第271回

我が家にあった住宅ローンを選ぶ「ワザ」

近々住宅購入の予定です。住宅ローンを選ぼうと思うのですが、たくさんありすぎて、よくわかりません。ローンを効率的に選ぶ方法を教えてください。(静岡県 N)
まず、住宅ローンの「必要条件」を考えて、次に検索機能を活用して、比較検討するとよいでしょう。

住宅ローンは、一度に数千万円も個人で借り入れることになるわけですから、その選択にはただでさえ迷うもの。 しかも最近は、多種多様な住宅ローン商品があり、「お、便利。お、お得!?」と思わせるサービス・機能を各社で競っていますから、なおさらですよね。
住宅ローンを選ぶ際には、自分にとって譲れない「必要条件」をまず考えて見ましょう。 「とにかく総支払額を抑えたい」「月々の返済額は少なくしたい」「頭金が少なくても借りられるローンがいい」「先々の繰上返済の手数料は安いほうがいい」 「忙しいので、来店せずに手続きしたい」等、ご家庭によって住宅ローンに求める条件は違ってくるはずです。

また、はじめにどの金利タイプにするかも考えておきましょう。住宅ローンは、通常、変動金利型や固定金利期間が短いローンのほうが金利が低く、 固定期間が長いほど金利が高くなります。当初の返済負担は、変動金利型などのほうが軽いのですが、今後金利が上昇していけば、返済額も高くなっていきます。 したがって、固定金利期間が長めのローンを選んだほうが、返済額が将来増えるリスクを避けることができ、無難な選択といえます。
(「フラット35」に代表される全期間固定のローンも一覧で確認することができます。

条件を洗い出したら、次に、イーローンの住宅ローンのサイトで、 条件を入力して検索し、ローンを比較検討してみましょう。イー・ローンのサイトでは、借入金額や借入期間、金利の種類、金融機関の種類、物件の所在地などの基本的な条件のほか、 頭金や保証料、手数料が不要なローン、ネット繰上返済可能なローン、女性向けのローンなど、ローンの特徴に応じて、さらに絞込みができます。

では、どんな条件の場合にどんな検索が可能なのか、見てみましょう。

総負担額を抑えたい場合

住宅ローンを借りる際には、通常、事務手数料や保証料、抵当権設定の登録免許税や収入印紙税、司法書士報酬などのコストがかかります。 したがって、総負担額を抑えたいなら、金利だけでなく、事務手数料や保証料などにも注目してローンを選ぶ必要があります。

そこで、まずは返済期間や金利タイプなどの基本的な条件にチェックを入れたあと、「保証料不要」にもチェックを入れてローンを絞り込みます。 すると、保証料不要のローンが実質金利の低い順にピックアップされます。

気になるローンがあったら、詳細な条件もチェックしましょう。 総負担額を減らしたければ、借入時の事務手数料や借入後の繰上返済、金利変更の際の手数料などもチェックしたいものです。 たとえば、「新築住宅購入、返済期間20年、固定金利選択型10年、保証料不要」を条件に絞り込むと、あおぞら銀行、ソニー銀行、新生銀行、 住信SBIネット銀行の商品が上位に並びますが、手数料や融資条件は以下の表のように異なります。 金利だけでなく、それぞれの商品を比較して、自分がどの条件を優先したいのか考えながら、ローンを選びましょう。

