第616回

ローンの返済が苦しい!ローン見直しの手順はどうしたらいいの?

手持ち資金が足りないときなどにカードローンを利用して気軽に補てんしていました。利用しやすかったこともあり、気がつけば複数のローンを抱えることに。最近では返済が苦しく、ローンの見直しをしたいのですが、何から手をつけていいのかわかりません。(Nさん 29歳 会社員)
まずは冷静に、ゆっくり考えられるように、月々の返済額を減らし、家計に無理のない支出に抑えることからスタート。その方法のひとつが“おまとめローン”での借り換えです。ローンの全容が把握できたら、総返済額の負担が重くなりすぎないよう、繰上げ返済など戦略を練って返していきましょう。

まずは冷静に物事を判断できる環境を作る

FPとして家計相談を受ける中で、いくつものローンを抱えている人が、何に困っているのかを目の当たりにしてきました。「借りては返す」という状況を繰り返していることで、「いくら借りて、いくら返して、あといくら返さなければいけないのか」を把握できていないことが多いようです。

例えば、「A社のローンを2万円返済し、また1万円借りて、そのお金でB社のローンを返す」といったことの繰り返しでやりくりしている人もいます。結果的には返済額はほぼ減らず、ほかにシフトしているだけ、といった状況なのですが、日々そういったやりとりに追われていると、冷静に状況を判断することができなくなるのです。

そこで、こういった状況のときにまず必要なことは、「冷静に物事を判断できる環境を作る」ということです。どうやっても返済ができないときには、債務整理という手続きを使って返済をストップさせる方法もありますが、返済ができないかどうかすら判断できないときには、日々バラバラと返済期日が来る複数のローンを一本化することからスタートしてみる方法があります。

その方法のひとつが“おまとめローン”の利用です。複数のローンを一本化することで、返済期日が1回になるので、あっちからこっちへ返済のやりくりをするといった忙しない生活から脱却する第一歩になります。

<“おまとめローン”について、詳しくはこちらを参考にしてください>

“おまとめローン”を利用できるときには、最初はなるべく返済期間を長くして、月々の返済額を少なくすることをおすすめします。通常、返済期間が長くなると利息がかさみ、総返済額の負担が重くなる可能性があります。しかし、優先すべきは「冷静に判断できる環境を作る」ことですから、目先の月々の返済額の負担を減らし、まずはゆっくり考えられる時間を確保することが重要なのです。

適正なローンに見直すのは、次のステップで考えていきますので、まずは目先の負担を軽減することを目的として“おまとめローン”を利用するために、おまとめローンの個別商品を調べて比較してみるなどの行動をとってみてください。比較した後にそのままサイト上から申込みもできますので、まずは動き出すことです。

家計を立て直して過剰な返済負担を徐々に減らす

第一ステップで返済期日を一本化し、冷静に考えられる時間が確保できたら、次に総返済額の負担を軽減できるように準備をしていきましょう。

そのために必要なことは、家計を把握することです。1カ月平均でどれくらいの支出が必要なのか、家計簿を付けるなどして調べてみましょう。

例えば、支出の項目は

・固定費:住居費や保険料、水道光熱費や通信費など毎月必ずかかる支出であまり変動しない項目

・変動費:食費や消耗品など節約して支出をコントロールできる項目

・確定費:趣味や書籍購入といった自己啓発など生活を豊かにするために減らしたくない項目

といったように、3~5項目と少ない項目で家計を管理し、把握してみてください。

家計簿付けが得意で活用できる人であれば、もっと詳細な項目に分けて管理しても良いですが、不得意な人の場合は、挫折する原因になってしまいますので、なるべく簡単に続けられる方法でやってみることがポイントです。

家計の収支を把握して貯蓄できる余裕があれば、その一部を返済に充てる(=繰上げ返済)などして、総返済額を圧縮していきましょう。確実に上乗せして毎月の返済が可能であれば、返済期間を短縮することで月々の返済額を増やすことになり、結果的に総返済額を圧縮することができます。

上乗せして返済できる金額が、ある程度確定できるなら返済期間の短縮を、変動するようであれば返済できるときに繰上げ返済をする、という方法のどちらかで返済の負担を減らしていってください。

第三者の協力を得て家計の再生を目指す方法もあり!

このように第一ステップとして、複数のローンを一本化し冷静な判断ができる環境を確保する。第二ステップとして、返済負担が軽減できるように家計の把握とローン返済の見直しをする、という方法を説明しました。

しかし、それでもローンの返済が苦しいという場合には、第三者の協力を得て家計の再生を目指していくことを考えてください。

家計の見直しには、収入を増やすか、支出を減らすか、この2つの方法しかありません。しかし、どちらも簡単に思い通りにコントロールできるものでもないので、一人では途中で挫折してしまい継続することが難しい方法でもあります。

そこで、一人で頑張るのではなく、ぜひ第三者の協力を得てはいかがでしょうか? 身近で無料で支援を受けられるのが行政の相談窓口です。「消費生活相談窓口」や「生活困窮者支援窓口」など、名称は行政ごとに異なりますが、困った時に相談に載ってくれる窓口があります。

対応してくれる内容も行政ごとに異なりますが、収入を増やすべく相談に載ってくれる就労支援、家計を見直すポイントを一緒に考えたり、借金の負担を軽減する方法などをアドバイスしてくれる家計支援、住まいを失うといったときの住居支援など、さまざまな支援制度があります。

行政に足を運ぶ機会のなかった人にとってはハードルが高いかもしれませんが、2015年4月から新しい支援制度(生活困窮者自立支援)も始まり、これまでよりも相談しやすい体制ができています。そのため、あまり心配せずにまずは相談に出向いてみてください。

ローンなど借金に関する解決策は色々あります。まずは自分でやってみることは大切ですが、一人では難しいときには、早めに専門家の相談を受けることで、これ以上苦しい状況にならないようにしてくださいね。

私が書きました

中森 順子 (なかもり じゅんこ)

ファイナンシャル・プランナー。

プログラマー・SEを経験後、結婚を機に税理士事務所へ転職。企業の税務・社会保障・融資のサポートなど幅広く経験。個人のお金に関する相談が増えたことから、FP資格を取得。10年勤務後、個人の家計サポートに集中すべく、2003年に独立。住宅購入や資産運用、保険見直しなど、自分自身の経験も交え、執筆・セミナー・相談と幅広く活動中。家計診断は500件以上の実績あり。

※執筆日:2015年04月03日