渡って年末のローン残高の2%を所得税から差し引けます。但し、前出の10%控除との併用はできません。該当するリフォームを検討している方は2016年4月以降に行った方が良いでしょう。

このように、2016年はマイナンバー制度の導入でお金をとりまく制度が大きく変わる年だと言えます。常に新しい情報をチェックして、自己防衛、金融資産の活用を行っていきましょう。

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私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2015年12月21日