第1129回NEW
大学を休学したら、授業料や奨学金、元金据置型の教育ローンはどうなる?
- 大学生の子供から「今後、1年間程度休学して留学や長期のインターンを経験したい」と言われました。できれば希望を叶えてやりたいと思いますが、卒業が1年遅れると、休学中の授業料の支払いや、奨学金の受け取り、入学時に利用した元金据置型の教育ローンの返済はどうなるのでしょうか。(会社員 女性 57歳)
- 大学休学中の授業料等について、国公立大学は一般的にはかかりませんが、私立大学の場合は、全額ではないにしろ、かかる場合があります。大学ごとに内容や手続きが異なるため、「休学願」を提出する前に確認しておきましょう。奨学金については、原則として休学期間中は受け取ることができなくなります。元金据置型の教育ローンは、一般的に元金据置期間を延長することはできません。ただ、金融機関によっては、所定の手続きをとることで対応できる場合もあるため、金融機関に問い合わせるようにしましょう。

休学中の授業料の取り扱いは、国公立大学と私立大学で異なる!
大学を休学する場合、国公立大学では、休学期間中の授業料や在籍料は免除されることが一般的です。ただし、休学申請が遅れた場合や、学期途中の休学、短期間の休学の場合などは、授業料が発生することがあるため注意が必要です。大学によって内容が異なるため、「休学願」を提出する前に、詳細を確認するようにしましょう。
私立大学の場合は、大学によって内容や金額に大きな差があります。授業料の代わりに在籍料が必要な場合や、授業料の一部や施設利用料が必要な場合などもあります。
休学中は、奨学金の交付が止まる!
奨学金は、就学中の学費や生活費、教材費など、学生生活に必要な費用を補うために利用されるものです。休学すると奨学金の交付は止まります。
日本学生支援機構が取り扱っている奨学金は、貸与奨学金も給付奨学金も、休学した場合は速やかに学校の奨学金窓口に申し出て、「休止」の手続きをする必要があるとしています。休止の手続きを行わないまま休学して奨学金を受け取った場合は、金融機関を通じて日本学生支援機構に返金しなければなりません。
なお、復学した場合は、「復活」の手続きをすることによって、奨学金の交付を再開することができます。
奨学金には、日本学生支援機構以外にも、大学の独自制度や、地方自治体の制度、公益財団法人の制度などがありますが、いずれも休学した場合は支給休止になるのが一般的です。
元金据置型の教育ローンは、休学しても元金据置期間を延長できない!
元金据置型の教育ローンは、教育資金の借り入れを行った後、在学期間中は元金の返済を据え置いて利息のみ返済し、在学期間終了後に元金の返済がスタートするタイプの教育ローンです。
元金据置期間は、一般的に、借入時から子供の卒業予定年月までの期間とされています。したがって、休学等により元金据置期間を超えた場合は、原則として、在学期間中であっても元金据置間は終了し、元金の返済が始まります。ただし、金融機関によっては、所定の手続きをとることによって元金据置期間の延長が認められることがあるため、事前に問い合わせをする必要があります。
休学を検討する場合は、「休学中に本人が何をしたいか」ということだけでなく、休学中、及び、復学して卒業するまでの資金プランを綿密に立てて、経済的に困ることのないように工夫するようにしましょう。
【参考リンク】
私が書きました

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2025年04月25日
- 前の記事へ
- 次の記事へ