第1150回NEW

カードローンの「借入診断」の目的や仕組みは?

カードローンを利用しようとして、いろんな金融機関のホームページを見ると、「借入診断」によって借り入れが可能か判断できると書いてあり、「年齢」や「年収」、「他社からの借入額」を入力するようになっています。この「借入診断」は、どんな仕組みなのですか。 (会社員 女性 35歳)
「借入診断」は、カードローンを正式に申込む前に、借り入れの可否を簡易的に把握できるツールです。利用者にとっては、不安や手間を軽減できるメリットがあります。診断では、利用者が入力する「年収」と「他社からの借入額」によって、総量規制への適合などの確認が行われます。なお、あくまで簡易判定なので、借り入れの可否を保証するものではありません。実際に利用できるかどうかは、正式な申込みを行った後の本審査によって判定されます。
スマートフォンを持っていいね!のポーズをする男性

カードローンの「借入診断」とは?

カードローンの利用を検討する際、多くの金融機関や消費者金融が、「借入診断」などの事前診断機能を提供しています。これは、インターネットサイトや専用のアプリなどで、氏名や住所などの個人情報を入力せずに、年齢、年収、他社からの借入額など、ごく限られた情報を入力するだけで、数秒から数十秒後には借り入れの可否が確認できるサービスです。一般的に、カードローンは、満20歳以上、65歳から70歳程度までと設定されており、このような年齢要件を満たすかどうかも診断結果に反映されます。利用者にとっては、正式に申込む前に、借り入れ可否の可能性がわかるため、不安や手間を軽減できるメリットがあります。

総量規制等の関係が重視される

「借入診断」では、「年収」と「他社からの借入額」が重視されます。貸金業法には総量規制というルールがあり、消費者金融など貸金業者からの借入総額は、原則として年収の3分の1までに制限されています。例えば、年収450万円の人の場合、借入可能限度額は合計150万円となり、すでに他社から100万円を借りていれば、新規の借入可能額は50万円程度までということになります。「借入診断」は、総量規制の範囲内かどうかをシステム的に判定し、借り入れの可否を表示します。なお、銀行のカードローンは総量規制の対象外ですが、各銀行が独自に設定している基準で判定した結果を表示します。

「借入診断」を利用する上での注意点

「借入診断」はあくまで簡易的な判定であり、借り入れの可否を保証するものではありません。入力項目が限定されているため、職業や雇用形態、勤続年数、返済能力、クレジットカードやローンの利用履歴や延滞歴などの信用情報等は、判定結果に反映されません。また、誤った情報を入力してしまうと正しい判定結果を得られません。したがって、「借入診断」で「借入可能」と判定されても、正式に申込みをした後の本審査では通過しない場合もあります。「借入診断」は、あくまで"目安"と考えることが重要です。

「借入診断」を経て、正式な申込み後の本審査の結果、借入可能な限度額が想定より大きかった場合でも、実際にカードローンを利用する時には、必要な金額だけを計画的に利用する姿勢が大切です。

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2025年09月22日