第1015回

カードローンを「おまとめ」目的で申込むことは可能?

複数のクレジットカードをリボルビング払いにしているため、支払いの管理をするのが大変です。管理をシンプルにするために、カードローンで借り入れを一本化したいのですが、借り換え目的で申込むことはできるのでしょうか?また、メリットはあるのでしょうか?(新潟県 会社員 男性 40代)
複数のローンをまとめて一本化すると、家計を管理する際の心理的な負担が軽減されます。カードローンは資金使途に制限がないため、借り換え目的でも活用でき、借入条件次第では返済額を抑えることができる場合もあるでしょう。

複数のローンの返済が重なると家計管理が大変!

複数のクレジットカードでリボルビング払いをしていたり、キャッシングやカードローンでも借り入れていたりすると、ローン残高や返済期間、引き落とし日などがバラバラで管理が煩雑になります。それぞれの引き落とし日までにお金を準備しておく必要があるため、家計のやりくりも大変になります。

負担を軽減する最も効果的な方法は、利率の高いローンや返済期間の長いローンなどから優先的に繰上返済し、ローン残高を減らすことです。しかし、すぐにお金を貯めることが難しい場合もあるでしょう。

そのような時にできる工夫は、複数のローンを他のローンに借り換えて一本化し(おまとめローン)、返済をシンプルにすることです。返済管理の煩雑さから解放されます。また、借り換えの条件次第では、返済負担額を抑えることができる場合もあります。

おまとめローンの手段としては、借り入れごとに契約書を作成する不動産担保ローンやフリーローン(証書貸付方式)などがありますが、担保が不要で資金使途も自由、申込時に設定された借入可能額までの借り入れができるカードローンを活用することも可能です。

限度額が大きくなるほど金利は低くなる

下の表は、ある金融機関のカードローンの限度額ごとの借入利率です。なお、これらは金融機関がそれぞれ独自に設定しています。

ある金融機関のカードローンの借入利率
限度額 借入利率
10万円以上~100万円以下 年13.6~年14.6%
100万円超~200万円以下 年10.6%~年13.6%
200万円超~300万円以下 年7.6%~年10.6%
300万円超~400万円以下 年6.1%~年7.6%
400万円超~500万円以下 年1.8%~年6.1%

※利率は変動金利

上表のように、一般的にはどの金融機関でも限度額が大きいほど利率を低く設定しています。

ただし、限度額は、希望する金額に対し収入や他の借入金などの情報等をもとに金融機関で審査が行われ、借り入れる人ごとに設定されます。

上表の例でいえば、審査の結果、限度額が500万円に設定された人の場合、限度額の範囲内でいくら借り入れをしても年1.8%~年6.1%の利率が適用されることになります。

したがって、複数のローンをカードローンにまとめて借り換えると、人によっては、これまでのローンの借入利率より低くなる可能性があります。その場合、トータルで利息の負担を軽減することができます。フリーローン(証書貸付方式)の利率に劣らない水準になることもありますので、シミュレーションなどで試算しながら検討してみてください。

借入利率を下げる目的の借り過ぎに注意!これまでのローンは確実に返済する!

借入金額の利率が低くなるからといって、必要以上に借り入れては本末転倒です。余分に借り入れたお金に対しても利息の支払いが必要になり、負担を重くなってしまいます。

また、借り入れたお金は、これまでのローンを完済して一本化させるために使用することが大切です。別の用途に使用してこれまでのローンを返済しなければ、さらなる多重債務状態に陥り、家計の破綻を招く可能性もあります。

カードローンを選ぶときには、金融機関ごとの借入可能額や借入利率、利率引き下げサービスの有無、手数料などのコストをしっかり比較、検討して、少しでも有利なものを選択するようにしましょう。

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私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2023年02月20日