<各ローン商品の手数料など(商品詳細ページから一部の項目を抜粋)>
※金利等の表記は2008年6月26日現在のものです。
金融機関名
ローン商品名
金利(年率) 手数料 金利体系の
変更手数料
繰上返済手数料
ソニー銀行
住宅ローン
3.251% 42,000円
(消費税込み)
かかりません。 不要
契約の金利タイプ・繰上げ返済金額にかかわらず、繰り上げ返済手数料はかかりません。
新生銀行
新生銀行パワースマート住宅ローン バリュータイプ金利(10年固定金利)
3.500% バリュータイプ金利を選択された場合、実行時に当初借入金額の2%(消費税込み)をバリュータイプ選択手数料としてお支払いいただきます。 選択の都度5,000円(消費税込み)が必要となります。 無料。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行の住宅ローン
3.900% 新規お借入れの際に、ご融資金額に対して2.1%の事務取扱手数料(消費税込)がかかります。※別途、印紙代・登記費用等の実費が必要になります。 金利体系の変更手数料はかかりません。 一部繰上返済手数料無料。全額繰上返済で固定金利特約期間中の場合のみ31,500円(消費税込)
あおぞら銀行
あおぞら住宅ローン
2.650~
3.950%
融資事務取扱手数料52500円。 変更手数料は頂いておりません 一部繰上返済の場合3,150円(消費税込み)
全額繰上返済の場合 2年以内 ご返済額の2%
2年超5年以内105,000円(消費税込み)
ご融資期間5年超52,500円(消費税込み)
※上記以外の返済条件の変更を行う場合は、別途手数料が必要となります。

自己資金が少ない場合

検索条件の「頭金不要」にチェックを入れて、ローンをピックアップしましょう。 たとえば、「新築住宅購入、返済期間20年、固定金利期間10年、頭金不要」で絞り込むと、28件ものローン商品がピックアップされます。 最近はこのように自己資金がわずか、あるいはない場合でも、借りられるローン商品も増えてきています。

ただし、「頭金ゼロ」でローンを組めば、返済負担が非常に重くなります。 たとえば、3000万円の物件を購入する場合、諸経費などを1割と見込めば、3300万円の資金が必要になります。 シミュレーションしてみると、頭金ゼロの場合、1000万円の頭金がある場合に比べると、総負担額は約556万円も多くなります。

住宅購入は、頭金がたまる前に「コレ」という物件に当たる可能性もあり、頭金ゼロでも利用可能なローンは頼もしい存在です。 しかし、頭金が少ない場合は、ローンの返済が続けられるかどうか、より慎重な資金計画を立てることが大切です。

<頭金0円、500万円、1000万円で3000万円の物件を購入する場合>
物件価格:3000万円、諸経費300万円、
ローンの条件:30年返済、全期間固定、金利3.2%(手数料、税金は考慮していません)

  頭金0円
借入3300万円
頭金500万円
借入2800万円
頭金1000万円
借入2300万円
 :総返済額
51,377,064円
43,592,660円
35,808,256円
 :総返済額+頭金
51,377,064円
48,592,660円
45,808,256円

まだ若くて収入が少ないので、毎月の返済額を抑えたい場合

住宅ローンは、同じ金利であれば返済期間が長いほど、毎月の返済額は少なくなります。 たとえば、3000万円を金利3%で借入した場合、返済期間が20年なら返済額は166,379円/月、35年なら115,455円/月と、5万円ほども違ってきます。 借り入れる人が若ければ、長期間のローンを組むことで、毎月の返済負担額を抑えることができます。

多くの住宅ローンは最長35年の場合が多いのですが、検索の際に「返済期間」に「40年」といれて検索すると、 南都銀行の「ナントホームローン」が見つかります。

ただし、返済期間が長いほど利息負担も大きくなり、高齢になるまでローン返済が続くことになる場合もあるでしょう。 返済期間を延ばす場合は、シミュレーションした上で慎重に検討してください。

このように、検索機能をうまく活用すれば、自分の条件にあったローンを効率的にピックアップすることができます。 自分の条件に応じて、たとえば、「来店不要」「頭金ゼロ」「ネット繰上返済可能」など複数にチェックを入れてローンを絞り込んでみましょう。

また、ローンをピックアップでき、詳細な条件についても確認できたら、シミュレーションも忘れずに実施しましょう。 イー・ローンには住宅ローンシミュレーションのコーナーもあるので、 毎月の返済額、年間返済額、総返済額なども確認し、資金計画に無理が無いか、検討しましょう。

多くの人にとって、住宅ローンは、人生でもっとも大きな借金ですので、効率的に、慎重に選んで、不安のない充実した人生のために役立てていきましょう。

私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2008年06月25日