第382回

子どもの教育資金はどう調達する?

来年、長男が大学に進学します。学費用の貯蓄は多少ありますが、足りないかもしれません。足りない分は、合格したら大学の提携教育ローンを利用すればいいと呑気に構えていましたが、中止になるとか。どうしたらいいでしょうか?(M・Yさん 45歳 専業主婦)
一部の銀行は、大学との提携教育ローンの取り扱いを中止しました。教育資金調達の選択肢が減って残念ですが、他にも方法があります。どんな方法があるか、返済はどうすればいいかなどをまとめました。

教育資金の調達法にはいろいろある

銀行と大学・専門学校などが提携し、学校経由で学生や両親に教育ローンの融資を行うのが「提携教育ローン」です。学校が利子補給や債務保証をするため、通常の教育ローンより金利が低く抑えられます。昨年12月に施行された「改正割賦販売法」が銀行の提携ローンも規制対象にされたため、一部の銀行は、提携教育ローンの新規取り扱いを中止しました。それによって、教育資金調達の選択肢が1つ減ることになります。でも、他にも新規を調達する方法はあります。どんな方法があるかをおさらいしておきましょう。

奨学金
日本学生支援機構の「奨学金制度」が代表です。無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があります。その他、地方自治体や企業、大学などにも独自の奨学金制度を設けているところがあります。

公的教育ローン
日本政策金融公庫が行う「国の教育ローン」と、財形貯蓄を積み立てているサラリーマンが利用できる「財形教育融資」があります。

民間金融機関の教育ローン
銀行や信用金庫など多くの金融機関で取り扱っています。金利のタイプや借入可能額、担保の要・不要など、様々な種類があります。取引状況やキャンペーンによる金利優遇があることもあります。イー・ローンのサイトでは、入学金・授業料、受験、学生仕送りなどの目的を切り口としたナビゲーション、借入金額や借入期間など条件からの絞り込み検索、職業や年収など属性を合わせた詳細検索ができます。

返済に備えて家計の見直しを

奨学金を利用するにしても、教育ローンを利用するにしても、事前に返済計画をきちんと立てることが大切です。教育関連の融資は、在学中は利息のみを払えばいい「元金据置」が可能なものがほとんどです。親が無理な返済を行うと、親自身の老後資金準備や住宅ローン返済に影響を及ぼす可能性が高いので、まず、今から10年くらいの収支予想を書き出してみましょう。その予想をもとに、元利とも親が返済するのか(できるのか)、在学中の利息負担を親が行って、卒業後に子どもが元利の返済を引き継ぐのか、よく相談して決めましょう。親に返済能力があっても、卒業後に子どもに返済を担わせるという考え方もあります。
どちらの方法を選んでも、今後の返済と学資の負担に備えて、家計を見直して節約できるところは節約することが大切です。生命保険や通信費、車関係など、家計費項目ごとに聖域を作らずに見直すようにしましょう。と同時に、妻は子どもに手がかからなくなっているはずなので、収入を得ることも考えてください。収入アップと支出ダウンを同時に行えば、家計の改善効果は大です。そして、息子さんが大学に入ったら、おこづかいくらいはアルバイトで稼いでもらうようにしましょう。

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2010年08月27日