第505回

カードローンでお金を借りても良い場合はどんなとき?

今年の5月に結婚をする予定です。結婚式や新婚旅行、新生活の準備に、資金が30万円くらい不足しそうなので、一時的にローンを借りようと思っています。どんなローンを選択したらいいでしょうか?なお、借りたお金は夏のボーナスで一括返済する予定です。(大阪市 32歳)
目的がはっきりしているのでブライダルローンを借りてもいいですが、金額が小さく2~3ヶ月後には返済できるということなので、手軽に利用できるカードローンを使ってもいいかもしれません。ブライダルローンなどの目的別ローンは、金利が低い代わりに資金使途を証明する書類の提出を求められるなど、手続きに時間がかかる場合が多いです。その点カードローンは手続きが簡単。短期の少額ローンに向いています。

「目的別ローン」と「カードローン」の主な違い

ブライダルローンに限らず、教育ローン、マイカーローン、リフォームローンなど資金使途が明確なローンを目的別ローンといいます。旅行費用や医療・治療費などの使途でも融資を受けることができますが、いずれも、お金の使いみちを明確にして借り入れをする必要があります。お金が必要になったときにその都度契約を結び、申し込む際には所定の書類の提出が求められます。

一方、カードローンは、利用限度額の範囲内で、ATMやインターネットを使って自由に借り入れ・返済ができます。

【参考】「目的別ローン」と「カードローン」の主な違い
  目的別ローン カードローン
使途 使いみちが決まっている 使いみちは自由
借入金額 お金が必要になったときに、その都度金額を決めて契約を行う カードの利用限度額の範囲内で何度でも手軽に借りることができる
活用場面 特定の用途でまとまったお金が必要になったとき 一時的に少額のお金が必要になったとき
具体例 子供の教育資金・自動車購入費用・リフォーム資金・結婚資金など ショッピング・レジャー・引越し費用などさまざま
必要書類 本人確認書類・収入を証明できる書類・使途を証明できる書類・その他、ローンに応じて追加で必要になる書類 本人確認書類・収入を証明できる書類(他社借入状況や利用枠によって、不要な場合もある)
金利 カードローンより低め 目的別ローンより高め
最短返済期間 6ヶ月、1年などとしている金融機関が多い なし
審査 数日かかる場合が多い 即日
繰上返済手数料 かかる場合がある かからない

※筆者作成

借りるお金の使いみちが決まっている場合は目的別ローンを組むのが一般的。なぜなら、比較的低金利であること、また、ボーナス返済を併用してゆとりを持った返済プランを立てることができるからです。ただ、目的別ローンは、返済期間を「6ヶ月以上」や「1年以上」などとしている金融機関が多いようです。また、繰上返済をする際に手数料を求められる場合もあります。

借りるお金が少額で、ほんの数ヶ月程度の短期間で確実に完済できる「つなぎ資金」という位置づけの借り入れであれば、カードローンを活用する方が手軽でメリットがあるかもしれません。また、目的別ローンは毎月少しずつでも返済をしていく必要があるので負担感がありますが、カードローンは、お金が入ったときにまとめて返済することができます。

金利が高くても、「少額」・「短期」であれば恐くない

カードローンは、目的別ローンと比較すると金利が高く設定されています。しかし、借りる金額が小さく、なおかつ短期間で返済するのであれば、決して恐くはありません。

なぜなら、「少額」・「短期」の借り入れだと、支払う利息負担額はさほど大きくならないからです。

【参考】目的別ローンとカードローンの利息負担額シミュレーション
ローン種類 借入額 金利 返済方式 利息+手数料総額
目的別ローン 300,000円 4.0% 元利均等返済方式 10,017円
カードローン 16.0% 2ヶ月後一括返済 8,000円

<条件>
・目的別ローン:返済期間1年
 ただし6ヶ月後に全部繰上返済を実施(手数料:5,250円)
・カードローン:返済期間2ヶ月

※筆者作成

上記のように30万円を借りた場合、金利の差は、目的別ローンよりカードローンの方が大きいのですが、返済期間に支払う利息や手数料の合計額の差はカードローンの方が約2,000円少なくなっています。ということで、今回の場合は、カードローンを借りた方が利息の負担が少ないという結果になります。

ローンを借りるときは、できるだけ利息や手数料を抑える選択をするのが定石ですから、「金利の低いローン」を選択しがちです。しかし、実際には、繰上返済手数料なども考慮したシミュレーションでリアルな数値を比較し、さらには手続きの手間や制約なども天秤にかけて、「どのローンを選ぶべきか?」を判断するようにしましょう。

カードローンの手軽さにはくれぐれも注意!

とはいえ、カードローンは、その手軽さゆえに、お金が不足気味になると安易な借り入れをしてしまいかねません。返済のメドのない安易な借り入れは、家計の破綻を招く危険性があります。カードローンは、お金についてもしっかり自己管理できる上級者でないと、使いこなせないのではないでしょうか。

【参考リンク】

借りる前に以下の項目を確認し、1つでもチェックのつかない項目があるようなら、今一度熟慮してほしいと思います。

【参考】「カードローン」を借りる前のチェックリスト

  • □今、カードローンを借りていない
  • □借りる金額の用途がはっきりしている
  • □どうしても必要なお金である
  • □使いみちは生活費ではない
  • □返済は半年以内に必ずできる
  • □返済するお金のメドが借りる前にできている

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2013年02月01日