第1139回NEW

金利上昇に備えて変動金利型の住宅ローンを見直したい!選択肢は?

金利が上昇してきました。住宅ローンを変動金利型で借り入れしているのですが、実際に毎月の返済額が増え、今後が心配になってきました。今のうちに何か手立てを講じておいた方がよいでしょうか。(会社員、40歳)
金利タイプを固定金利に変えることで、将来の金利上昇の不安は払拭されるでしょう。他の金融機関の固定金利に借り換える方法のほか、現在の金融機関で固定金利に変更する方法もあります。金利上昇の不安を完全には払拭できませんが、繰上返済したり、より金利が低い変動金利型に借り換えることも一定の効果はあります。
自宅でPCを見ながら考える男性

多くの金融機関では、変動金利型住宅ローンの金利を、年2回(毎年4月と10月など)見直します。4月に金利が見直された場合には、7月から返済額に反映されるというように、実際の返済額が増えるのは数ヶ月先です。実際に返済額が上がったことで金利の上昇を実感し、今後の動きに不安を感じ始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

※金利見直し、返済額への反映のタイミングはご自身が借り入れしている金融機関でご確認ください。

変動金利型で住宅ローンを借入れしている場合、今後の金利上昇に対しては、どんな対策を講じることができるでしょうか。選択肢を確認してみましょう。

1.固定金利型に変えて将来の返済額を確定させる

金利タイプを固定金利型(固定期間選択型、全期間固定金利型)に変えることで、今後の金利上昇に伴う返済額アップの不安は解消されます。固定金利型に変える方法は2つあります。

・他の金融機関に借り換える

現在の金融機関とは別の金融機関の固定金利型の住宅ローンに借り換える方法です。

この方法のメリットは、多くの金融機関の中から、より低金利のものを選んだり、保障が手厚い団体信用生命保険付きのものに変えたりなど、幅広い商品の中から選べる点です。

デメリットは、改めて審査が必要になるため、希望どおりに借り換えができない可能性もある点です。また抵当権を設定し直すための登記費用がかかること、その他事務手数料などの諸費用が発生することが挙げられます。

・現在借り入れしている金融機関で金利タイプの変更をする

変動金利型の場合、一般的には希望するタイミングで金利タイプを切り替えることができます。

メリットは新たな審査は不要、変更手数料も高額ではなく(ネットで手続きすれば変更手数料無料の場合もあります)、登記のし直しも必要ないので、借り換えに比べると手続きは簡単で費用もあまりかかりません。

デメリットは、その金融機関のラインナップの中からの選択に限られるという点です。固定期間選択型で設定されている期間から選ぶので、希望する固定期間が無い場合もあるでしょう。また変動金利型からの金利タイプの変更は、通常固定期間選択型に限られ、全期間固定金利型には変更できません。なお、例えば、残りの返済期間が20年で、選べる固定期間の中に「20年固定」があれば、結果的に残りの期間は全期間固定金利になることはあります。

いずれの方法でも、固定金利型の金利は、変動金利型よりも高めに設定されているため、毎月の返済額が増えることには注意してください。

2.より金利が低い変動金利型に借り換えて支払い利息の軽減を図る

金利タイプは変動金利型のままでも、今よりも適用金利が低い住宅ローンに借り換えることで、返済額を減らすことができます。

メリットは、返済額が減るので、今後の金利上昇リスクに対して少し猶予が生まれるという点です。金利が上昇しても返済額が減った分を貯蓄に回し繰上返済をすることができれば、より効果はあるでしょう。

デメリットは、借り換えは前述の通り費用や手数料がかかるため、金利差や残高によっては効果がない場合もありまた、変動金利型への借り換えであるため、金利上昇に対する不安感は拭えないという点です。

3. 繰上返済する

繰上返済をすることで、支払う利息の総額の軽減を図ることができます。

メリットは、繰上返済することで、金利が上昇して返済総額が増えてしまうリスクを軽減できることです。返済額軽減型で繰上返済すれば、金利上昇した場合の毎回の返済額の増加を抑えることができます。

デメリットは、手元の資金が減ることです。緊急予備資金や、教育費など近い将来に使うことが決まっている分については、手元に残しておくことが重要です。

固定金利への借り換えや、金利タイプの変更ができれば、今後の金利上昇の不安はなくなります。ただし、一般的に固定金利選択型や全期間固定金利型の金利は、変動金利型に比べると高めに設定されています。金利が高くなっても返済を続けられるのか、長期的な視点で十分な検討が必要です。

まずは、現在ご利用の金融機関に相談し、金利タイプの変更が可能か、またその場合の条件などを確認してみることをお勧めします。その上で、他の金融機関への借り換えも視野に入れ、複数の選択肢を比較検討することが大切です。

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私が書きました

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高田 晶子 (たかだ あきこ)

ファイナンシャル・プランナー。金融デザイン株式会社 取締役。

大学卒業後、信託銀行に就職。その後イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年FPとして独立。2010年より現職。個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成しながら、50代と60代からのセカンドキャリアを応援するサービス「50カラ」を展開中。

※執筆日:2025年07月09日