第1153回NEW

国の教育ローンの最新金利をチェック!

子どもの大学進学にあたり、教育ローンの借り入れを検討しています。「国の教育ローン」の金利が低くて借りやすいと聞いていたのですが、思っていたより金利が高いように感じました。国の教育ローン以外の選択肢もありますか?(会社員 男性 48歳)
銀行などの民間金融機関でも教育ローンを借りることができます。金利は国の教育ローンよりも低いものが多くありますが、変動金利型である場合が多く、注意点もあります。民間金融機関の教育ローンも含めて、総合的に比較検討することをおすすめします。
支援を受ける学生のイラスト

国の教育ローンの金利が上昇

日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、固定金利の安心感などから、長年教育ローンの代表格とされてきました。かつては低金利であることが大きな魅力でした。

しかし、長期金利の上昇の影響を受け、2025年に入ってから金利は頻繁に改定され、2025年10月時点で年3.15%です。1年前(2024年10月時点)の金利は年2.4%でしたので、1年の間に大きく上昇したことがわかります。

このような環境下で、今では民間の教育ローンのほうが低金利になるケースもみられるようになりました。

民間金融機関の教育ローンにも注目を

2025年10月の、銀行や信販会社など民間金融機関の教育ローンを見てみると、たとえば年1.7%〜4.6%など、適用される金利に幅があります。

何%の金利が適用されるかは審査次第ですが、最低金利は2%程度のものも多く見られ、国の教育ローンの金利よりも低く設定されているものもあります。

ただし、注意点は金利タイプです。低金利のローンは、変動金利の場合が多く、将来、金利が上昇すれば返済額が増えるおそれもあります。

金利上昇が心配な方は、固定金利が向いています。民間金融機関の教育ローンにも固定金利で2%〜3%台のものもあるため、国の教育ローンだけでなく、民間金融機関の教育ローンにも目を向けてみるとよいでしょう。

国の教育ローンと民間金融機関の教育ローンの違い

金利以外にも両者には違いがあります。

民間金融機関は一般的に審査がやや厳しい傾向にあり、安定した収入や、ある程度の勤務年数が求められる場合もあります。そのため、正社員以外や自営業の方は希望額を借りにくい傾向があります。

一方、国の教育ローンは、年収の上限があるものの、収入が比較的低い方でも借りやすいのがメリットです。母子・父子家庭などには、金利の引き下げや保証料が割引される優遇制度もあります。

融資額は国の教育ローンは子ども1人につき350万円まで(一部450万円まで)に対し、民間金融機関の教育ローンは1,000万円までなど上限額はかなり高くなっています。

国の教育ローンと民間金融機関の教育ローン比較
  国の教育ローン 民間金融機関の教育ローン
金利タイプ 固定金利 変動金利が主流
固定金利のものもあり
保証料 別途必要(優遇あり) 金利に含まれることが多い
年収基準 上限あり
子ども2人の場合、世帯年収890万円までなど
明確な定めはないが、安定した収入があることが必要
融資額 子ども1人につき350万円、自宅外通学や大学院等の場合には450万円 1,000万円まで、2,000万円までなど金融機関によって異なる
返済期間 20年以内 15年、16年、18年など金融機関によって異なる

※筆者作成

あなたに合う教育ローン、どちらを選ぶ?

国の教育ローン、民間金融機関の教育ローン、どちらを選んだらよいのか、ケース別に見ていきましょう。

リスクはあっても、金利はなるべく低い方がいい

金利をできるだけ抑えたい場合には、民間金融機関の教育ローンを比較検討しましょう。ただし、変動金利型には、金利上昇リスクがあります。借入額がさほど多くない、大手企業等に勤務していて、今後の収入も安定しているなどの場合であれば、金利上昇リスクにも対応できるでしょう。

金利上昇が不安、返済額は一定にしたい

将来の金利上昇が不安という場合には、国の教育ローンまたは民間金融機関の教育ローンのうち、固定金利のものを検討しましょう。特に、返済期間が長期にわたる場合には、固定金利の方が安心感はあります。

年収が低い、自営業で収入が不安定などで審査に通るか不安

国の教育ローンは、一般的には民間金融機関よりも審査に通りやすいといわれています。年収の額や安定性などで不安がある場合には、国の教育ローンを検討するとよいでしょう。

海外留学などで多額の教育資金が必要になりそう

国の教育ローンは子ども1人につき350万円まで、海外留学の場合には450万円までとなっています。海外留学や私立大学医学部への進学等で、多額の教育費が必要になる場合には、民間金融機関の教育ローンを検討しましょう。

まとめ

教育ローンなら国の教育ローンが低金利で安心、という従来のイメージは一度おいて、民間金融機関も含めて比較検討することが大切です。

返済期間が長くなりそうな場合には、金利上昇リスクも十分に考えておく必要があるので、金利の低さだけで判断するのではなく、借入希望額やご自身の収入状況なども踏まえ、将来にわたり無理なく返済できる教育ローンを選択しましょう。

【参考リンク】

私が書きました

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高田 晶子 (たかだ あきこ)

ファイナンシャル・プランナー。金融デザイン株式会社 取締役。

大学卒業後、信託銀行に就職。その後イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年FPとして独立。2010年より現職。個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成しながら、50代と60代からのセカンドキャリアを応援するサービス「50カラ」を展開中。

※執筆日:2025年10月14日