第355回

地方銀行の住宅ローン、商品性はどうですか?

住宅購入を予定しています。住宅ローンは、都銀やネットバンクが便利そうだと思っていましたが、友人に「親切に相談にのってくれたよ」と地銀を紹介されました。地銀で住宅ローンを借りるメリットやデメリットを教えてください。(神奈川県 K)
相談しやすいのが地銀の魅力。商品性の改善も進められています。

住宅ローン選びは、金利の高低だけでなく、手数料やサービス、プランの見直しやすさなどさまざまなチェックポイントがあって難しいものですね。

地方銀行の住宅ローンは、原則として営業拠点のある地域に対象物件がある場合に融資を受けることができるローンです。インターネットで仮審査を申し込んだ後は、休日などを利用して来店、資金計画などをじっくり相談しながら、融資に関する手続きを進めて行きます。大きな金額のローンですので、担当者にきちんとフォローしてもらい、不安や心配を取り除きたいという方にとっては、「親しみやすさ」や「相談のしやすさ」はメリットですね。最近では、「親しみやすさ」だけでなく、住宅ローン商品の開発やインターネットを活用した利便性の向上にも力を入れていて、魅力あるローン商品も増えてきているようです。地方銀行の住宅ローンの特徴をみてみましょう。

資金計画からもしもの時まで、じっくり相談できるのが地銀の魅力

専任の担当者が対面で相談に乗ってくれるので、利用者の状況に応じたきめ細かな対応が可能で、金利やスケジュール面、サービス面などで優遇が受けられる場合もあるようです。また、万一、返済中に収入減やリストラ等で返済が難しくなった場合にも「相談しやすい」ことは大きなメリットとなるでしょう。もしものときには、早めに返済計画の見直し(毎月の返済額減や支払い猶予、返済期間の延長等)を相談してみましょう。ローン返済の相談に関する専用窓口や専用電話を設けている地方銀行も増えてきているので、より相談しやすくなっているといえます。

地銀の住宅ローンの商品ラインナップが豊かに、個性的に

「保証料ゼロ」「疾病保障付」「失業補償付」といった、ネットバンクや都銀が先鞭をつけた特徴ある住宅ローンは、地方銀行の商品ラインナップの中にも加わっています。

たとえば 群馬銀行の住宅ローン は保険料不要で失業信用費用保険付き。条件を満たせば、1回あたり元金50万円以上の一部繰上返済手数料も無料です。群馬県はもちろん、埼玉県、栃木県に対象物件がある場合は、全県申込可能。東京都、大阪府、神奈川県、長野県、茨城県の場合は一部地域で申込が可能です。住宅ローンシミュレーション も使いやすく設計されていますので、一度試してみると良いかもしれませんね。

東京都民銀行の 3大疾病&5住宅ローン は、3大疾病と5つの重度慢性疾患で所定の支払事由に該当したら、住宅ローン残高が0円になります。さらに、脳卒中、急性心筋梗塞、5つの重度慢性疾患で就業不能の場合、ご返済サポートも用意されており、その保険料は銀行負担とされています。東京都内を中心に、埼玉県、千葉県、神奈川県に物件の購入を検討されている方はぜひ一度チェックしてみましょう。

関西アーバン銀行の 預金連動型住宅ローン「金利キャシュバックサービス付き」 は、本人や親族が預金をすると、預金残高に応じて住宅ローン金利が最大年0.5%水準まで下がります。手元に残しておく預金を活用して、ローンの支払利息を減らすという考え方は、低金利時代の資産運用としてはとても合理的な選択だと思います。親が子どもの住宅購入を応援したいとき、資金の贈与というカタチをとらなくても、応援できる仕組みです。大阪府、京都府、奈良県、兵庫県、和歌山県、滋賀県、三重県、愛知県、岐阜県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県で申込が可能です。

また、2008年5月1日、地方銀行55行は住宅ローン商品の開発を目指す「地銀ローン共同研究会」を設立し、ローン商品の開発やプロモーションの実施、業務効率化に向けた研究を行っています。この研究会からは家事代行や育児サービスといった特典つきの「女性専用住宅ローン」やライフサポートサービス(ホテルやリゾート施設の優待や育児、介護、教育などが優待価格で利用できる等)の付加された住宅ローンが企画され、地銀各行の商品ラインナップに加わっており、地銀の住宅ローン商品のラインナップはいっそう豊かになっていきそうです。

ネット返済の可否や繰上返済手数料等は、要確認

このように、相談しやすく住宅ローンの商品内容も充実してきている地銀の住宅ローンですが、現状はネット上での手続きは不可、繰上返済手数料も数千円~数万円かかる場合もありますので、注意が必要です。返済の利便性という点では、ネットバンクや都銀に軍配が上がる場合もあるかもしれません。ただ、特にマメに繰上返済する予定はない、手続きは窓口でやったほうが安心、という方には、デメリットにはなりませんね。

各行、各商品によって違いはありますが、地方銀行の住宅ローンは、相談しやすく、商品ラインナップもさまざまそろっている一方で、ネット対応や繰上返済などの面での利便性の向上が今後の課題となりそうです。自分がどのような借り方、返し方をしたいのか、よく考えてから、利用する金融機関を絞っていけばよいのではないでしょうか。

イー・ローン では、「物件所在地」や「地方銀行」などの条件で住宅ローンに絞って検索することもできます。ローン選びの際は、はじめから間口をせばめず、ネットバンク・都銀・地銀・その他の金融機関を問わず、検索機能を駆使して、自分の利用できるローンの中から魅力的なローンを探してみてはいかがでしょうか。借りた後の返済に困ることがないよう、ローンシミュレーション を活用して、毎月の返済計画をイメージすることもお忘れなく。

私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2010年02月19日