第949回

成年年齢の引き下げでカードローンは変わる?

長男が来春(2022年4月)から首都圏の大学に進学し、一人暮らしをする予定です。ちょうど同じ時期から、成年年齢が18歳に引き下げられると聞いていますが、親からみるとまだ子供ですので、カードローンなどの借金でトラブルを起こさないか心配です。親として注意すべきことがあれば教えてください。 (青森県 会社員 男性 51歳)
選挙権年齢はすでに18歳に引き下げられていますが、成年年齢は2022年4月1日から18歳に引き下げられます。成年になると親の同意がなくても、お金を借りる契約をはじめ、さまざまな契約を自分の意思で行うことができるようになります。なお、お金を貸す金融機関の融資姿勢は、これまでの未成年と同等の扱いを維持すると見込まれます。ただし、これまで未成年に認められていた契約の取り消しが、来年4月から成年となる18歳~19歳は原則できなくなることなどに注意が必要です。
中村 宏
中村 宏

成年になると、親の同意がなくても契約をすることができる!

民法が140年ぶりに改正され、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

成年に達すると、親の同意がなくても、自分でさまざまな契約ができるようになります。たとえば、クレジットカードを作る、ローンを組む、部屋を借りる、携帯電話を契約するといったときなどに、未成年の場合は親の同意が必要です。もし、未成年者が親の同意なしに契約したときには、その契約を取り消すことができ、消費者被害から未成年者を保護する仕組みがあります。一方、成年になると、契約時の親の同意は必要なく、結んだ契約を取り消すことも原則できなくなります。

親としては、18歳~19歳とはいえ社会経験の乏しい子供が思わぬトラブルに巻き込まれないか心配でしょう。たとえば、大学生になったばかりの収入の少ない時期に、カードローンなどで過大なお金を借り、返済に窮するようなことがないか懸念されます。

お金を貸す金融機関の融資姿勢は、18歳~19歳が成年になっても従来の未成年と同等の扱い!?

消費者金融会社やクレジットカード会社などが加入する日本貸金業協会は、消費者向けに貸付けを行っている協会員547社に対して、2022年4月以降の18歳~19歳の人に対する貸付方針や、通常よりも低い利用限度額の設定等の自主的な取り組みの実施状況に関する調査結果を2021年10月に公表しました。回答数は420社です。

18歳~19歳の学生の顧客に関する調査結果を見てみましょう。

貸付状況、貸付方針について、2021年(今年)3月末時点では、88.8%の373社が学生を貸付対象としておらず、残りの11.2%の47社が対象としていました。2022年(来年)4月以降の貸付方針は、70.0%の294社が学生を貸付対象とせず、12.4%の52社が対象とし、17.6%の74社は未定と回答しています。

このことから、18歳~19歳が成年になっても、多くの金融機関は、これまで通り学生に対する貸付けを行わない方針であることがわかります。

学生を貸付対象とする金融機関のうち、親の同意については、2021年(今年)3月末時点では、93.6%の44社が親の同意を得ており、残りの6.4%の3社は得ていませんでした。2022年(来年)4月以降は、36.5%の19社が親の同意を得る、23.1%の12社が得ない、40.4%の21社は未定と回答しています。

18歳~19歳が未成年のときは、契約の取り消しを防ぐために親の同意を得たと考えられますが、2022年4月以降に成年となると契約の取り消しができなくなるため、親の同意を得ない金融機関が増えることが想定されます。

学生を貸付対象とする金融機関のうち、利用限度額の設定については、2021年(今年)3月末時点では、74.5%の35社が通常よりも低く設定しており、残りの25.5%の12社は通常と変わらない設定としていました。2022年(来年)4月以降は、46.2%の24社が通常よりも低く設定する、28.8%の15社が通常と変わらない設定とする、25.0%の13社は未定と回答しています。

なお、個人向けの貸付けについては、総量規制によって年収の3分の1を超える貸付契約は原則禁止とされています。そのため、收入の少ない学生は少額しか借りることができません。金融機関側にとっても、返済能力(安定した収入)を超えるお金の貸し付けは、貸し倒れリスクを高めることになり、メリットはありません。

以上、2022年4月以降、18歳~19歳が成年になっても、貸金業者の約7割は学生を貸付対象とせず、また、対象とする場合でも、総量規制等によって貸し付け可能金額が少ないため、消費者金融会社やクレジットカード会社のカードローンは、実質的に従来の未成年と同等の扱いが維持されると見込まれます。ただし、契約時に親の同意を得ないとする金融機関はこれまでよりも増えそうです。

銀行のカードローンは総量規制の対象外ですが、貸金業の規制の考え方に沿った自主規制が行われているため、同様に従来の未成年と同等の扱いになると考えられます。

社会人になるまでは、カードローンを使わない!!

子供がトラブルに巻き込まれないためには、收入の少ない学生にお金を貸してくれる金融機関が少ない中で、貸してくれる金融機関を自分から探してまでお金を借りないようにさせることです。お金は、自分で貯めたものを使う、貯まらないうちに借りてまで使わない習慣を身に付けさせることがとても重要です。お金を借りるのは例外的なことだという認識を持たせることは、自律した大人の社会人として生きていく上でも大切です。

学生の親としては、子供が万が一お金に困った場合、第一に親に相談できる関係を築いておき、いざとなったら救済できるようにしておくことが望まれます。

学生のうちは、カードローンだけでなく、クレジットカードでの安易な買い物、リボ払いにすることなどにも注意が必要です。支払い能力を超えた負担になって、トラブルに発展しないとも限りません。

2022年4月からは18歳~19歳でも、自分が結んだ契約を取り消すことができなくなります。未成年のうちから、身近な例などを用いて、子供と一緒に契約について学び、話し合い、考える機会を作ってはいかがでしょう。目標を立てて計画的に生活することの重要性や、「買う」・「借りる」以前にそれが本当に必要かどうかじっくり考えてみることの重要性、トラブルに巻き込まれないようにするための方法、巻き込まれたときに活用できる制度、公的な相談窓口などを知っておくとよいでしょう。

【参考リンク】

担当:中村 宏 (執筆:2021年10月29日)